【阪急そば発祥の主要3線が集まる乗り換え駅】
阪急神戸本線、宝塚本線、京都本線十三駅は大阪市淀川区にある。阪急の主要3線が一堂に会する一大結節点で、各線間の乗り換えが非常に多い駅である。阪急では梅田までの重複乗車は認めていないため、3線を乗り継ぐには当駅で乗り換えるか、梅田までの別途運賃を支払うかしなければならない。京都本線は線路戸籍上は当駅が起点となっており、十三~梅田間は宝塚本線の線増線扱いになっている。とはいえ、線路は個別になっており、あくまでも書類上の話である。十三駅は1910年3月10日に宝塚本線の前身である箕面有馬電気軌道の駅として開業した。1920年7月16日には箕面有馬電気軌道から社名を阪神急行電鉄になり、神戸本線が開業して、神戸本線にも駅が設置された。1921年4月1日に京都本線の前身となる北大阪電気軌道の十三駅が開業した。北大阪電気軌道はこの時点では十三~豊津の間が開業していた。1923年4月1日には北大阪電気軌道が新京阪鉄道に譲渡され、同社の駅となった。この時点での路線は十三と現在の千里線の千里山までが開通しているだけで、京都本線の淡路から先はまだ開通していなかった。1926年7月5日には梅田~十三間の高架化が完成した。1930年9月15日には新京阪鉄道が京阪電気鉄道に合併され、十三駅は、京阪十三線の駅となった。1943年10月1日には戦時統合により阪神急行電鉄と京阪電気鉄道が合併し、京阪神急行電鉄となった。1949年12月1日には戦時統合された京阪電気鉄道の路線のうち、新京阪線、十三線を除く路線が京阪電気鉄道として分離譲渡された。これにより新京阪線は京阪神急行の路線となったため、京都本線に改称された。当時の京都本線は天神橋(現天神橋筋六丁目)と京阪神京都(現大宮)を結ぶ路線となっており、十三~淡路間は十三線のままだった。1959年2月18日には宝塚本線の梅田~十三間が複々線化され、新設された東側の2線は京都本線が使用するようになった。また、十三線を京都本線に編入して、京都本線は十三を起点、京阪神京都を終点とする路線となった。これにより天神橋~千里山間は千里山線となった。これらにより現在の形態となる十三駅がここに完成したことになる。1967年には神戸本線上り2号線と宝塚本線下り3号線ホームに阪急そばが出店した。これが関西私鉄では最古となる駅そば屋となった。
各線ともホーム2面2線ずつを使用しているが、神戸本線上り2号線と宝塚本線下り3号線、宝塚本線上り4号線と京都本線河原町方面上り5号線はホームを共用している。単独ホームは神戸本線下り1号線と京都本線梅田方面下り6号線のみである。
神戸本線は1号線、2号線を使用している。ホーム有効長は10両編成分ある。2号線ホームは平日朝ラッシュ時のみ、10両編成停車位置である梅田寄り2両分のホームを開放するが、それ以外の時間帯は柵で仕切られて立ち入り禁止にしている。
1号線ホームは単独ホームで、梅田寄りには定期券売り場が設けられている。また、1号線は西改札に面している。
2号線は3号線とホームを共用しており、直線になっている神戸本線2号線と構内で右にカーブしている宝塚本線3号線がホームを共用するため、ホームが扇形の形状になっている。
扇形の形状のため、ホーム有効スペースが大きく取れるため、ホーム上に店舗が数多く設けられている。これは最近はやりの駅ナカのハシリとも言え、関西私鉄では初となる阪急そばなどがかなり昔から店を構えている。
2号線、3号線ホームには阪急そばの他に、551蓬莱やみたらし団子で有名な喜八洲総本舗なども店舗を構えており、以前はマクドナルドも構内に店舗を出していた(現在は阪急の傍系のフレッズカフェに変わっている)。
4・5号線は宝塚本線上りと京都本線河原町方面上りが共用している。京都本線のみは梅田行きが上りではなく、河原町行きが上りとなっている。このあたりは新京阪線の名残と言え、京阪本線も同様に京都方面が上り、大阪方面が下りとなっている。
6号線は京都本線梅田方面下りホームで、梅田寄りに東改札がある。
十三駅では2018年現在、3号線宝塚線下りホームにホームドア設置の工事が進められており、4号線宝塚線上りホーム、5号線京都線下りホームにも設置が予定されている。
改札は先述したように2ヶ所あり、西改札と東改札がある。西改札がメインの改札で有人改札になっている。ICカード対応の自動改札機と自動券売機が設置されている。
西口は十三トミータウン商店街に繋がっており、駅前は商店街のアーケードの中にある。この商店街の中に、構内にも店舗を出しているみたらし団子で有名な喜八洲総本舗がある。
十三トミータウン商店街の北側にはしょんべん横丁と呼ばれる酒場があり、2014年に大火事で大半の店舗が焼失してしまったが、徐々に復興しており、飲食店の店舗が所狭しと並ぶ光景が戻りつつある。
商店街を抜けて国道176号線十三筋に出ると大阪シティバスや阪急バスのバス停があり、タクシーを拾うこともできるが、タクシーが常駐しているスペースは非常に狭い。十三筋を渡ると商店街と歓楽街が広がっており、飲食店も多くがんこ寿司の本店などもある。また、近年はビジネスホテルなども進出しており、旅行者も増加してきている。
東改札は無人化されており、ICカード対応の自動改札機と自動券売機が設置されているだけである。
東口も駅前は商店街になっており、小さな広場がある程度で、車の乗り入れはできない。こちらは十三駅前商店街が軒を連ねており、アーケードが北へ東へと延びている。
阪急神戸線十三駅の2016年度1日あたりの乗車人員は11,059人で、うち定期利用者は5,493人となっている。10年前の2006年度と比較すると全体で0.1%減、定期利用者は2.8%減、定期外利用者は1.1%増となっており、ほぼ横ばいの数字となっている。神戸線単体の利用者としてはそれほど多くない。
阪急宝塚線十三駅の2016年度1日あたりの乗車人員は11,910人で、うち定期利用者は5,871人となっている。10年前の2006年度と比較すると全体で5.6%減、定期利用者は11.2%減、定期外利用者も0.7%減と減少傾向にある。
阪急京都線十三駅の2016年度1日あたりの乗車人員は13,070人で、うち定期利用者は6,181人となっている。10年前の2006年度と比較すると全体で0.1%減、定期利用者は4.8%減、定期外利用者は4.6%増となっている。他線よりも利用者が多いのは、十三から梅田へ向かうには京都線が運転本数が多く、中津にも停まらないため所要時間が多少なりとも短いという理由もあるだろう。
2016年度阪急神戸線十三駅での京都線、宝塚線への乗り換え客は45,511人で、うち定期利用者は24,012人となっている。10年前の2006年度と比較すると全体で12.9%増、定期利用者は14.0%増、定期外利用者も11.8%増と増加傾向にある。
2016年度阪急宝塚線十三駅での京都線、神戸線への乗り換え客は36,377人で、うち定期利用者は18,978人となっている。10年前の2006年度と比較すると全体で12.4%増、定期利用者は13.2%増、定期外利用者は11.5%増となっており、増加している。それでも京都線、神戸線と比べると十三での乗り換え需要は少なく、宝塚線では梅田志向がまだまだ強い。
2016年度阪急京都線十三駅での神戸線、宝塚線への乗り換え客は58,279人で、うち定期利用者は31,610人となっている。乗り換え客の数字は神戸線、宝塚線よりも多い。京都線では淡路で堺筋線、千里線の乗り換えがあり、十三でさらに乗り換え客が減るため、梅田へ向かう旅客は神戸線、宝塚線と比べるとかなり少ない。10年前と比べると全体で16.9%増、定期利用者は17.5%増、定期外利用者は16.2%増となっている。