能勢電鉄妙見線ガイド【北極星信仰の聖地霊峰妙見山へ向かう】

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1.概要

会社名 能勢電鉄
路線名 妙見線
区間 川西能勢口~妙見口
営業キロ 12.2km
駅数 9駅
平均駅間距離 1.53km
所要時分 24分
表定速度 30.5km/h
軌間 1435mm
電気方式 1500V直流電化
線路 複線(川西能勢口~山下)
単線(山下~妙見口)
保安方式 ATS
最高速度 70km/h
最大編成両数 8両

能勢電鉄妙見線は阪急宝塚線の川西能勢口と能勢妙見山の麓妙見口を結ぶ路線で、12.2kmを急カーブ急勾配の中を走っている。そのため、電車はかなり遅く、表定速度は30.0km/hにも満たない。車両は全て阪急電車のお古を使用しているが、阪急線内を高速で走っていた電車も今やノロノロと走っている。運転は基本的に普通が主体だが、ラッシュ時には阪急宝塚線に直通する特急日生エクスプレスや妙見急行、日生急行も運転される。普通は山下から日生線に入る日生線直通系統もあり、日生エクスプレスや日生急行も当然日生線に乗り入れている。日生線直通系統に接続する山下-妙見口間の区間電車も設定されており、この電車はほとんど2連で運転されている。

駅番号 駅名 駅間キロ 営業キロ 所在地
NS01 川西能勢口 0km 兵庫県川西市
NS02 絹延橋 1.2km 1.2km 兵庫県川西市
NS03 滝山 0.9km 2.1km 兵庫県川西市
NS04 鶯の森 0.6km 2.7km 兵庫県川西市
NS05 鼓滝 0.8km 3.5km 兵庫県川西市
NS06 多田 0.7km 4.2km 兵庫県川西市
NS07 平野 1km 5.2km 兵庫県川西市
NS08 一の鳥居 1.2km 6.4km 兵庫県川西市
NS09 畦野 0.7km 7.1km 兵庫県川西市
NS10 山下 1.1km 8.2km 兵庫県川西市
NS11 笹部 0.4km 8.6km 兵庫県川西市
NS12 光風台 1.7km 10.3km 大阪府豊能郡豊能町
NS13 ときわ台 0.9km 11.2km 大阪府豊能郡豊能町
NS14 妙見口 1km 12.2km 大阪府豊能郡豊能町

2.歴史

能勢電鉄妙見線は1913年(大正2年)4月13日に能勢口(現在の川西能勢口)~一ノ鳥居間(現在の一の鳥居)が開業した。開業当時の停留所は能勢口、絹延橋、滝山、皷ヶ滝(現在の鼓滝)、多田、平野、一ノ鳥居で、皷ヶ滝に交換設備が設置され、多田駅付近には併用軌道があった。1916年(大正5年)9月5日に滝山~皷ヶ滝間に矢問停留場を新設した。

1917年(大正6年)8月8日に池田駅前(のちの川西国鉄前)~能勢口間が開業した。1923年(大正12年)11月3日に一ノ鳥居~妙見(現在の妙見口)間が開業し全通した。開業当時の停留所は畦野、山下、笹部、隧道東口、妙見で、畦野、山下、隧道東口に交換設備が設置された。1935年(昭和10年)11月14日に矢問~皷ヶ滝間、平野~一の鳥居間、隧道東口~妙見間の曲線改良が行われた。

1952年(昭和27年)6月8日に多田停留所を移転し、多田停留所の前後にあった併用軌道から新設の専用軌道に切り替えられた。1953年(昭和28年)8月21日に鶯の森停留所を新設した。矢問停留所を廃止した。1955年(昭和30年)5月1日に平野~一ノ鳥居間に塩川信号所を新設した。1958年(昭和33年)4月10日から2両編成での運転を開始した。1959年(昭和34年)8月21日に能勢口以北から池田駅前への直通運転がなくなった。

1965年(昭和40年)1月25日に塩川信号所が廃止された。同年4月1日に池田駅前を川西国鉄前に、能勢口を川西に、皷ヶ滝を皷滝に、妙見を能勢妙見口に改称した。同年7月1日に川西を川西能勢口に、能勢妙見口を妙見口に改称した。1966年(昭和41年)1月17日から車両の集電装置をトロリーポールからパンタグラフに変更した。同年1月25日に平野車庫完成し、絹延橋車庫を廃止した。架線吊下方式をカテナリー式に変更した。同年4月20日に川西能勢口駅改良が完成し、営業距離が0.1km短縮された。同年12月27日に旧塩川停留所付近の曲線を改良した。

1967年(昭和42年)8月9日に一の鳥居駅付近の曲線を改良した。同年11月30日に川西能勢口~鶯の森間が複線化された。同年12月3日から川西能勢口~平野間を通票閉塞から自動閉塞に変更した。1968年(昭和43年)4月24日から3両編成での運転を開始した。同年7月7日に隧道東口~妙見口間にときわ台停留所を新設した。同年7月25日から平野~妙見口間を自動閉塞に変更、これにより通票閉塞を全廃した。同年12月5日に多田~平野間を新線路に切り替えた。

1969年(昭和44年)5月25日に鶯の森~皷滝間を新線に切替えた。これにより営業距離が0.1km短縮された。同時に皷滝停留所を移転した。同年10月5日に鶯の森~平野間が複線化された。最高速度を40km/hから60km/hに向上され、急行の運転を開始した。1971年(昭和46年)4月7日から川西能勢口~平野間で4両編成列車の運転を開始した。

1972年(昭和47年)3月20日にときわ台~妙見口間で曲線改良が行われ、吉川トンネルが開通した。1973年(昭和48年)4月1日に一ノ鳥居駅を一の鳥居駅に改称。平野~一の鳥居間を新線に切替え、営業距離が0.1km短縮された。1974年(昭和49年)5月19日に一の鳥居~畦野間を新線に切替えた。1975年(昭和50年)4月9日から5両編成列車の運転を開始した。1976年(昭和51年)4月11日に山下駅付近が高架化され、営業距離が0.1km短縮された。

1977年(昭和52年)4月24日に平野~山下間が複線化された。同年10月16日に笹部~ときわ台間を新線に切替え、営業距離が0.1km短縮された。隧道東口信号所を廃止した。同年12月27日に川西国鉄前~妙見口間を軌道法による軌道から地方鉄道法による鉄道に変更した。1978年(昭和53年)10月16日に笹部~ときわ台間に光風台駅を新設した。

1981年(昭和56年)12月20日に川西国鉄前~川西能勢口間が廃止された。1983年(昭和58年)3月20日に大型車両導入に対応するため、笹部第一トンネルを使用開始した。1988年(昭和63年)7月2日に昼間の川西能勢口~山下間で、普通列車を20分間隔から10分間隔に増発した。1995年(平成7年)3月26日から架線電圧を600Vから1500Vに昇圧した。1996年(平成8年)11月16日から朝夕ラッシュ時を除きワンマン運転を開始した。

1997年(平成9年)11月15日に川西能勢口駅付近連続立体交差事業が竣工した。翌11月16日にダイヤ改正を実施。梅田~日生中央間に特急「日生エクスプレス」を新設した。朝に梅田行き3本、夕方に日生中央行き3本が運転された。阪急8000系8両編成で運転され、日生エクスプレスが停車する日生中央、山下、畦野、平野、川西能勢口の各駅は8両編成停車に対応するためホーム延伸が行われた。同改正では線内最高速度が60km/hから70km/hに向上した。

2000年(平成12年)6月4日から平日夕方にもワンマン運転を実施した。2003年(平成15年)5月6日から日生エクスプレスを除き終日ワンマン運転を実施した。2013年(平成25年)12月21日から全駅に駅ナンバリングを導入した。2017年(平成29年)3月18日ダイヤ改正で、土曜ダイヤに残っていた妙見急行・日生急行が廃止された。

3.路線ガイド

川西能勢口は阪急宝塚線と同じく高架化されており、宝塚線上りホームとはホーム上で乗換えができるようになっている。改札は阪急と共用になっており、阪急との乗換えはスルーで行える。能勢電の電車は通常行き止まり式ホームの4号線から発着し、3号線に発着する宝塚線上り電車とホーム上で接続を図っている。4号線は両面をホームに挟まれており、その向こうには同じく行き止まり式の5号線があり、ラッシュ時などには同ホームからの発着もある。また、宝塚線に直通する日生エクスプレスは共用ホームとなっている3号線から発着している。朝ラッシュ時に同駅で増結される日生エクスプレスの増結車は宝塚線の梅田方にある引き上げ線で待機している。
川西能勢口を出ると左に急カーブして阪急宝塚線と分かれて、川西市内を高架線で進む。川西市役所を左に見て、高架線を下りて、右手に阪神高速池田線を見ながら走り、絹延橋となる。右手に猪名川を見ながら進み、滝山、鶯の森となる。鶯の森を出るとS字カーブを抜けて、トンネルに入り、トンネルを出ると猪名川を渡る。猪名川を渡って国道173号線をアンダークロスして、またトンネルに入り、そのトンネルを抜けると鼓滝となる。鼓滝は乗降も多いし、付近ははスーパーダイエーなどもあり、なかなか開けているが、どちらかというと街として開けているのは国道173号線沿いといえる。次の多田も乗降が多いが、ラッシュ時に運転される日生エクスプレスや急行は停車しない。多田を出て左手に国道173号線が並行して走り、右手に車庫が見えてくると2面3線の平野となる。

平野は中間駅では畦野に次いで乗降が多く、ラッシュ時の日生エクスプレスや急行も停車する。上り川西能勢口方面行は1面2線になっており、ラッシュ時には優等と普通の緩急接続も見られる。また、車庫も併設しているので、入れ替えを行う電車や乗務員の交代などもあり、終日賑やかな駅である。駅の西側には緑台や向陽台などの住宅地が広がっている。平野を出ると勾配を上っていき山間を国道173号線と並行して進んでいく。次の一の鳥居は周辺にゴルフ場はあるが、乗降客は少ない。畦野は日生エクスプレス停車駅で、中間駅では一番乗降客が多い。畦野を出ると高架線を駆け上がり日生線を分岐して3面4線の山下となる。山下では日生中央方面と乗換えになるが、構造上階段を昇り降りしての乗換えが多い。データイムは運転本数が少ないからできるだけ2号線3号線に発着して乗換えを便利にすべきだが、日生線の折り返しがうまくいかないので、現状のようになっているのだろう。

山下を出ると右カーブして日生線と分かれる。妙見口方には折り返し線があり、留置車が置かれていることが多い。カーブを曲がりきると単線になり、1面1線の笹部となる。このあたりから山間の風情になってきてアップダウンも激しくなる。といっても関西の他の山岳路線に比べればそれほどでもない。次の光風台から大阪府豊能町には入る。光風台は2面2線の行き違い可能駅で、両側はトンネルになっているが、駅周辺は光風台の新興住宅地になっている。次のときわ台は1面1線の平凡な駅だが、ときわ台の住宅地の最寄り駅ということもあり、乗降客は結構多い。ときわ台を出て短いトンネルを抜けて大きく右にカーブして妙見口となる。妙見口は1面2線の構造で、当然ながら行き止まり構造になっている。妙見山に登るケーブル乗り場までは1キロほど離れており、バスの発着もあり、休日などにはハイカーで賑わっている。

  

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