1.内部線概要
会社名 | 四日市あすなろう鉄道 |
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路線名 | 内部線 |
区間 | あすなろう四日市~内部 |
営業キロ | 8.2km |
駅数 | 8駅 |
平均駅間距離 | 1.18km |
所要時分 | 17分 |
表定速度 | 29km/h |
軌間 | 762mm |
電気方式 | 750V直流電化 |
線路 | 単線 |
保安方式 | ATS |
最高速度 | 45km/h |
最大編成両数 | 3両 |
四日市あすなろう鉄道内部線はあすなろう四日市と内部を結ぶ5.7kmの路線。軌間762mmの特殊狭軌となっており、近鉄四日市で連絡する名古屋線や湯の山線とは線路は繋がっていない。全線単線で、直流750V電化となっている。途中、日永で八王子線を分岐する。
駅名 | 普 通 | 営業キロ |
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あすなろう四日市 | ◎ | 0km |
赤堀 | ○ | 1km |
日永 | ○ | 1.8km |
南日永 | ○ | 2.5km |
泊 | ○ | 3.6km |
追分 | ○ | 4.3km |
小古曽 | ○ | 5km |
内部 | ◎ | 5.7km |
2.内部線歴史
四日市あすなろう鉄道内部線は1912年(大正元年)10月6日に三重軌道として南浜田~日永間が開業した。1913年(大正2年)5月16日に諏訪前~南浜田間が開業した。1915年(大正4年)12月25日に四日市市~諏訪前間が開業した。1916年(大正5年)7月19日に三重鉄道が設立された。同年12月1日に軌道条例に基づく三重軌道の路線を廃止し、三重鉄道が軽便鉄道法に基づく軽便鉄道として四日市市~日永間を開業した。
1917年(大正6年)4月15日に四日市市~諏訪前間の市役所前駅、諏訪前~南浜田間の鵜ノ森駅を廃止した。1922年(大正11年)1月10日に日永~小古曽間が開業した。同年6月21日に小古曽~内部間が開業した。追分駅が開業。1928年(昭和3年)1月29日に諏訪前駅廃止、同駅西方の四日市鉄道諏訪駅に統合。四日市市~諏訪間が廃止、伊勢電気鉄道に軌道用地譲渡。
1931年(昭和6年)3月1日に三重鉄道が四日市鉄道を吸収合併した。1943年(昭和18年)12月25日に諏訪~内部間が直流600V電化。諏訪駅が移転し0.1km短縮された。1944年(昭和19年)2月11日に三重鉄道ほか6社が合併し三重交通が発足。湯の山線・八王子線と合わせて三重線となった。同年3月1日に内部線の路線名称が制定された。7月1日に諏訪~赤堀間の南浜田駅、追分~内部間の小古曽駅が休止された。11月1日に諏訪~赤堀間の南浜田駅を廃止した。赤堀駅を四日市方に0.1km移設した。
1956年(昭和31年)9月23日に名古屋線四日市駅付近経路変更に伴い、諏訪~赤堀間が廃止、近畿日本四日市(現在の近鉄四日市)~赤堀間の新線が開業した。12月に泊駅に列車行き違い設備を設置。1959年(昭和34年)に架線電圧を直流600Vから直流750Vに昇圧した。5月1日に休止していた小古曽駅を内部方に0.1km移設の上営業再開。8月24日に近畿日本四日市~赤堀間に浜田信号所を新設。同時に近畿日本四日市~日永間を単線自動閉塞化の上、同区間に高圧配電設備(信号・駅舎電源)を設置。
1964年(昭和39年)2月1日に三重交通が鉄道事業を三重電気鉄道に分離譲渡された。3月1日に湯の山線の改軌に伴い、同線との直通運転廃止された。1965年(昭和40年)4月1日に近畿日本鉄道が三重電気鉄道を合併し同社の路線となった。1970年(昭和45年)3月1日に近畿日本四日市駅を近鉄四日市駅に改称した。1974年(昭和49年)6月29日に内部線の近鉄四日市駅が移設、0.1km短縮された。
1986年(昭和61年)8月28日に浜田信号所が廃止された。1989年(平成元年)3月17日に全線において単線自動閉塞化。自動列車停止装置 (ATS) 使用開始。列車運転間隔を25分から30分に短縮された。6月1日からワンマン運転開始。各駅にホームミラー設置。
2012年(平成24年)6月29日に四日市市議会が内部線・八王子線の存続を求めるために特別委員会として総合交通政策調査特別委員会が設置された。8月21日に近鉄が地元住民との会談で内部線と八王子線の鉄路を廃止し、跡地をバス専用道路にしてバスによる運用に転換する方針を発表した。2013年(平成25年)9月27日に近鉄と四日市市が内部線と八王子線を公有民営方式で存続することで合意した。2014年(平成26年)3月27日に四日市あすなろう鉄道が設立した。2015年(平成27年)4月1日から四日市あすなろう鉄道が内部線の運営を開始した。2021年(令和3年)8月21日から全線で「ICOCA」などの全国相互利用サービスに対応した交通系ICカードが利用可能となった。
3.内部線路線ガイド
あすなろう四日市は名古屋線、湯の山線の高架下に1面2線のホームがある。改札は分かれており、一旦改札を出てからの乗り換えとなる。7・8番線は欠番で、内部線ホームは9・10番線となっている。内部線はPITAPAなどICカードは非対応である。
あすなろう四日市を出ると右にカーブして名古屋線から離れて四日市の市街地を走る。次の赤堀までは1kmあり、かつては南浜田駅、南浜田信号所があったが、いずれも廃止された。赤堀は1面1線の無人駅。赤堀と言えば近鉄バッファローズの守護神を思い浮かべる猛牛党や野球ファンも多いだろう。落合川を渡り、S字にカーブして鹿化川を渡る。次の日永は八王子線分岐駅で、構内手前で八王子線を分岐し、2面3線になっている。内部線は行き違い構造になっており、四日市方面へのホームは八王子線と共有している。八王子線ホームはカーブしており、その風情は阪急宝塚線石橋駅のミニチュア版のように思える。日永を出ると進路を南に取り、天白川を渡る。南日永は1面1線の単純な配線だが、利用者は多く、内部・八王子線内では上位に位置する。駅の南東方向に四日市工業高校があり、その向こうにJR南四日市駅がある。南四日市駅まではおよそ1.5kmの距離がある。真っ直ぐ南下して1面2線の行き違い駅の泊となる。東へ1kmほどの距離にJR南四日市駅がある。泊を出ると1面1線の追分で、ここから右にカーブして南西方向を向いて走る。追分の近くには海星高校がある。東海道と参宮街道が分かれる日永追分が近くにあり、街道の町として古くから開けていた。次の小古曽も1面1線で、同駅は内部線で最も利用者が少ない。終点の内部も1面1線で、車庫があるため、車両の入れ替えはできるが、交互発着はできない。駅周辺にも住宅地は広がっているが、内部川の対岸の方が栄えている。かつては内部から先の延伸が計画されていたが、現在は内部線自体の存続が危ぶまれている。
4.八王子線概要
会社名 | 四日市あすなろう鉄道 |
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路線名 | 八王子線 |
区間 | 日永~西日野 |
営業キロ | 1.3km |
駅数 | 2駅 |
平均駅間距離 | 1.3km |
所要時分 | 3分 |
表定速度 | 26km/h |
軌間 | 762mm |
電気方式 | 750V直流電化 |
線路 | 単線 |
保安方式 | ATS |
最高速度 | 45km/h |
最大編成両数 | 3両 |
四日市あすなろう鉄道八王子線は日永と西日野を結ぶ1駅間のミニ路線である。全ての電車が日永から近鉄四日市まで内部線に直通している。
駅名 | 普 通 | 営業キロ |
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日永 | ◎ | 0km |
西日野 | ◎ | 1.3km |
5.八王子線歴史
四日市あすなろう鉄道八王子線は1912年(大正元年)8月14日に三重軌道として日永~八王子村(後の伊勢八王子)間が開業した。1916年(大正5年)7月19日に三重鉄道が設立された。同年12月1日に軌道条例に基づく三重軌道の路線を廃止し、三重鉄道が軽便鉄道法に基づく軽便鉄道として日永~八王子村間を開業。日永~西日野間に東日野駅が開業した。
1917年(大正6年)4月15日に西日野~室山間の四郷役場前駅を廃止した。1928年(昭和3年)にガソリン動車のシハ31形(日本車輌製造製)使用を開始し、旅客列車の高頻度運行を実施した。1930年(昭和5年)にこの年までに八王子村駅を伊勢八王子駅に改称した。1931年(昭和6年)3月1日に三重鉄道が四日市鉄道を合併した。同年7月10日に西日野~室山間に清水橋駅が開業した。
1944年(昭和19年)2月11日に三重鉄道ほか6社が合併し三重交通が発足。内部線・湯の山線と合わせて三重線となった。1948年(昭和23年)9月10日に日永~伊勢八王子間が電化された。1952年(昭和27年)までに日永~西日野間の東日野駅、西日野~室山間の清水橋駅が休止された。1959年(昭和34年)に架線電圧を600Vから750Vに昇圧。
1964年(昭和39年)2月1日に三重交通が鉄道事業を三重電気鉄道に分離譲渡された。1965年(昭和40年)4月1日に近畿日本鉄道が三重電気鉄道を合併した。1969年(昭和44年)5月15日に休止中の東日野駅・清水橋駅を廃止した。1974年(昭和49年)7月25日に日永~伊勢八王子間が集中豪雨で不通となり休止になった。1976年(昭和51年)4月1日に西日野駅移転し復旧した。日永~西日野間の運行を再開。休止中の西日野~伊勢八王子間は廃止された。
1989年(平成元年)6月1日からワンマン運転開始。2012年(平成24年)6月29日に四日市市議会が内部線・八王子線の存続を求めるために特別委員会として総合交通政策調査特別委員会が設置された。同年8月21日に近鉄が地元住民との会談で内部線と八王子線の鉄路を廃止し、跡地をバス専用道路にしてバスによる運用に転換する方針を発表した。2013年(平成25年)9月27日に近鉄と四日市市が内部線と八王子線を公有民営方式で存続することで合意した。
2014年(平成26年)3月27日に四日市あすなろう鉄道が設立された。2015年(平成27年)4月1日に四日市あすなろう鉄道が八王子線の運営を開始した。2021年(令和3年)8月21日から全線で「ICOCA」などの全国相互利用サービスに対応した交通系ICカードが利用可能となった。
6.八王子線路線ガイド
日永は2面3線で、八王子線の線路は日永手前で内部線から分岐して、急カーブしながら構内に入る。内部線上り四日市方面の線路とホームを共有している。日永を出るとほぼ真っすぐ西を向いて走る。天白川に沿って走り、終点の西日野に到着する。西日野は1面1線で元々は中間駅だったが、1974年の集中豪雨による災害で西日野~伊勢八王子間が廃止になり、終着駅になった。