1.概要
JR梅田貨物線は東海道本線の貨物支線で、梅田貨物線という路線は正式には存在しない。吹田貨物ターミナル〜西九条間の通称で、旧梅田貨物駅に至る路線と言うことで、梅田貨物線と呼ばれている。梅田貨物駅がその役目を終えた今は梅田信号所が残るのみとなっている。JR発足以前は旅客列車は臨時や回送を除いて運転がなかったが、1989年の特急くろしおの定期運転以降、旅客列車の運転が主流になって行った。中でも1994年9月の関西空港開港により、関空特急はるかが運転を開始し、京都・新大阪~関西空港間を毎時2本、30分毎の運転を行うようになってからは貨物列車より旅客列車の運転本数が断然多くなった。2013年春には梅田貨物ターミナルが終焉を迎え、貨物列車は安治川口発着の列車のみが、梅田貨物線を通るだけとなり、梅田貨物線というより梅田旅客線と言ってもよいぐらい旅客列車と貨物列車の運転本数が逆転している。
2.歴史
1928年(昭和3年)12月1日に上淀川仮信号場〜梅田間が開業した。1934年(昭和9年)6月1日に福島〜梅田間が開業した。同年6月2日に上淀川仮信号場廃止、上淀川仮信号場〜梅田間の路線の起点を吹田に変更した。1961年(昭和36年)4月6日に営業キロ設定(梅田駅を大阪駅との同一駅扱いをやめ、別線別駅扱いに変更)、吹田~梅田間(7.6 km)、梅田~福島間(1.0 km)となった。
1969年(昭和44年)9月13日に吹田~梅田間が電化された。1970年(昭和45年)4月1日に梅田~福島間が電化された。1974年(昭和49年)10月1日に東海道本線支線区間の区間表示変更、吹田~梅田~福島間(8.5km)となった。
1987年(昭和62年)4月1日に国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道が承継した。日本貨物鉄道が第二種鉄道事業者となった。1988年(昭和63年)4月24日~10月23日の間に新大阪~奈良間の臨時旅客列車を設定した。1989年(平成元年)7月22日に天王寺駅の大和路線と阪和線を連絡する線路が完成し、梅田貨物線経由で新大阪と紀勢本線を結ぶ特急スーパーくろしおの運転が開始された。
2010年(平成22年)12月1日に組織改正により、大阪支社および京都支社の管轄から近畿統括本部の管轄に変更された。2013年(平成25年)3月16日に吹田貨物ターミナル駅の営業開始に伴い、日本貨物鉄道東海道本線支線区間の起点を吹田駅から吹田貨物ターミナル駅に変更した。同年4月1日に梅田駅が廃止された。残された行き違い設備は梅田信号場となった。
2015年(平成27年)12月に中津付近~福島駅付近の地下化工事および新駅(仮称:北梅田駅)設置工事の一部が先行して着工した。2016年(平成28年)2月1日におおさか東線工事の一環として新大阪駅の配線が変更され、11番のりばが当線専用となった。同年8月に中津付近~福島駅付近の地下化工事および新駅設置工事が正式着工した。2017年(平成29年)1月20日におおさか東線工事の一環として新大阪駅の配線がさらに変更され、当線の下りが11番のりばに直接乗り入れる構造となった。
2018年(平成30年)3月17日ダイヤ改正で当線を通過する普通列車(快速・B快速)が消滅。これにより当線を通る旅客列車は特急のみとなった。同年6月24日に新大阪駅の当線下り11番のりばが3番のりばに改称された。同年7月23日に新大阪駅の在来線部分改良工事が完了、1番のりばが当線の上り専用となった。2019年(平成31年)3月16日ダイヤ改正で、おおさか東線新大阪~放出間が開業し、神崎川北方~新大阪間を当線と共用するようになった。2020年(令和2年)3月25日に新駅と大阪駅を結ぶ改札内連絡通路を整備し、新駅開業時に大阪駅の一部として開業すると発表された。
3.路線ガイド
- 新大阪
- 新大阪
- 新大阪
- 新大阪
- 新大阪
- 新大阪
- 新大阪
- 新大阪
- 新大阪~梅田貨物駅
- 新大阪~梅田貨物駅
- 新大阪~梅田貨物駅
- 新大阪~梅田貨物駅
- 新大阪~梅田貨物駅
- 新大阪~梅田貨物駅
- 新大阪~梅田貨物駅
- 新大阪~梅田貨物駅
- 新大阪~梅田貨物駅
- 梅田貨物駅
- 梅田貨物駅
- 梅田貨物駅
- 梅田貨物駅
- 梅田貨物駅~西九条
- 梅田貨物駅~西九条
- 梅田貨物駅~西九条
- 梅田貨物駅~西九条
- 梅田貨物駅~西九条
- 梅田貨物駅~西九条
- 野田付近
- 西九条
- 西九条
梅田貨物線は吹田貨物ターミナルが起点となるが、線路は茨木駅西方で上下外側線から分岐する。大阪貨物ターミナルからの線路と合流し、千里丘手前で、下り線はJR京都線を跨いで同線の上り外側線の隣を走る。千里丘から吹田までは上下線間に旧吹田操車場跡とその跡地を利用した吹田信号所、吹田貨物ターミナルが広がる。岸辺付近では吹田機関区や吹田工場への線路を分岐する。岸辺〜吹田間には2013年に梅田貨物ターミナルの代替で開業した吹田貨物ターミナルが広がる。吹田を過ぎると西へ向かう北方貨物線と分岐し、線路別複々線になり、さらに城東貨物線を分岐する。吹田から新大阪手前までは複々線が2本並んで走る関西でも有数の線路が輻輳する区間だ。なお、茨木の分岐点から新大阪までは下り旅客列車は下り貨物線を走行するが、上り線は新大阪から旅客線に入るため、貨物線は走らない。時折、上り貨物線を走る旅客列車が見られるが、これは北方貨物線経由で回送される列車で、定期列車は上り貨物線は走らない。
新大阪手前で北方貨物線が右にカーブして分かれ、梅田貨物線は新大阪駅11番線横を通過する。梅田貨物線には新大阪駅ホームがないため、関空特急はるかや特急くろしおは11番線に転線して新大阪駅に停車する。新大阪駅11番線は上下列車が進入可能になっており、特急の他、早朝深夜に運転される阪和線直通の快速なども発着する。2014年現在、新大阪駅はおおさか東線開業に向けて改良工事中で、東側にホームが増設され、JR京都線の線路が東側に順次移設されている。最終的には現11番線、12番線は関空・紀勢特急とおおさか東線専用ホームになる見込みだ。新大阪を出ると宮原からの回送線の下をくぐり、JR京都線とともに新淀川を渡る。川を渡り終えたところで右にカーブしてJR京都線と分かれて梅田信号所へと向かう。新御堂の下をくぐり、地下に潜った御堂筋線と交差して、中津付近で阪急電車の3複線の下をくぐる。中津付近までは築堤を走るため踏切はない。この辺りは梅田貨物ターミナルへの側線を数多く分岐していたが、ほとんどが撤去された。広大な梅田貨物ターミナル跡を左手に見て、その左側にそびえ立つグランフロント大阪のビル群を見ながら梅田信号所を通過する。都会で最後の一等地と言われた梅田貨物ターミナルだが、確かに周りは高層ビルが建ち並び、跡地だけがぽっかり空いており、異質な空間となっている。梅田貨物ターミナル跡地を開発する北ヤード第2期事業では緑地帯も造られる計画で、都会の中のオアシスになりそうだ。
梅田信号所を出ると、単線になる。このため、同信号所で信号待ちをする貨物列車も少なくない。梅田ランプ西付近で、市道九条梅田線と平面交差する。阪神高速池田線と接続する同市道は交通量が多く、列車回数が抑制される要因になっている。この辺りは北ヤード第2期の開発と合わせて地下化の上、線路を東側に振って駅を設ける計画がある。JR神戸線の下をくぐり、右にカーブして、JR大阪環状線の高架に沿って走る。環状線福島駅前にはこれまた道路交通上ネックになるなにわ筋と平面交差する。ここの踏切も当然ながら交通量が多く、阪神高速池田線の福島ランプも近くにあり、踏切渋滞を起こすところとなっている。福島から高架に上がり、大阪環状線外回り線の隣を走る。野田付近で大阪市場へ向かう貨物線跡を確認できる。高架線を下りていく路盤がそれで、環状線の車中からでも確認できる。西九条手前に渡り線があり、下り列車は環状線内回りに入るため、外回り線を横断して西九条駅2・3番線の中線に入る。貨物線はそのまま外回り線の右側を走り、構内では行き違いができるようになっている。線路は西九条までで、安治川口へ向かう貨物列車はここからゆめ咲線に合流して安治川口へと向かう。