阪神8000系【阪神で最大勢力を誇る界磁チョッパ制御の赤銅車】

8523F

1.概要

会社名 阪神電気鉄道
形式 8000系
使用線区 阪神本線・神戸高速鉄道・山陽電鉄
制御方式 界磁チョッパ制御
主電動機 直流直巻電動機
定格110kW
ブレーキ 電気指令式空気ブレーキ
最高速度 110km/h
製造初年 1984年
電気方式 直流1500V
軌間 1435mm
保安装置 ATS(阪神・山陽)
定員 140人(先頭車)
150人(中間車)
車体 鋼板製
扉枚数/座席形状 18m級3扉ロングシート
所属 尼崎車庫
編成 6両
既存両数 114両
製造メーカー 武庫川車両工業

阪神8000系は1984年に登場した赤銅車と呼ばれる急行用の通勤形電車である。阪神の新造車で初の界磁チョッパ制御を採用した急行用車両で、阪神初の6両固定編成となった。

制御装置は界磁チョッパ制御で、主電動機は複巻式出力110kWで電動車1両に4基搭載している。ブレーキ装置は、阪神で初めて全電気指令式電空併用抑速付のMBSAが採用された。補助電源装置も阪神では初めて静止形インバータ(SIV)が採用された。台車はS型ミンデン台車を装着する。

8000系1次車の8901F

8000系1次車の8901F

2.1次車

武庫川線延長に伴い運用が増加したため、1984年に6両編成1本が製造された。従来車と外観上の大きな変化はなく、側窓は銀色アルミサッシのユニット式二段窓が並び、先頭形状は丸みを帯びた3面折妻で前照灯が左右の窓上に配され、化粧板は薄緑の格子柄で、それまでの阪神電車標準仕様に準じたものになった。

6両固定編成となったため、先頭部の貫通幌や渡り板、ジャンパ栓受けなどが廃止され、貫通扉を張り出した平面的ですっきりとした前面となった。行先表示器の形状も従来車とは異なり車体に埋め込まれるような形状となった。

台車は弾性板ばね式のSUミンデン台車で、住友金属工業製FS-390A, FS-090Aとなった。

2編成目以降の増備車では車体を大幅にモデルチェンジしたため、この形態の8000系は1本のみの製造となった。

8000系2次車の8213F

8000系2次車の8213F

3.2次車

1984年末に登場したグループで、従来車を踏襲する面が多かった1次車に対して、内外装とも大幅にモデルチェンジされた。車両番号も番台区分が変更されて11からとなった。8211F・8213F・8215Fの6両編成3本が製造された。

フロントマスクは従来の阪神車のイメージから大きく変わり、額縁スタイルとなった。運転席ガラスは天井部近くまで拡大され、行先表示器、種別表示器は運転席上部のガラス内に収納される形になった。前照灯は貫通扉上部に設置され、尾灯は通過標識灯とともに運転室下部に設置された。側窓は一段下降式が採用された。冷房装置は1次車と同じものを使用している。

台車はFS-390A, FS-090Aと同じSUミンデン台車であるが、形式名がFS-525, FS-025に変更された。警笛類は電気笛が採用された。

内装も大きくモデルチェンジされた。化粧板はベージュ系のドット模様となり、客用扉も化粧板仕上げとなり、窓が若干拡大された。天井の化粧板は白からアイボリーホワイトとなり、床板と吊り手は緑系からグレー系に変更されている。この他にも座席脇のスタンションポールが廃止されたほか、客室貫通扉もガラスが下方に拡大された。

8000系3次車の8217F

8000系3次車の8217F

4.3次車

3次車は1986年から1990年にかけて登場したグループで、冷房装置が集約分散式となった。フロントマスクは2次車を継承しているが、前面ガラスが拡大されたため、前照灯、行先表示、種別表示の位置が2次車と比べて若干下に下がった印象となった。8217F・8219F・8221F・8223F・8225F・8227F・8229F・8231Fの6両編成8本が製造された。

8000系4次車の8233F

8000系4次車の8233F

5.4次車

4次車は1991年以降に製造されたグループで、側窓の窓柱が縮小され、連続窓風の外観となった。車内は座席にバケットシートが導入され、モケットの色もピンク色に変更された。乗降扉上部にはLED車内案内表示装置が千鳥配置された。8233Fから8249Fまで6両編成9本が製造された。最終増備となった8249Fは1995年3月に製造された。

8000系リニューアル車

8000系リニューアル車

6.リニューアル改造

2002年には8211Fがリニューアル改造第1弾として施工され、9300系に準じて、中間車は転換クロスシート化され、外観は9300系と同様の下部にシルキーベージュ、上部にブレストオレンジを配する新塗装になった。LED式車内案内表示装置が設置され、乗務員室の遮光用カーテンは横引きカーテンから電動の自動昇降式に変更された。2003年には同様の改造が8219Fで施工された。

2004年には8221Fのリニューアル工事が施工され、混雑緩和のため中間車のクロスシート化は4両から2両に変更され、クロスシート部にもつり革が設置された。同年には8215Fが同様の改造が施工され、2005年には8213F、2006年には8225Fが施工された。

8523F転換クロスシート部

8523F転換クロスシート部

2007年には8523Fがリニューアル改造を施工された。直通特急対応も行われ、これにより8000系全編成が直通特急運用に対応となった。

2009年には8229F、2011年には8227F、8231Fがリニューアル工事が施工された。8231Fからは種別行先表示器がフルカラーLED化された。車内も1000系に準じた改造が行われ、ドアへの盲導鈴取付、ドア上部に扉開閉予告灯を設置した。この改造内容については8233F以降にも踏襲されている。

2012年には8233Fが4次車として初めてリニューアル工事が施工された。中間車の転換クロスシート化は行われず、全車ロングシートとなった。同年には8235Fもリニューアル工事が施工されたが、8233Fと同様にロングシートのみとなった。2013年には8237F、8243Fがリニューアル工事が施工された。

2014年には8245F、8247F、8249Fがリニューアル工事を施工された。8245Fからは補助電源がGTOからIGBTに換装されている。

2015年には8241Fと8239Fがリニューアル工事が施工された。2015年10月で8239Fのリニューアル工事が完了し、8000系全車のリニューアル工事が完了し、阪神伝統のツートンカラーである赤胴車が姿を消した。

2020年7月時点では6両編成19本114両が在籍している。阪神電車では最大勢力となっている。

阪神8000系 6両編成 114両    
←梅田 元町→  
8201Tc 8001M 8101Mp 8101Mp 8001M 8201Tc 製造年月 リニューアル工事 LED表示
8211 8011 8101 8102 8012 8212 1985年3月 2002年3月
8213 8013 8117 8118 8018 8216 1985年12月 2005年4月
8215 8015 8115 8116 8016 8216 1986年5月 2004年10月
8219 8019 8119 8120 8020 8220 1987年7月 2003年3月
8221 8021 8121 8122 8022 8222 1988年5月 2004年3月
8523 8023 8123 8102 8002 8502 1989年1月 2007年4月
8225 8025 8125 8126 8026 8226 1989年5月 2006年4月
8227 8027 8127 8128 8028 8228 1990年1月 2011年3月
8229 8029 8129 8130 8030 8230 1990年5月 2009年10月
8231 8031 8131 8132 8032 8232 1990年12月 2011年9月
8233 8033 8133 8134 8034 8234 1991年3月 2012年3月
8235 8035 8135 8136 8036 8236 1991年9月 2012年9月
8237 8037 8137 8138 8038 8238 1992年1月 2013年4月
8239 8039 8139 8140 8040 8240 1992年6月 2015年9月
8241 8041 8141 8142 8042 8242 1993年2月 2015年7月
8243 8043 8143 8144 8044 8244 1993年11月 2013年9月
8245 8045 8145 8146 8046 8246 1994年4月 2014年3月
8247 8047 8147 8148 8048 8248 1994年10月 2014年9月
8249 8049 8149 8150 8050 8250 1995年3月 2015年4月
※1 全車リニューアル工事施工済
※2 太字は転換クロスシート車

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