南海本線(難波~堺間)ガイド【2種類の複々線区間が存在する】

50501Fラピート

3.南海本線(難波~堺間)路線ガイド

難波駅は9面8線の巨大ターミナル駅で、キタの阪急梅田と並ぶ関西私鉄を代表する駅である。伝統ある高島屋が入る重厚な駅ビルは大阪ミナミの顔としてテレビなどでもよく見られる。巨大ターミナルを形成しているが、阪急梅田同様改装時に駅の位置が変わり、各線との乗り換えは不便になった。阪急が茶屋町地区を開発したのと同じように南海も大阪球場跡を再開発してなんばパークスなどの新しい集客施設を造った。この辺りはキタの阪急と双璧といった感もあるが、如何せんキタに比べて、ミナミの衰退は否めない。大型プロジェクトが多いキタに比べるとミナミは頭打ちの感がある。

南海本線は5番線から9番線を使用し、9番線が空港特急ラピート専用ホームで、同じ線に発着する8番線ホームからは一部の普通車が発着している。5・6番線は特急サザン、急行、区間急行、空港急行が発着し、7番線からは普通が発着している。都合5面4線を本線が使用しており、残りの4面4線を高野線が使用する。本線と高野線は線路別複々線の形になっているが、線路戸籍上は全て本線の線路となっており、難波~岸里玉出間は高野線が本線に乗り入れる形である。

難波を出ると大阪球場跡に建てられたなんばパークスを見ながら右にカーブして高架線を走る。阪神高速環状線の下をくぐり、高野線の今宮戎駅のホームを見ながら、本線はそのまま通過する。先述したとおり、本線は今宮戎と萩ノ茶屋にはホームがなく、全ての電車が通過する。JR大阪環状線・大和路線の線路を跨ぐため、一段高い高架に上がり、3面4線の新今宮に着く。JR大阪環状線、大和路線との乗り換え駅で、改札は別になっているが、同じフロアにコンコースがあり、乗り換えは便利だ。もっとも高野線下りホーム以外は階段の昇り降りが2回になるため、近鉄鶴橋ほど乗り換えが便利ではない。本線下り線は高野線上り線とホームを共用している。空港特急ラピートは関空開港当初難波~関西空港間をノンストップで走るラピートαが設定されていたが、現在は全て主要駅停車タイプとなっており、新今宮にはラピート以下全ての列車が停車する。新今宮の乗降客のほとんどはJRとの乗り換えで、当駅にて乗り降りする人は少ない。JR新今宮駅の天王寺側では阪堺線の新今宮駅前電停及び大阪市地下鉄堺筋線の動物園前と連絡しているが、南海新今宮からは改札を出てから少し歩かなければならない。

新今宮を出ると高々架から下りて、高野線の萩ノ茶屋を見ながら本線電車は全列車通過していく。天下茶屋も3面4線で、新今宮とほぼ同構造の高架駅だが、同駅は1995年に高架化されたため、造りは断然こちらの方が新しい。1996年から優等列車の停車が始まり、現在はラピート以下全ての優等列車が停車する。これは1993年に開業した大阪市地下鉄堺筋線の延伸に対応するもので、それ以前は普通しか停まらない小駅だった。地下鉄延伸の効果はかなり大きく同駅の乗降者数は5万人を超えるようになった。今では難波、新今宮と並ぶ大阪側のターミナル駅として機能している。

天下茶屋から先も高架線を走る。高野線が分かれて、右手から汐見橋線(正式には高野線)が合流して1面3線の岸里玉出となる。上下線の間に島式ホームが1面あり、上りのみ通過線がある。汐見橋線のホームは対面にあるが、高野線のホームは連絡通路を渡って乗り換えることになり、少し離れている。高野線との乗り換え駅になっているが、両線とも普通、各停しか停まらず乗り換えが不便なため、両線相互間の乗り換えは天下茶屋までの重複乗車が認められている。東側に阪堺線の東玉出電停があり、西側の国道26号線下には地下鉄四つ橋線が並行して走っている。狭い地域に鉄道が密集しているため、各駅とも乗降者数を分け合うためか少ない。

岸里玉出からは複々線になる。難波~岸里玉出間も複々線だが、高野線との線路別複々線とのため、本線は複線しか使えない。岸里玉出以南の複々線は純然たる南海本線単独の複々線で、方向別複々線となっている。JR東海道山陽本線の複々線は外側を優等列車や新快速が走り、内側線に緩行電車が走る。京阪は逆に内側に優等列車が走り、外側を緩行電車が走る。南海はそのどちらでもなく、和歌山側へ向かって一番左側から下り緩行線、下り急行線、上り緩行線、上り急行線の配置となっている。岸里玉出から先も高架線を走る。粉浜は2面4線で、急行線が通過する側のホームは柵が設けられている。東側には阪堺線が並行して走っており、東粉浜電停がある。次の住吉大社も駅構造としては粉浜と同じで、急行線側には柵が設けられた2面4線の構造になっている。西側(海側)に住吉公園、東側には住吉大社がある。住吉大社は初詣に訪れる人が多いことで有名で、正月三箇日には周辺を走る阪堺線ともども南海本線の住吉大社も賑わい、空港急行や区間急行、急行も臨時停車する。かつては高架下に阪堺上町線の住吉公園駅があったが、2017年1月31日で廃止された。

住吉大社を出ると右にカーブして、右手海側に高架の車庫が広がるのを見ながら2面4線の住ノ江に着く。住ノ江車庫が併設されており、和歌山市方に引き上げ線もあり、同駅始発の普通の運転もあるが、ほとんどの出庫電車は難波へ回送されていく。粉浜や住吉大社と同じ2面4線だが、同駅は通過線に柵は設けられていない。関西で住之江と言えば競艇場を思い起こすが、住之江競艇場は地下鉄四つ橋線の住之江公園付近にあり、南海住ノ江からはかなり離れている。

住ノ江を出ると複々線の一部が引き上げ線となって、複々線が終了する。引き続き高架線を走るが、しばらくの間上下線の間に複々線の用地あり、大和川橋梁あたりまでは線路用地が十分確保されている。堺市に入って、右にカーブしながら1面2線の七道となる。海側は工場地帯だったが再開発によりイオンモールなどができて、駅周辺は一変している。ここまで岸里玉出の上り線以外に待避線がないため、普通車は複々線区間以外で追い抜きを行わない。次の堺は2面4線の特急停車駅で、ラピートα以外の全列車が停車する。南海本線の主要駅の一つだが、堺市の中心駅ではなく、堺市の中心駅は高野線の堺東となっている。従来はここまで複々線化する計画だったが、関空輸送の停滞などにより計画はとん挫して住ノ江で複々線は途切れたままである。

 

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