1.概要
会社名 | 信楽高原鐡道 |
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路線名 | 信楽線 |
区間 | 貴生川~信楽 |
営業キロ | 14.7km |
駅数 | 6駅 |
平均駅間距離 | 2.94km |
所要時分 | 3分 |
表定速度 | 294km/h |
軌間 | 1067mm |
電気方式 | 非電化 |
線路 | 単線 |
保安方式 | ATS |
閉塞方式 | スタフ閉塞 |
最高速度 | 65km/h |
最大編成両数 | 2両 |
信楽高原鐵道は貴生川と信楽を結ぶ第3セクター鉄道である。元は国鉄信楽線で、国鉄分割民営化後の1987年7月にJR信楽線は廃止となり、信楽高原鐵道信楽線として再スタートを切った。3セク転換後の1991年にJR西日本の臨時快速列車と信楽高原鐵道気動車が正面衝突した事故は記憶に新しいところだ。この事故以降JRとの直通運転は一切されていない。当時はJRがアーバンネットワークで日の出の勢いで利用者が伸びていた時期なので、信楽高原鐵道としてもその勢いに便乗したかったところだが、結果として設備が不十分なまま直通列車を走らせることになり、最悪な結果を招いてしまった。この件についてはJRの責任も大きいと見られたが、その後2005年4月には福知山線事故を起こしており、JR西日本には信楽高原鐵道で起こした事故の教訓が全く活かされていない。今後もJRとの直通運転の復活は期待できないだろう。
駅名 | よみがな | 駅間距離 | 営業キロ | 所在地 | 開業年月日 |
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貴生川 | きぶかわ | – | 0km | 甲賀市 | 1900年12月28日 |
小野谷信号場 | おのたにしんごうじょう | – | 6.5km | 甲賀市 | 1991年3月16日 |
紫香楽宮跡 | しがらきぐうあと | 9.6km | 9.6km | 甲賀市 | 1987年7月13日 |
雲井 | くもい | 0.6km | 10.2km | 甲賀市 | 1933年5月8日 |
勅旨 | ちょくし | 2.2km | 12.4km | 甲賀市 | 1963年6月1日 |
玉桂寺前 | ぎょくけいじまえ | 1km | 13.4km | 甲賀市 | 1987年7月13日 |
信楽 | しがらき | 1.3km | 14.7km | 甲賀市 | 1933年5月8日 |
2.歴史
信楽高原鐡道信楽線は1933年(昭和8年)5月8日に国鉄信楽線として貴生川~信楽間 (14.8km) が開業した。雲井駅・信楽駅が開業。1943年(昭和18年)10月1日に不要不急線として休止となった。省営自動車近城線(信楽-貴生川間)運輸営業開始。1947年(昭和22年)7月25日から運行再開。
1953年(昭和28年)8月に集中豪雨により橋梁流失、不通になった。1954年(昭和29年)に第一大戸川橋梁がプレストレストコンクリート橋梁として再建され、運行を再開した。1962年(昭和37年)10月1日に旅客列車を気動車化した。1963年(昭和38年)6月1日に勅旨駅が開業。1981年(昭和56年)9月18日に信楽線貴生川~信楽間廃止承認(特定地方交通線第1次廃止対象)
1982年(昭和57年)10月10日に貨物営業を廃止。1986年(昭和61年)9月5日に第三セクター鉄道への転換を決定。1987年(昭和62年)4月1日に国鉄分割民営化によりJR西日本に路線が承継された。同年7月13日にJR信楽線 (14.8km)が 廃止、信楽高原鐵道信楽線 (14.7km) が開業。紫香楽宮跡駅・玉桂寺前駅が開業した。9往復から下り15本、上り16本に増発された。
1991年(平成3年)3月16日に特殊自動閉塞化。貴生川~紫香楽宮跡間に小野谷信号場開設。ダイヤ改正で18往復に増発、日中はほぼ1時間間隔運行になった。同年4月20日に貴生川~信楽間にノンストップの臨時快速6往復とJR西日本京都・大阪直通の臨時快速2往復を5月26日までの予定で運行開始。大阪直通1往復は休日のみ運行。5月14日に貴生川~紫香楽宮跡間の小野谷信号場付近でJR西日本の臨時快速との衝突事故が発生し、42名が死亡した。これにより全線運休になった。同年12月8日に運行再開。小野谷信号場の使用を停止し、全線1閉塞としてスタフ閉塞化。14往復が運行された。
1994年(平成6年)9月4日に休日ダイヤ実施。1998年(平成10年)3月16日に土曜・休日ダイヤ実施。2006年(平成18年)3月18日ダイヤ改正で最終列車の時刻を繰り下げた。2008年(平成20年)3月15日ダイヤ改正で、土曜・休日も平日と同じダイヤに。運行本数を1往復増発し15往復とした。同年6月20日に第一大戸川橋梁を登録有形文化財として登録するよう答申が出された。
2013年(平成25年)4月1日に地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく鉄道事業再構築実施計画により上下分離方式に移行。信楽高原鐵道が信楽線の第二種鉄道事業者となり、線路や車両等の鉄道施設を譲渡された甲賀市が第三種鉄道事業者となった。同年9月15日に台風18号のため全線運休。翌16日にはこの台風による水害で杣川に架かる杣川橋梁の一部が流失。17日よりバス代行輸送を実施。2014年(平成26年)11月29日から列車運行を再開した。2018年度(平成30年度)に小野谷信号場廃止届出。
3.ガイド
貴生川ではJR草津線、近江鉄道本線と連絡している。信楽線はJR草津線と同じホームからの発着となっており、2面3線のうち切り欠きになっている1面1線を信楽線が使用している。JRと信楽線間に中間改札はなく、信楽線の運賃は車内精算となる。このため、貴生川駅では信楽線の切符の販売はない。貴生川を出ると少し草津線と並行して走り、信楽線が右にカーブして分かれる。築堤を上がり杣川を渡り、国道307号線と交差する。南西方向を向いて走り、国道307号線と並行して右に左に曲がりながら迂回するように走って行く。途中小野谷信号所があるが、件の正面衝突事故があって以来使用されていない。世界陶芸祭が開催された時にJR西日本との直通運転などを行うために輸送力増強として設けられた信号所だが、結果的には同信号所が設けられて事故が発生している点は皮肉なところだ。
紫香楽宮跡は1面1線で、1987年7月の信楽高原鐵道発足時に設置された新しい駅だ。貴生川から9.6km離れており、次の雲井とは0.6kmしか離れていないように駅の配置はアンバランスになっている。雲井も1面1線で、紫香楽宮跡ができる前は貴生川から同駅まで10km以上駅がなかった。また、交換設備もなかったため、1991年に小野谷信号所を設けて行き違い箇所を設けて増発できる体制を取った。現在は同信号所使用停止により途中行き違いができる箇所はなくなった。雲井からほぼ南向きに走り1面1線の勅旨、大江戸川を渡って同じく1面1線の玉桂寺前となる。再度大江戸川を渡って終点の信楽に着く。甲賀市信楽町の中心駅となっているが、市街地の中心部からは東にずれており、大江戸川の対岸に市街地がある。駅は2面2線で、信楽焼で有名な陶芸の町らしく、ホームには信楽焼の狸が並んでいる。陶芸の森は駅から少し離れており、駅前からバスが出ている。ここから先宇治田原町などを経て京阪奈学研都市方面へ延伸して、信楽線を琵琶湖京阪奈新線に組み込む構想が滋賀県を中心にあるが、実現の可能性は低そうだ。