1.概要
223系2500番台は関空紀州路快速用に1999年5月10日改正で増備された近郊型車両。関空快速と紀州路快速の併結運転に伴って0番台の先頭車が不足することから、先頭車4両が製造された。2007年2月には4両編成が新造され、天王寺短絡線の複線化が完成した2008年3月には関空紀州路快速増発と編成組替え用に大量に増備された。2008年の増備により、本家の0番台を上回る両数となった。
2.車体
車体は223系0番台と同様にステンレス製を採用した。20m級車両3扉転換クロスシート車となっている。外観は0番台に合わせてストライトブルーのグラデーションラインが入れられている。0番台と同様に前面にはラインが入らないデザインになった。2000番台と同様にコストダウンのため、従来の骨組み工法から外板そのものに強度を持たせ、構造をシンプルにした。また、将来の先頭車化や中間車化改造を容易にするため、構体妻壁は別扱いで組み立てられ、本体にボルトで後付けする方式が採用された。
3.車内
0番台と同様に1-2配列の転換クロスシートを採用した。補助椅子は設置されていない。側窓は2000番台に合わせた非常時の換気用開口は内倒れ式のものに変更した。側窓ガラスについては、熱線や赤外線などの光線吸収性能を高めたものとしてカーテンを不要としている。2次車、3次車は窓ガラスの色や蛍光灯カバーの形状が変更されている。
2023年吹田総合車両所日根野支所223系2500番台編成 | |||||||
4両編成 | ←京橋 | 関西空港→ | リニューアル | Wi-Fi | 備考 | ||
11本 | クモハ223 | サハ223 | モハ223 | クハ222 | |||
44両 | Mcp | T | Mp | Tc | |||
HE417 | 2501 | 1 | 2505 | 2501 | 2023/1/17 | 2019/10/22 | |
HE418 | 2502 | 3 | 2502 | 2502 | 2020/9/7 | ||
HE419 | 2503 | 2501 | 2501 | 2503 | 2020/9/22 | 京都転属 | |
HE420 | 2504 | 2503 | 2522 | 2504 | 2019/11/13 | 京都転属 | |
HE421 | 2505 | 2504 | 2525 | 2505 | 2019/6/12 | 京都転属 | |
HE422 | 2506 | 2 | 2503 | 2506 | 2021/1/26 | 2021/1/26 | |
HE423 | 2507 | 4 | 2504 | 2507 | 2020/2/3 | ||
HE424 | 2508 | 2505 | 2526 | 2508 | 2019/8/20 | 京都転属 | |
HE425 | 2509 | 2508 | 2506 | 2509 | 2020/7/21 | 京都転属 | |
HE426 | 2510 | 6 | 2507 | 2510 | 2019/10/7 | 2019/10/7 | |
HE427 | 2511 | 8 | 2508 | 2511 | 2021/3/15 | 2021/3/15 | |
HE428 | 2512 | 10 | 2511 | 2512 | 2019/8/27 | 2019/8/27 | |
HE429 | 2513 | 12 | 2512 | 2513 | 2019/7/19 | 2019/7/19 | |
HE430 | 2514 | 14 | 2515 | 2514 | 2020/10/12 | ||
HE431 | 2515 | 16 | 2516 | 2515 | 2022/6/21 | 2019/9/16 | |
HE432 | 2516 | 18 | 2519 | 2516 | 2022/8/16 | 2019/7/15 | |
HE433 | 2517 | 2502 | 2520 | 2517 | 2019/10/8 | 京都転属 | |
HE434 | 2518 | 2506 | 2523 | 2518 | 2020/11/22 | 京都転属 | |
HE435 | 2519 | 2507 | 2524 | 2519 | 2020/8/23 | 京都転属 |
4.主電動機
定格出力220kWのかご形三相誘導電動機 WMT102Bを採用。
5.制御方式
IGBT素子を使用した3レベル電圧形PWMインバータで、インバータ1基で1台の主電動機を制御する1C1M制御方式を採用している。
6.台車
ヨーダンパ付ボルスタレス台車WDT59(電動車)、WTR243A(付随車)
7.制動装置
電気指令式(直通・回生・抑速)、純電気ブレーキ(三菱・東芝インバータ車)
8.補助電源装置
2000番台と同様に、VVVFインバータ制御部と一体型となったWPC10を採用している。補助電源部は三相交流440V、150kVAの容量となっている。
補助電源部が故障した際に主回路用インバータをCVCF制御することで補助電源のバックアップする機能は1次車は準備工事となっている。2次車、3次車からはその機能を搭載している。
9.集電装置
下枠交差型パンタグラフを採用。電動車に1基搭載している。もう1基搭載できる準備工事も施行されている。
10.車両性能
最高速度は0番台と同様に120㎞/hとなっている。起動加速度2.1㎞/h/s以上、常用最大減速度3.5㎞/h/s、非常時減速度4.2㎞/h/sでいずれも130㎞/h運転を行う2000番台よりも低くなっている。
11.運転台
運転台のマスコンは、221系から引き続きブレーキとマスコンが別々の横軸ツインレバー型を採用している。
12.編成
223系2500番台の製造当初の編成は5両編成と3両編成に組成されていた。これが2008年3月15日ダイヤ改正での関空紀州路快速増発時に4両編成化されて、以降全ての車両が4両編成となっている。投入当初から223系0番台と混成した編成があり、現在でも0番台の編成に組み込まれている車両がある。
13.車両変遷
223系2500番台は1999年5月10日ダイヤ改正で、関空快速と併結運転を行う紀州路快速を新設するにあたり、新製された。既存の223系0番台の編成組替えに伴う車両不足を補うための新製で、編成単位での製造はなかった。
クモハ223とクハ222がそれぞれ2両新製された。この時中間車の新製はなく、4両のみの新製だった。
2006年度には予備車確保の名目で223系2500番台5両編成と3両編成が各1本新製された。これが223系2500番台では初めての編成単位での製造となった。
2008年3月15日ダイヤ改正で、天王寺連絡線が複線化された。これにより関空・紀州路快速は毎時2本から毎時3本に増発された。これを機に関空快速、紀州路快速の編成が見直され、4両編成2本を繋いだ8両編成になった。これに伴い223系2500番台が増備され、4両編成が5本と既存編成を4両に組替えるため、先頭車20両、中間車20両が別に新製された。これにより0番台も含めた日根野電車区の223系は4両編成35本の陣容となった。
2022年3月12日ダイヤ改正で大幅な減便が行われ、運用見直しなどにより7編成が日根野支所から京都支所へ転属した。2023年5月現在、吹田総合車両所日根野支所の223系2500番台は4両編成11本となっている。このうち0番台の組み込みがあるため、2500番台は40両(7両は0番台編成に中間車として組み込み)となっている。