近鉄30000系【2階建て車両の代名詞といえる3代目ビスタカー】

30204F

30204F

1.概要

会社名 近畿日本鉄道
形式 30000系
使用線区 難波線・大阪線・名古屋線・奈良線・
京都線・山田線・鳥羽線・志摩線
製造メーカー 近畿車輌
制御方式 抵抗制御
主電動機 定格180kW
ブレーキ 電磁直通ブレーキ
台車 KD-83
最高速度 120km/h
加速度 2.5km/h/s
減速度(通常) 4km/h/s
製造初年 1978年
電気方式 直流1500V
軌間 1435mm
保安装置 ATS
車体 鋼板製
座席 回転式リクライニングシート
座席定員 56人(先頭車)、48人(先頭車喫煙スペース有)
66人(中間車2階建て車両)
所属 西大寺検車区
編成 4両
既存両数 60両

近鉄30000系は1978年に10100系新ビスタカーの老朽化・廃車に伴い、その後継車として登場した。日本で唯一鉄道車両で2階建て車両を組込んで運行していた近鉄特急ビスタカーの3代目にあたる。ビスタカーⅢ世と通称されるようになった。後に更新工事によりビスタEXに改称された。デビュー間もない頃から南大阪線系統や湯の山線を除く特急運転区間のほぼ全線で運用された。1979年に鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞した。
車体は製造当時の特急車両の主力であった12200・12400系を基本とした。10100系では連接構造を採用していたが、30000系ではボギー構造を採用した。それにより車体長は全車20,800mmとなった。4両編成で、先頭車が電動車で、中間車2両は付随車になり、ダブルデッカー車となった。ダブルデッカーの付随車は、車両中央部に扉が設置され、階上は普通座席、階下はグループ席が設置された。

2.基本性能

1C4Mの抵抗制御となっている。主電動機は定格出力180kWで起動加速度2.5km/h/s、最高運転速度120km/h、大阪線大和朝倉~榛原間の33.3‰連続上り勾配における均衡速度100km/h以上を確保している。台車は電動車がKD-83を、付随車がKD-83Aを装着している。電動車については制御器による抑速発電ブレーキと連動する、HSC-D発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキを搭載する。付随車はHSC電磁直通ブレーキを搭載している。将来の120km/h運転を想定し、ブレーキ制御圧切り替え装置を搭載している。集電装置は、近鉄特急では初採用となった下枠交差式パンタグラフを電動車に2基ずつ搭載した。

3.車内設備

ダブルデッカー車は2階席の居住性を重視し、10100系よりも天井を高くして居住空間を広く取った。階下席は通り抜けができないセミコンパートメントタイプになった。平屋構造の先頭車は12400系に準じた車内になった。階上席の定員を確保するため、階下への階段は各車1ヶ所に留めて、先頭車との貫通部は先頭車側に階段を設置している。座席は階下席を除いて回転式簡易リクライニングシートを採用している。ダブルデッカー車は構造上の問題で一部は回転できない構造になっている。階下室にはソファ形の座席が採用されている。

    30000系編成表 4両編成   60両
    ←大阪難波     近鉄奈良→
電算記号 塗装変更 モ30200Mcp サ30100Tw サ30150Tw モ30250Mcp
V01 30201 30101 30151 30251
V02 30202 30102 30152 30252
V03 30203 30103 30153 30253
V04 30204 30104 30154 30254
V05 30205 30105 30155 30255
V06 30206 30106 30156 30256
V07 30207 30107 30157 30257
V08 30208 30108 30158 30258
V09 30209 30109 30159 30259
V10 30210 30110 30160 30260
V11 30211 30111 30161 30261
V12 30212 30112 30162 30262
V13 30213 30113 30163 30263
V14 30214 30114 30164 30264
V15 30215 30115 30165 30265

4.改造

1988年3月から実施された最高速度120km/h対応工事が全車に施工された。パンタグラフの3元ばね化、ブレーキシリンダーの圧力変更にともなう制動能力向上、抵抗器の容量アップ、ATS上限速度の変更等である。

5.リニューアル車(ビスタEX)

1996年から2000年にかけて大幅なリニューアルが実施された。リニューアルに際し、愛称をビスタEXに変更した。

【外観】
塗装は従来のアスカオレンジをベースにネイビーブルーの帯を引き続き採用したが、従来T車に配していたVカットラインはMc車の連結面寄り側壁に変更し、ブルーの帯の上にエレガントホワイトの帯を追加した。また車体裾部はエレガントグレーの帯を配した。Mc車のT車寄り側面には、志摩スペイン村のキャラクターが描かれている。先頭車前面の特急表示は省略された。T車出入台横にはVISTA CARのステンレスロゴタイプが貼り付けられた。また、Mc車正面右側にはVISTA EXのロゴタイプが貼り付けられた。リニューアルに際して付随車の屋根が嵩上げされたため、電動車に大型のカバーを設置して、段差が大きくなり過ぎないように配慮した。 2階建中間車は2階部分を新製し、天井部分と床部分がかさ上げされ、大型の曲面ガラスに取り替え、縦さんを黒塗装した。この改造により、中間車の車体断面寸法が横2,800mm×高さ4,140mmとなった。
竣工時より母線引通しがあった30214F・30215F以外は編成内に母線を引通し、母線過電流継電器を設置したうえで、Mc車の運転台側のパンタグラフを撤去して、連結面側1基搭載とした。

シートピッチが980mmから1,000mmに変更され、車端部の固定式座席は撤去された。階下席を除いて編成内全ての座席が回転可能となった。編成定員は、272名から252名に減少した。

階上席と平屋席はフリーストップ式のリクライニングシートに換装され、シートモケットも更新された。階下席にはパープル系のモケットを採用し、座面や背ずりが変更された。

トイレについては、モ30200形は洋式と男性用小便器ブース、洗面所の組み合わせに変更された。モ30250形は従来通りだが、インテリアが一新された。

10100系から流用した主制御器を装備する30206F~30210F、30214Fについては12200系や18400系の廃車発生品に交換された。

6.2回目のリニューアル

2010年4月から2012年3月にかけて全編成に2回目の車体更新(B更新)が実施された。

【外観】
車体外観では行先表示器のLED化、乗降口の雨樋取付、車体連結面の転落防止幌設置が中心となっている。

【車内インテリア】
インテリアは海をテーマとして、航海に出る時の期待感と躍動感を表現した。T車階下席は3-5人が同一行程で利用できる「グループ専用席」とされ、ヨットのキャビンをテーマとしたものに変更された。大型の天然木仕様のテーブルを新たに設け、入口にパーテーションも設けた。Mc車とT車階上席は22600系に準じたゆりかご型座席に取り換えた。

2016年からは22000系などと同様に塗装変更が行われている。Mc車は12400系に準じた塗分けで、フロント部は運転室廻りはブラックフェイスとなり、ブライトイエローとクリスタルホワイトの塗分けとなった。側面はクリスタルホワイトをベースに上下にブライトイエローを配し、窓下にゴールドのラインが入れられた。ダブルデッカー車はクリスタルホワイトをベースに上下にブライトイエローが入る塗り分けは先頭車と同様で、中央部にはゴールドのラインが2本入り、車端部にはゴールドのラインでビスタカーを現すVの字が入れられた。2016年からは分煙化のため、モ30250に喫煙室が設置される工事が施工された。

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