JR草津線ガイド【旧東海道沿いを走るローカル線】

草津線L6

L6

1.概要

JR草津線はJR関西線柘植とJR琵琶湖線草津を結ぶ路線で、途中貴生川で信楽高原鉄道と近江鉄道と連絡している。全線単線1500V直流電化で、電化は昭和55年に完成している。国鉄時代には気動車を使用した急行や50系客車列車などが活躍していたが、今は電車のみで運行されている。113系4両編成が中心に運用され、117系や221系、223系の乗り入れもある。ここでは起点の柘植からではなく、草津から路線を紹介していくことにする。

会社名 西日本旅客鉄道
路線名 草津線
区間 柘植~草津
営業キロ 36.7km
駅数 11駅
平均駅間距離 3.67km
所要時分 42分
表定速度 52.4km/h
軌間 1067mm
電気方式 1500V直流電化
線路 単線
保安方式 ATS-SW
最高速度 95km/h
最大編成両数 8両

2.歴史

JR草津線は1889年(明治22年)12月15日に関西鉄道の路線として草津〜三雲間15.9kmが開業した。この時、石部駅・三雲駅が開業。1890年(明治23年)2月19日に三雲〜柘植間20.5kmが延伸開業し全線開通。深川駅・柘植駅が開業。

1898年(明治31年)4月19日に本線を草津〜名古屋間から名古屋〜加茂間に変更し、柘植〜草津間は支線となった。1900年(明治33年)12月29日に近江鉄道本線との乗り換え駅として貴生川駅が開業した。

1904年(明治37年)3月1日に大原駅(現在の甲賀駅)が開業した。1907年(明治40年)10月1日に関西鉄道が国有化され、国有鉄道の路線となった。1909年(明治42年)10月12日に国有鉄道線路名称が制定され、柘植〜草津間は草津線となった。

1918年(大正7年)5月1日に大原駅を大原市場駅に改称。1922年(大正11年)11月5日に手原駅が開業。1956年(昭和31年)4月10日に大原市場駅を甲賀駅に、深川駅を甲南駅に改称。同年10月2日に一部列車を気動車列車に置き換えた。

1959年(昭和34年)12月15日に油日駅が開業。同年12月25日に寺庄駅が開業した。1961年(昭和36年)3月1日ダイヤ改正で、京都〜鳥羽間に草津線経由の気動車準急鳥羽が運転を開始した。草津線初の優等列車となった。

1969年(昭和44年)11月23日に東海道線との立体交差が完成した。同年12月1日に手原〜草津間の営業距離が変更された(+0.3km)。1972年(昭和47年)10月2日にSL引退に伴い無煙化。

1979年(昭和54年)7月4日に自動信号化。同年12月20日に列車集中制御装置 (CTC) が導入。1980年(昭和55年)3月3日に全線直流1500V電化が完成した。113系2700番台が投入され、湖西線の113系700番台と共用された。

1981年(昭和56年)10月1日に甲西駅が開業した。1986年(昭和61年)11月1日ダイヤ改正で最後まで残っていた急行志摩が廃止され、普通列車のみの運転となった。

1987年(昭和62年)4月1日に国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道が承継。日本貨物鉄道が貴生川〜草津間の第二種鉄道事業者となった。柘植〜貴生川間の貨物営業が廃止された。1989年(平成元年)3月11日ダイヤ改正で、50系客車列車が電車に置き換えられ、客車列車が姿を消した。1999年(平成11年)3月31日に日本貨物鉄道の第二種鉄道事業(貴生川〜草津間)が廃止された。

2003年(平成15年)11月1日に草津〜貴生川間でICカードICOCAの利用が可能になった。2015年(平成27年)3月14日に路線記号が導入された。2018年(平成30年)3月17日から貴生川〜柘植間でICカードICOCAの利用が可能になった。

草津線 普 通 駅間距離 営業キロ 所在地
柘植 0㎞ 三重県伊賀市
油日 5.3㎞ 5.3㎞ 滋賀県甲賀市
甲賀 2.1㎞ 7.4㎞ 滋賀県甲賀市
寺庄 3.1㎞ 10.5㎞ 滋賀県甲賀市
甲南 2㎞ 12.5㎞ 滋賀県甲賀市
貴生川 2.8㎞ 15.3㎞ 滋賀県甲賀市
三雲 5.2㎞ 20.5㎞ 滋賀県甲賀市
甲西 3.8㎞ 24.3㎞ 滋賀県湖南市
石部 3.3㎞ 27.6㎞ 滋賀県湖南市
手原 5.1㎞ 32.7㎞ 滋賀県栗東市
草津 4㎞ 36.7㎞ 滋賀県草津市

3.路線ガイド

草津駅では1、2番線から発着しており、JR琵琶湖線直通電車などは琵琶湖線ホームから発着するものがあるが、線内折り返し電車は全て1、2番線から発着している。

草津を出るとしばらくJR琵琶湖線と並行して走る。電留線を見ながら複々線の形で走り、琵琶湖線の上り線から分岐して高架になり、琵琶湖線の上下線をオーバークロスして草津線に合流するという凝った構造になっているが、琵琶湖線直通電車以外は通常草津線専用1、2番線から発着するため、壮大な分岐方法も宝の持ち腐れとなっている。右にカーブして、その分岐線と合流して単線になって、栗東市に入り東海道新幹線と交差して、続いて国道1号線と交差する。左手に栗東第二ICを見て手原となる。このあたりは栗東ICが近くにあるためかなり町が開けている。

手原を出ると栗東ICからの道路と交差して、右手に名神高速道路を見て走る。左手から国道1号線と野洲川が近づいてきて、名神高速と交差する。進路を東から南東に向けて走り、石部町に入って石部となる。このあたりは国道1号線(東海道)に沿って走るため、街もそこそこ開けている。甲西町に入って甲西となる。付近は工業団地などが点在しており、住宅地もあり通勤通学に草津線を利用する人も多いが、地域住民の多くはクルマを利用するクルマ社会となっている。どこの地域でもそうだが、工場には広い駐車場が併設されているためクルマ通勤が断然多い。

2面2線の三雲を過ぎると国道1号線と離れて野洲川に沿って走る。野洲川が分岐して杣川に沿って走るようになり、水口町に入る。杣川を渡って左手から近江鉄道本線が近づいてきて貴生川となる。同駅は2面2線で、草津方面行きホームの反対側からは信楽高原鉄道も発着している。データイムは半数の電車が同駅で折り返している。

貴生川を出ると信楽高原鉄道が左にカーブして分かれていき、甲南町に入って右手に甲南ニュータウンを見て走り、希望が丘などの住宅地を見ながら甲南となる。さらに甲南町内を走って、甲南高校への最寄駅の寺庄となる。右手には滋賀甲南CCというゴルフ場があるが、草津線に乗ってゴルフをしに来る人は少ない。甲賀町に入り、しばらく走って甲賀となる。忍者の故郷甲賀だが、こうがと濁らずこうかが町名、駅名となっている。忍者村や甲賀工業団地などもあるが、駅からかなり離れたところにある。甲賀を出ると右手に油日ニュータウンを見て油日となる。このあたりまで来ると住宅よりもゴルフ場が目立つが、少ないながらも宅地開発も行われているようだ。首都圏ならこのあたりも十二分に通勤圏内に入るのだろうが、関西圏では住宅事情にまだまだ余裕があるので、開発は最小限に留められている。新快速が草津線に乗り入れ頻発すれば事情も変わるだろうが、新快速が草津線に乗り入れるには世の中の情勢の変化も必要だろう。ゴルフ場の合間を走り、県境を越えて甲賀から伊賀に入る。木々の合間から関西線が近づいてくるのが見えて終点の柘植となる。柘植は2面3線で草津線は3番線から発着している。関西線とは線路がつながっているが、現在は直通列車の設定はない。

  

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