1.概要
会社名 | 近畿日本鉄道 |
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路線名 | 志摩線 |
区間 | 鳥羽~賢島 |
営業キロ | 24.5km |
駅数 | 16駅 |
平均駅間距離 | 1.64km |
所要時分 | 28分 |
表定速度 | 52.5km/h |
軌間 | 1435mm |
電気方式 | 1500V直流 |
線路 | 複線(鳥羽~中之郷) |
単線(中之郷~船津) | |
複線(船津~上之郷) | |
単線(上之郷~志摩磯部) | |
複線(志摩磯部~賢島) | |
保安方式 | ATS |
最高速度 | 130km/h |
最大編成両数 | 8両 |
近鉄志摩線は鳥羽と賢島を結ぶ路線である。志摩半島を巡る観光路線で、起点の鳥羽を中心に、近鉄が独自に手掛ける志摩磯部の志摩スペイン村や賢島を中心とした志摩半島観光など見るべきところは多い。とはいっても伊勢志摩方面への観光需要の低迷(景気低迷によるところもあったと思われる)と御決まりのモータリゼーションなどにより志摩線も厳しい状況にあり、志摩スペイン村などは思いのほか観光客が伸びず近鉄としては誤算の一つとなっている。このため、鳥羽以遠に直通する特急の本数も減少しており、季節臨時運転となる列車なども出てきている。
駅番号 | 駅名 | 副駅名 | 駅間距離 | 営業距離 | 所在地 | 開業年月日 |
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M78 | 鳥羽 | – | 0km | 鳥羽市 | 1929/7/23 | |
M79 | 中之郷 | (鳥羽水族館前) | 1km | 1km | 鳥羽市 | 1929/7/23 |
M80 | 志摩赤崎 | 1.3km | 2.3km | 鳥羽市 | 1949/7/25 | |
M81 | 船津 | 1.6km | 3.9km | 鳥羽市 | 1929/7/23 | |
M82 | 加茂 | 1.6km | 5.5km | 鳥羽市 | 1929/7/23 | |
M83 | 松尾 | 1.4km | 6.9km | 鳥羽市 | 1929/7/23 | |
M84 | 白木 | 1km | 7.9km | 鳥羽市 | 1929/7/23 | |
M85 | 五知 | 3.1km | 11km | 志摩市 | 1929/7/23 | |
M86 | 沓掛 | 1.7km | 12.7km | 志摩市 | 1929/7/23 | |
M87 | 上之郷 | 1.9km | 14.6km | 志摩市 | 1929/7/23 | |
M88 | 志摩磯部 | 1.4km | 16km | 志摩市 | 1929/7/23 | |
M89 | 穴川 | 1.6km | 17.6km | 志摩市 | 1929/7/23 | |
M90 | 志摩横山 | 2.8km | 20.4km | 志摩市 | 1929/7/23 | |
M91 | 鵜方 | 0.9km | 21.3km | 志摩市 | 1929/7/23 | |
M92 | 志摩神明 | 1.8km | 23.1km | 志摩市 | 1929/7/23 | |
M93 | 賢島 | 1.4km | 24.5km | 志摩市 | 1929/7/23 |
2.歴史
近鉄志摩線は1929年(昭和4年)7月23日に志摩電気鉄道として鳥羽~賢島~真珠港間が開業した。1944年(昭和19年)2月11日に志摩電気鉄道ほか6社が合併し、三重交通が発足し同社の路線となった。1946年(昭和21年)12月に鵜方口駅を志摩横山駅に改称した。1949年(昭和24年)7月25日に志摩赤崎駅が開業した。
1964年(昭和39年)2月1日に三重交通の鉄道事業が三重電気鉄道に分離譲渡された。1965年(昭和40年)4月1日に近畿日本鉄道が三重電気鉄道を合併し、同社の路線となった。1969年(昭和44年)7月1日に賢島~真珠港間が廃止された。鳥羽~賢島間の貨物営業も廃止された。同年12月10日から鳥羽~賢島間が改良工事のため営業休止になった。
1970年(昭和45年)3月1日に標準軌化と架線電圧の1500V昇圧が完成し、鳥羽線と直通運転を開始した。ATSの使用開を始した。鳥羽駅舎を国鉄駅北側に新築し移転した。志摩磯部駅を上之郷駅に、迫間駅を志摩磯部駅に改称した。1975年(昭和50年)12月に大阪線・鳥羽線複線化に呼応し、白木駅に通過線設置し、上之郷駅・志摩神明駅の交換駅化等の輸送力増強工事が完成した。
1988年(昭和63年)3月6日に鵜方~志摩神明間が複線化された。同年3月18日から志摩線内で特急停車3駅のホーム延伸が完成し、8両運転を開始した。1990年(平成2年)3月15日から志摩線で21000系(アーバンライナー)の運用が開始された。同年12月8日に志摩神明~賢島間が複線化された。1992年(平成4年)11月6日に鳥羽~中之郷間が複線化された。同年12月22日に船津~加茂間が複線化された。
1993年(平成5年)4月28日に五知~上之郷間が複線化された。同年6月1日に志摩磯部~鵜方間が複線化された。同年9月11日に加茂~五知間が複線化、青峰トンネルが完成した。同年9月21日に営業キロが改定された。全線で0.7km短縮され、複線化が進捗によりダイヤ変更が行われた。同年10月の伊勢神宮式年遷宮による観光客増加を見込んで阪伊乙特急・名伊乙特急の一部列車を賢島発着に変更した。線内の最高速度を90km/hから120km/hに引き上げた。
1994年(平成6年)3月15日から23000系(伊勢志摩ライナー)の営業運転を開始した。賢島駅を3線から5線に拡大。白木駅に通過線を設置して待避可能駅とした。同年4月22日に開業する志摩スペイン村(最寄駅:志摩磯部駅)への輸送対応のため阪伊特急・名伊特急の賢島乗り入れを拡大した。昼間時の鳥羽~賢島間の普通を毎時3本に増発した。ダイヤ変更により特急の130km/h運転を開始した。1999年(平成11年)3月16日ダイヤ変更で、普通の運転系統を伊勢中川~宇治山田間と宮町~賢島間に分割して、毎時2本に削減された。
2001年(平成13年)5月30日から普通のワンマン運転を開始した。2003年(平成15年)3月6日ダイヤ変更で、京伊特急の一部が大和八木~賢島間で阪伊乙特急と併結運転を開始した。2007年(平成19年)3月1日に志摩スペイン村への最寄駅を志摩磯部駅から鵜方駅に変更した。同年4月1日から鳥羽・中之郷・志摩磯部・鵜方・賢島の各駅でICカードPiTaPa・ICOCAが利用できるようになった。2010年(平成22年)4月1日に鳥羽~賢島間の全線で名古屋列車運行管理システム「KRONOS」(クロノス)の運用を開始した。
2011年(平成23年)11月1日に中之郷駅、志摩赤崎駅を終日無人駅化、特急停車駅以外はすべて無人駅となった。2013年(平成25年)3月21日から50000系(しまかぜ)の営業運転を開始した。2014年(平成26年)4月1日から志摩赤崎駅でPiTaPa・ICOCAはじめ全国相互利用サービス対応ICカードの利用が可能になった。2015年(平成27年)6月24日から上之郷~賢島間の全駅でPiTaPa・ICOCAなど全国相互利用サービス対応ICカードの利用が可能になった。同年8月1日に志摩赤崎~上之郷間の全駅で全国相互利用サービス対応ICカードの利用が可能になった。これに伴い生駒鋼索線を除く近鉄全線全駅でICカードが利用可能になった。
2016年(平成28年)5月21日から5月28日まで第42回先進国首脳会議(伊勢志摩サミット)開催に伴うテロ対策により、鵜方~賢島間の営業運転が休止された。2021年(令和3年)7月3日ダイヤ変更で昼間時の普通電車が毎時2本から毎時1本の運転に減便された。
3.ガイド
- 鳥羽
- 鳥羽
- 鳥羽
- 中之郷
- 中之郷
- 志摩赤崎
- 志摩赤崎
- 船津
- 加茂
- 松尾
- 白木
- 白木
- 白木
- 五知
- 五知
- 沓掛
- 上之郷
鳥羽を出ると前方に鳥羽港を見ながら右にカーブする。鳥羽名物の真珠島や鳥羽水族館を左手に見ながら国道42号線とともに海沿いを走り中之郷となる。中之郷は2面2線で、ここまで複線となっており、ここから先は単線となる。鳥羽水族館への最寄駅で、鳥羽港フェリーターミナル、鳥羽市役所などの最寄駅にもなっており、鳥羽駅よりも鳥羽市の中心部に駅がある。但し同駅ではPiTaPaは使えるが、特急は停車しない。中之郷から先は海から離れて加茂川沿いに走る。鳥羽までの山田線とは反対に志摩線は急カーブの連続で、俊足自慢の近鉄特急も鳥羽から先は牛歩の歩みとなる。志摩赤崎は2面2線で普通しか停まらないのでホーム有効長は2両分となっている。さらに加茂川に沿って南下して行き、2面2線の船津となる。同駅も普通しか停まらない小駅だ。ここから上之郷までは複線化されている。加茂川を渡りしばらく走って2面2線の加茂となる。ここも普通しか停まらない小駅で次の松尾も同様となっている。加茂川と分かれて山間部に入る手前に白木がある。中央に通過線があり、その脇に2面2線の待避線が設けられている。
- 志摩磯部
- 志摩磯部
- 志摩磯部
- 志摩磯部
- 志摩磯部
- 穴川
- 穴川
- 志摩横山
- 鵜方
- 鵜方
- 鵜方
- 志摩神明
- 賢島
- 賢島
- 賢島
- 賢島
- 賢島
- 賢島
- 賢島
- 賢島
- 賢島
- 賢島
白木を出ると青峰トンネルに入る。同トンネル内では130km/h運転が許容されているため、それに対応できる23000系などでは最高130km/hで運転されることがある。青峰トンネルを抜けて志摩市に入ってすぐに2面2線の五知となる。トンネル内は高速運転が可能だが、ここから先はまた元の志摩線に戻り曲がりくねった線路を走る。五知から上之郷までは1993年に複線化された区間である。1面2線の沓掛を過ぎると1面2線の上之郷となり、ここから先は単線となる。大きく左にカーブして神路川を渡って、それと並行しながら走り志摩磯部となる。志摩磯部は2面3線でこのうちの1線は留置線として使用されており営業列車の発着はない。かつてはここから志摩スペイン村への直行バスが出ていたが、同村へは今は鵜方のみが最寄駅となっている。志摩スペイン村への玄関口ということでスペイン風の駅舎が同村開園時に造られたが、今は同村へのアクセスもなくなり、少々場違いな駅舎という印象しか残らない。
志摩磯部を出ると再度複線となり、的矢湾につながる伊雑ノ浦を左手に見ながら走る。複線化と同時に高架化された穴川を過ぎると伊雑ノ浦から離れて山間部に入る。ほぼ真っすぐ南下して行き2面2線の志摩横山を過ぎると左にカーブして鵜方となる。鵜方は1面2線の配線で特急停車駅となっている。駅前からは志摩スペイン村への直行バスが出ており、同村への最寄駅となっている。スペイン村は駅から北へ3kmほど離れた所にある。この他志摩市役所も駅近くにあり、志摩市の中心部に駅がある。鵜方を出ると単線となる。左にカーブして進路を南に向けて1面2線の志摩神明となる。同駅を出ると賢島近辺のリアス式海岸の中を走り左にカーブして終点の賢島に着く。賢島は4面5線の行き止まり式ホームを持ち1番線から4番線までが特急、5番線から普通が発着している。列車の運転本数に比してホームの数が多いが、特急の折り返し作業も全てホーム上で行われるため、特急車両の滞留時間は長いので、ピーク時にはあまり余裕がない。