阪神なんば線ガイド

9203F

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【阪神なんば線ガイド】

1.概要

会社名 阪神電気鉄道
路線名 なんば線
区間 大阪難波~尼崎
営業キロ 10.1km
駅数 7駅
平均駅間距離 1.69km
所要時分 10分
表定速度 60.6km/h
軌間 1435mm
電気方式 1500V直流電化
線路 複線
保安方式 ATS
最高速度 106km/h
最大編成両数 10両

阪神なんば線は、大阪市中央区の大阪難波駅と兵庫県尼崎市の尼崎駅を結ぶ10.1kmの路線である。長らく西九条~尼崎間の阪神西大阪線として運転されていたが、2009年3月20日に大阪難波~西九条間が開通し、阪神なんば線となった。大阪難波では近鉄難波線と直通しており、大阪難波駅は従来からあった近鉄難波線の駅に乗り入れる形となっている。大阪難波では近鉄難波線の他に、地下鉄御堂筋線、四つ橋線、千日前線、南海本線、南海高野線、JR大和路線と連絡している。桜川では地下鉄千日前線、南海汐見橋支線、ドーム前では地下鉄長堀鶴見緑地線、九条では地下鉄中央線、西九条ではJR大阪環状線、JRゆめ咲線とそれぞれ連絡している。大物、尼崎では阪神本線と連絡しており、尼崎から先、三宮まで快速急行が直通運転を行っている。西大阪線時代はN特と呼ばれた特急の設定が短期間にあった以外は普通のみの運転であった。2009年3月20日の全線開通以降は快速急行、準急、区間準急、普通の4種別が運転されるようになった。このうち準急と区間準急は近鉄難波・奈良線からの乗り入れ運転のため便宜上、種別分けされているだけで、阪神なんば線内は各駅に停車する。当初は快速急行も平日データイムに関しては、阪神なんば線内は各駅に停まり、平日朝夕ラッシュ時と土休日は桜川、ドーム前、九条、西九条のみ停車となっていた。2012年3月ダイヤ改正で快速急行の西九条〜尼崎間の各駅停車はなくなり、全て通過運転となった。各駅停車の穴埋めのためデータイムの区間準急は平日も尼崎まで延長されている。

駅№ 駅名 駅間距離 営業距離 所在地 開業年月日 快速急行 普 通
HS41 大阪難波 1.1km 10.1km 大阪市中央区 2009年3月20日
HS42 桜川 0.8km 9km 大阪市浪速区 2009年3月20日
HS43 ドーム前 0.6km 8.2km 大阪市西区 2009年3月20日
HS44 九条 1.3km 7.6km 大阪市西区 2009年3月20日
HS45 西九条 0.8km 6.3km 大阪市此花区 1964年5月21日
HS46 千鳥橋 0.7km 5.5km 大阪市此花区 1924年8月1日  
HS47 伝法 1.5km 4.8km 大阪市此花区 1924年1月20日  
HS48 1km 3.3km 大阪市西淀川区 1924年1月20日  
HS49 出来島 1.4km 2.3km 大阪市西淀川区 1930年12月20日  
HS08 大物 0.9km 0.9km 兵庫県尼崎市 1905年4月12日  
HS09 尼崎 0km 兵庫県尼崎市 1905年4月12日

2.歴史

阪神なんば線は1924年(大正13年)1月20日に阪神伝法線として大物~伝法間が開業した。同年8月1日に伝法~千鳥橋間が延伸開業した。1928年(昭和3年)12月28日に尼崎~大物間が開業した。1960年(昭和35年)6月から難波延長線第1期工事(千鳥橋~西九条間)が着工した。1964年(昭和39年)
5月20日に伝法線から西大阪線に改称した。同年5月21日に難波延長線第1期工事が完成し、千鳥橋~西九条間が延伸開業した。

1965年(昭和40年)9月から西大阪線特急の運転を開始した。1967年(昭和42年)8月10日に難波延長線第2期工事(西九条~九条間)が着工した。9月に難波延長線第2期工事を中止した。同年11月12日に架線電圧を600Vから1500Vに昇圧した。1968年(昭和43年)3月17日にATSが設置された。

1974年(昭和49年)12月1日に西大阪線特急を廃止した。1978年(昭和53年)12月27日に全線を軌道法に基づく軌道から地方鉄道法に基づく鉄道に変更した。1994年(平成6年)2月20日に大物~福間が高架化工事のため上り線部分のみを残して単線化された。1995年(平成7年)1月17日に発生した阪神・淡路大震災で全線不通になった。翌日夕方から運行を再開した。
1996年(平成8年)8月31日に大物~福間の下り線部分が高架化された。1998年(平成10年)9月26日に高架化工事完成により大物~福間が複線に復帰した。2001年(平成13年)7月10日に延伸区間の建設と、開業後の第三種鉄道事業を行うため、西大阪高速鉄道を設立した。
2003年(平成15年)7月26日に尼崎駅改良工事に伴い尼崎~大物間が単線となった。同年10月7日に大阪ドームで、延伸区間(西九条~近鉄難波間)の工事起工式を実施した。2004年(平成16年)3月27日に尼崎~大物間の仮線切替に伴い、大物駅構内が複線に復帰した。2007年(平成19年)4月21日に正蓮寺川橋梁立体交差工事に伴い伝法~千鳥橋間が単線となった。同年8月9日に難波延伸開業時の既存区間を含めた新路線名が「阪神なんば線」と正式に決定した。
2008年(平成20年)2月2日に尼崎~大物間の営業線切替に伴い、再び大物駅構内が単線となった。同年3月10日に九条~近鉄難波間の地下区間が貫通した。3月31日に阪神なんば線全通に合わせ近鉄難波駅が「大阪難波駅」に改称することが発表された。同年8月30日に正蓮寺川橋梁立体交差工事の進捗に伴い伝法~千鳥橋間が複線に復帰した。同年10月16日に近鉄難波駅引上線西端において、延伸区間の軌道と締結した。同年11月9日に桜川(西側引上線)~近鉄難波間で初列車を運転した。同年12月20日に尼崎駅改良工事の進捗に伴い尼崎~大物間が複線に復帰した。
2009年(平成21年)1月中旬から延伸区間全線において、試運転を開始した。1月23日から営業列車の延伸区間試運転に伴い、6両編成での運転を開始した。同年3月20日に西九条~大阪難波間が開業し、西大阪線から阪神なんば線に改称された。近鉄奈良線との直通運転を開始した。三宮(現在の神戸三宮)~近鉄奈良間で快速急行の運転を開始した。同年10月14日に阪神なんば線が、日本鉄道賞を受賞した。

2012年(平成24年)3月20日ダイヤ改正で快速急行が平日昼間時も大物~千鳥橋の各駅を通過するようになった。代わりに同時間帯の近鉄線からの区間準急を大阪難波発着から尼崎発着に延長した。2014年(平成26年)4月から駅ナンバリングを導入した。

3.概要

大阪難波は近鉄難波線の旧近鉄難波に乗り入れる形になっている。阪神なんば線開業に際して近鉄難波から大阪難波へと改称された。駅構内は従来通り近鉄が管理しており、阪神の顔が覗けるのは専用の券売機があることと、車両が乗り入れてくるぐらいで、あとは従来通り近鉄一色といった感じだ。ホームの配線は従来通り2面3線となっており、奈良方面へのホームが1面2線になっている。阪神なんば線開業に際して3番線は下りエスカレータの設置などが行われ、尼崎方面へのスルー運転に対応した。1・2番線は従来通り奈良方面行きホームだが、1番線は特急専用から一般車の発着も行われており、逆に2番線から発車する特急も設定されている。なお、1番線では近鉄特急が縦列停車して発車の順番を待つ光景が見られたが、これは現在も継続されている。尼崎方の引き上げ線は従来は3本あったが、うち2本が阪神なんば線の本線となったため、1本に減少した。このため隣の駅の桜川に近鉄専用の引き上げ線が2本設けられており、ここで近鉄難波・奈良線の電車が多数折り返している。また、大阪難波では近鉄の乗務員から阪神の乗務員への交代が行われていない。大阪難波~桜川間は近鉄の乗務員が受け持ち、阪神の乗務員への交代は桜川で行われている。線路戸籍上は大阪難波~桜川間は阪神の路線だが、実質的には近鉄の路線のような感じになっている。阪神特有の発車メロディが流れるのも桜川からとなっており、桜川以西が阪神なんば線で、大阪難波~桜川間は近鉄難波線の延伸線のような趣きである。なお、大阪難波では近鉄難波線と直通するほか、地下鉄御堂筋線、四つ橋線、千日前線、南海本線、南海高野線、JR大和路線と連絡している。地下鉄各線との乗り換えは割合便利だが、南海、JRとはかなり離れている。立地としては大阪難波が一番便利な位置にあると言え、南海とJRの難波が街の外れにあると言ったところだろうか。

桜川は1面2線の構造で、先述したとおり尼崎方に引き上げ線が2本ある。この引き上げ線は近鉄の電車が折り返しに使用しており、近鉄電車が大阪難波から桜川まで回送されてくることが多い。阪神電車の折り返しはなく、阪神なんば線の電車は全て大阪難波まであるいはそれ以遠へ直通している。桜川では地下鉄千日前線と連絡しており、近くには南海汐見橋支線の汐見橋もある。

地下鉄千日前線は桜川を出ると右にカーブして野田阪神へ向かうが、阪神なんば線はしばらく千日前通の下を走る。木津川の手前あたりで右にカーブして千日前通から離れて 木津川の下をくぐり、地下鉄長堀鶴見緑地線と交差してドーム前に着く。ドーム前は1面2線でホームは吹き抜け構造で開放感のある構造になっている。京セラドーム(大阪ドーム)への最寄駅で、長堀鶴見緑地線のドーム前千代崎と連絡している。京セラドームの間近に駅があり、今後難波方面、奈良方面、神戸方面からドームへ向かう利用は阪神なんば線が独占しそうだ。阪神としてはサブフランチャイズの京セラドームへ路線がつながり、フランチャイズの強化が行える。近鉄としては球団を手放す前に開業して欲しかったところだろうが、オリックスバファローズは京セラドームがフランチャイズとなっているので、近鉄バッファローズの血を引く同球団の観客輸送を担うことが漸くできるようになる。ドーム前を出ると民有地の下を走り、左にカーブして九条となる。


九条は1面2線で、ホームの尼崎方先端からは地上への開口部が望める。この開口部は曰くつきで阪神なんば線開業を大幅に遅らせた反対運動があったのはこの開口部周辺の地域である。それに配慮してか地上部では高架路線ながらシェルターで線路を覆っており、電車からの見晴らしはあまり良くない。九条では地下鉄中央線と連絡している。

九条を出ると先述したとおり地上に出て高架線に上がる。シェルター付の高架線を走り、安治川を渡るトラス橋で一瞬視界が広がるが、渡り終えるとすぐにシェルター付高架に戻る。JR大阪環状線と交差して西九条に着く。西九条は2面2線で、従来は西大阪線の終点だったが、尼崎方に渡り線がある以外は完 全にスルー構造になっている。西九条はホームが延伸されて21m級の近鉄車10両編成が停まれる長さになっている。ここまでの各駅は快速急行が終日停車するため、全て近鉄車10両編成が停まれるホーム有効長が確保されている。西九条ではJR大阪環状線の他に、JRゆめ咲線と連絡している。ゆめ咲線との連絡によりUSJと直結しており、神戸方面はもとより難波や奈良方面からUSJへ行くのが便利になった。

西九条を出ると左にカーブして六軒家川を渡る。このあたりは制限がきついカーブが連続する。左カーブしながら2面2線の千鳥橋に着く。同駅から大物までは近鉄車6両編成分のホーム有効長に延伸されている。千鳥橋はかつての計画では2面4線となって普通の追い抜きを行えるようになっていたが、先述したように九条周辺で阪神の難波延伸に対して反対運動が起こり、西九条から先の計画がとん挫したため、その間に待避線予定地にビルが建ち、現在はとても待避線が設置できるような状態ではない。ここに待避線があればなんば線のダイヤも今少し違ったダイヤとなっていただろう。

千鳥橋を出ると右にカーブして正蓮寺川を渡ってしばらく走り2面2線の伝法に着く。伝法は阪神西大阪線の当初の終点で、当時は 伝法線と呼ばれていた。千鳥橋同様近鉄車6両編成に対応したホームの延伸が行われている。

伝法を出ると淀川を渡る。並行して国道43号線も淀川を渡るが、淀川下流域のためかなり長い鉄橋となっている。なんば線沿線は海抜ゼロメートル地帯となっており、高潮などの時には淀川橋梁は閉鎖されてしまう。伝法から出来島までは直線区間が続くため、西九条~尼崎間ノンストップの快速急行はMAXの100km/hで疾走する。淀川を渡り終えると2面2線の福となる。福駅は駅周辺に余裕があり、2面4線化が容易にできそうな感じがする。今のところそのような計画はないが、近鉄特急の乗り入れなどでダイヤが切迫してきた時には同駅か千鳥橋の2面4線化が検討されるかもしれない。

福を出ると高架線に駆け上がり2面2線の出来 島となる。立派な高架駅となっており、旧西大阪線の駅の中では西九条とともに小奇麗な駅になっている。同駅の延伸に関しては高架化と同時に行われており、各駅に先立って近鉄車6両編成が停まれる有効長になっている。

出来島を出ると頭上を阪神高速神戸線が越えていき、すぐに神崎川を渡る。続いて左門殿川を渡って大阪市西淀川区から兵庫県尼崎市に入る。小田南公園の向こう側に本線の高架線を見ながら左にカーブして本線と合流する形で3面4線の大物となる。大物は本線と線路別複々線の形で本線下りとなんば線上りが同一ホームで乗り換えが可能となっている。

大物を出ると左手に尼崎車庫を見ながら本線と並行して走り、一段高い高架に上がった本線下り線の下をくぐって終点の尼崎に到着する。尼 崎ではなんば線は3・4番線を使用している。全体では4面6線の構造になっており、2・5番線は両側をホームで挟まれており、両側の扉を開けてなんば線電車との乗り換えを平面移動で済むようにしている。なんば線快速急行は原則2・5番線に停車する本線普通と連絡し、さらにその向こうの1・6番線に停まる本線尼崎止まりの急行と普通を介して乗り換えられるようにしている。神戸方には引き上げ線があり、基本的には尼崎止まりの電車は一旦引き上げ線に引き上げて再入線するようになっている。

  

鉄道コム

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