JR紀勢本線和歌山~御坊間ガイド

287系くろしお

287系くろしお

【JR紀勢本線和歌山~御坊間ガイド】

JR紀勢本線は関西本線亀山を起点に紀伊半島を半周するように和歌山に至る路線で、亀山から新宮までの東半分がJR東海エリア、新宮から和歌山までの西半分がJR西日本エリアとなっている。ここではJR西日本管内の新宮~和歌山間を取り上げる。本来なら新宮を起点に取り上げるべきところだが、特急くろしおの運行系統などに合わせて和歌山から紹介していく。JR紀勢本線和歌山~新宮間は全線直流1500V電化になっていて、和歌山から紀伊田辺までが複線となっている。紀伊田辺~新宮間は単線で海岸沿いを走るため曲線が多く、特急列車は381系や283系といった振り子車両が使用されていた。381系は287系、289系に置き換えられて、現在は283系だけが振り子車両となっている。和歌山~新宮間にはきのくに線という愛称が付けられている。和歌山~和歌山市間に紀勢線の支線があるが、こちらは別途紹介する。運転は特急が中心で、和歌山から御坊の間は普通も毎時2本運転されており、朝夕の時間帯には阪和線の快速が直通してくる。また、数は少ないが快速の運転もある。御坊以遠は紀伊田辺までは毎時1本の運転があるが、紀伊田辺~新宮間は過疎ダイヤで2時間以上間が開くところもある。特急も白浜まではほぼ毎時1本の運転だが、白浜以遠は2~3時間に1本程度の運転となる。紀伊勝浦からは名古屋行きの特急南紀が1日3往復運転されている。

和歌山はJR阪和線、和歌山線、紀勢支線と接続しており、和歌山電鉄貴志川線とも連絡している和歌山県最大のターミナルである。きのくに線電車は4、5番線から発着しており、上り天王寺方面行きの特急は1番線から発着している。和歌山を出ると中央に電留線を挟んで、左手に和歌山電鉄貴志川線が並行して走る。和歌山電鉄貴志川線が左にカーブして分かれて行き、きのくに線はそのまま真っ直ぐ南下して行く。2面2線の宮前を過ぎると和田川を渡り紀三井寺に着く。同駅は和歌浦への最寄駅になっており、和歌川を渡って数キロ行くと和歌浦周辺にたどり着く。駅北側には桜で有名な紀三井寺があり、春には行楽客で賑わう。かつては2面3線の構造だったが、現在は橋上駅舎化されて2面2線になっている。紀三井寺を出ると左にカーブして内陸を走るようになる。右にカーブして和歌山市から海南市に入り2面2線の黒江に着く。和歌山市との境の丘陵地に甲子園の常連校として有名な智弁学園(和歌山)があり、朝夕には同校の生徒で賑わう。黒江を出ると再び南下して行き、海南の市街地が見えてきて高架線を駆け上がり2面4線の海南に着く。同駅は文字通り海南市の中心駅で、駅西側には海南市役所があり、その向こうには発電所やコンビナートが広がり、さらにその向こうにはポルトヨーロッパと呼ばれるテーマパークなどがある和歌山マリーナシティがある。海南には全ての特急が停車し、普通と緩急接続を行う列車も多い。高架化前は2面3線の地上駅で、野上鉄道と連絡していたが、野上鉄道は1994年に廃止されてしまった。

海南を出ると右にカーブして海岸沿いを進むようになる。左手に阪和自動車道と海南湯浅道路の結節点である海南ICを見て、国道42号線とともに海岸沿いを走って行く。2面2線の冷水浦を出ると塩津漁港を右手に見て一旦内陸に入り2面3線の加茂郷となる。加茂郷はかつての下津町の中心駅で、駅近くに海南市下津行政局などがある。加茂郷を出ると右手に下津港が見え、2面2線の下津となる。下津港はかつては紀伊国屋文左衛門がミカンを積んで出航した港で、今は原油の輸入港となっている。駅から3キロほど東には紀州徳川家の菩提寺長保寺がある。下津を出ると有田市に入る。右手海側には石油プラントが広がり、和歌山下津港の向こうには地の島を望むことができる。初島は1面2線で駅はカーブの途上にある。国道42号線と交差して左にカーブして2面3線の箕島となる。箕島は有田市の中心駅で、駅南側には有田市役所があり、その向こうには有田川が流れている。かつて何度も甲子園を沸かせた箕島高校も駅の南側にある。箕島には一部のくろしおが停車する。かつては側線があり、そこからミカンを積んだ貨物列車が出ていたが、今はその面影もない。2016年12月17日にICカードの利用が可能になった。ここからしばらく有田川沿いに走り、対岸に有田川温泉がある2面2線の紀伊宮原となる。同駅も箕島同様ミカンを積んだ貨物列車を運転する為側線があったが、今は撤去されて広い構内のみが残っている。紀伊宮原を出ると国道480号線と交差して有田川を渡り有田川町に入り、左手から海南湯浅道路が近づいてきて、同道路の吉備ICを見て右にカーブして2面2線の藤並となる。2003年12月までは同駅から有田鉄道が発着していたが、廃止されてしまった。2008年3月のダイヤ改正で橋上駅舎が完成し、特急くろしおの一部が停車するようになった。2016年12月17日からはICカードの利用も可能になった。

藤並を出ると湯浅町に入り、2面3線の湯浅となる。同駅は特急停車駅で醤油発祥の地として有名な湯浅町の中心駅となっている。2016年12月17日からはICカードの利用も可能になった。湯浅を出るとすぐに広川町に入る。広川町の役場は湯浅町との境の海岸沿いにある。紀勢線には広川ビーチ駅があるが、どちらかというと広川町の中心部からは湯浅駅へ行く方が近い。広川ビーチは2面2線の単純な配線で、1994年に開業した新しい駅である。ビーチとは名ばかりで海岸からは少し離れたところに駅がある。広川ビーチを出ると由良トンネルに入る。トンネル内で由良町に入り、トンネルを抜けて右にカーブしてしばらく国道42号線に沿って走り2面3線の紀伊由良となる。由良町の中心部とは少し離れた山間に駅はある。紀伊由良を出ると右にカーブして小坊師トンネルに入る。日高町に入って同トンネルを抜けると2面2線の紀伊内原となる。同駅は日高町の中心駅で、海岸からはかなり離れたところに駅がある。紀伊内原を出ると御坊市に入り右にカーブして右手から紀州鉄道が近づいてきて2面3線の御坊となる。紀州鉄道は駅本屋側の0番線から発着している。当駅折り返しの電車も数多く運転されており、紀伊田辺とともに拠点駅の一つとなっている。駅は御坊の市街地の外れにあり、御坊市の中心は紀州鉄道の市役所前付近にある。

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