1.概要
会社名 | 南海電気鉄道 |
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形式 | 30000系 |
使用線区 | 南海高野線 |
製造メーカー | 東急車輌 |
制御方式 | バーニヤ抵抗制御 |
主電動機 | 直流直巻電動機145kW |
ブレーキ | 発電ブレーキ併用全電気指令式電磁直通空気ブレーキ |
台車 | FS-518 |
最高速度 | 100km/h |
製造初年 | 1983年 |
電気方式 | 直流1500V |
軌間 | 1067mm |
保安装置 | ATS |
座席定員 | モハ30001 52人 モハ30100 52人 モハ30100 48人 |
扉枚数・座席形状 | 2扉回転式リクライニングシート |
車体 | 17m級鋼板製 |
所属 | 千代田検車区 |
編成 | 4両 |
既存両数 | 8両(2019年8月現在) |
南海30000系は特急こうや号用の特急車両で、老朽化していた先代こうや号の20000系を置き換えるため、1983年(昭和58年)に製造された。4両編成2本が製造された。4両全電動車で、20000系と同様に橋本以南の山岳線に対応するため17m級車両となっている。南海では電気指令式ブレーキを初めて採用した車両でもある。
2.車体
車体は普通鋼製で、橋本以南の山岳線対応のため車体長は17mとなっている。
20000系を踏襲した流線型のデザインで、前面窓は大形曲面ガラスと小形曲面ガラスを組み合わせて眺望をよくしている。
塗装は20000系と同じくこうや号のツートンカラーを纏ったが、白系はクリーム色からアイボリーホワイトに変わった。
前面の連結器は登場時は車体下部のスカート内に収納されていた。1999年の更新工事で電気連結器付き密着連結器に交換され、連結器が露出するようになった。
3.車内
座席はフリーストップ式回転リクライニングシートで自動回転機構が付いている。座席背面には背面テーブルと網袋が付いている。シートピッチは1,000mmで、20000系より50mmピッチが狭くなっている。その分定員は20000系と比較して4名分増加した。製造当初は中間車に売店営業が設置されていた。各車両出入口は1ヶ所となっている。中間車のモハ30100形には和式トイレと男性小用トイレ、洗面所を設置している。和式トイレは更新工事の際に洋式トイレに変更された。
1999年の更新工事で31000系や11000系に準じた車内に改装された。サービスコーナーは撤去されて、自動販売機を設置した車椅子スペースとなった。
4.制御方式
1C8M制御の抵抗制御を採用している。
5.主電動機
定格出力145kWの直巻電動機を使用している。20000系の90kWから大幅にパワーアップし、平坦線では高速運転、山岳線では牽引力を発揮できる性能を有している。駆動装置はWNカルダンで、歯車比は84:17となっている。
6.台車
台車は住友金属工業FS518形を採用している。コイルバネと緩衝ゴムにより軸箱を支持して、急こう配、急曲線での走行を考慮した設計になっている。
7.制動装置
南海の車両で初めて電気指令式ブレーキを採用した。電空併用の電磁ブレーキ、勾配区間の抑速ブレーキ、非常ブレーキ、直通予備ブレーキを備えている。
8.集電装置
PT-4803-A-M形下枠交差式パンタグラフを搭載している。
9.運転台
横軸2ハンドル式を南海で初めて採用した。
10.空調装置
冷房装置は10,500kcal/hの集約分散式CU-191 (三菱電機製) を各車両に3基ずつ搭載する。換気装置としてロスナイを設置し外キセで連続させている。
11.補助電源装置
出力75kVAの電動発電機、空気圧縮機をM2車、Mc2車に搭載しており、二重化されている。
12.編成
4両編成2本が製造され、2023年現在も両編成とも活躍を続けている。先代の20000系は4両編成1本のみだったので、検査時には21000系が代走したり、冬季は運休したりしていた。30000系は2本が製造されたため、特急こうやは通年運転となった。
2編成体制で運用に余裕ができたため、通勤時間帯に難波〜橋本間に通称H特急と呼ばれた通勤特急が新設された。この通勤特急は後に特急りんかんとなった。
13.運用
30000系は4両編成で特急こうやに運用されている。特急りんかんにも運用され、11000系や31000系と併結して8両編成で運転される列車もあった。
14.更新工事
2000年12月23日ダイヤ改正で特急りんかんが8両運転を開始するにあたり更新工事と連結対応改造が実施された。
先頭部の連結器を非常用密着連結器から電気連結器付き密着連結器に交換された。
車体側面に種別号車表示器と行先表示器を新設した。
冷房装置の稼働率制御化、運転室に故障表示モニタとモニタ表示器の新設。座席を電気式自動回転式に交換。
車内情報装置の新設。和式トイレの洋式化。自動扉のマットスイッチを光電スイッチに変更。手動放送装置を31000系と同一仕様に変更。
自動放送装置はテープ式から音声合成式に変更。車販準備室の撤去。
南海30000系編成表 | 4両編成 | 4両 | |
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←難波 | 極楽橋→ | ||
30001Mcp | 30100M | 30100Mp | 30001Mc |
30001 | 30100 | 30101 | 30002 |
30003 | 30102 | 30103 | 30004 |
特急こうやを中心に朝夕ラッシュ時には特急りんかんにも運用されている。ラッシュ時には11000系りんかんとの併結運転もある。