1.概要
会社名 | 近畿日本鉄道 |
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路線名 | 山田線 |
区間 | 伊勢中川~宇治山田 |
営業キロ | 28.3km |
駅数 | 14駅 |
平均駅間距離 | 2.18km |
所要時分 | 22分 |
表定速度 | 77.2km/h |
軌間 | 1435mm |
電気方式 | 1500V直流 |
線路 | 複線 |
保安方式 | ATS |
最高速度 | 130km/h |
最大編成両数 | 10両 |
近鉄山田線は伊勢中川と宇治山田を結ぶ路線で、宇治山田から鳥羽・志摩線で鳥羽・賢島方面へ特急が運転される特急街道となっている。宇治山田までは上本町や名古屋から急行が運転されており運転頻度は高い。
駅番号 | 駅名 | ふりがな | 駅間キロ | 営業キロ | 所在地 | 開業年月日 |
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M61 | 伊勢中川 | いせなかがわ | – | 0km | 松阪市 | 1930年5月18日 |
M62 | 伊勢中原 | いせなかはら | 3km | 3km | 松阪市 | 1930年5月18日 |
M63 | 松ヶ崎 | まつがさき | 2.7km | 5.7km | 松阪市 | 1937年11月3日 |
M64 | 松阪 | まつさか | 2.7km | 8.4km | 松阪市 | 1930年3月27日 |
M65 | 東松阪 | ひがしまつさか | 1.6km | 10km | 松阪市 | 1930年3月27日 |
M66 | 櫛田 | くしだ | 3.9km | 13.9km | 松阪市 | 1930年3月27日 |
M67 | 漕代 | こいしろ | 1.9km | 15.8km | 松阪市 | 1943年10月23日 |
M68 | 斎宮 | さいくう | 1.3km | 17.1km | 多気郡明和町 | 1930年3月27日 |
M69 | 明星 | みょうじょう | 2.7km | 19.8km | 多気郡明和町 | 1930年3月27日 |
M70 | 明野 | あけの | 2.6km | 22.4km | 伊勢市 | 1930年3月27日 |
M71 | 小俣 | おばた | 1.8km | 24.2km | 伊勢市 | 1931年7月4日 |
M72 | 宮町 | みやまち | 2.1km | 26.3km | 伊勢市 | 1930年3月27日 |
M73 | 伊勢市 | いせし | 1.4km | 27.7km | 伊勢市 | 1930年9月21日 |
M74 | 宇治山田 | うじやまだ | 0.6km | 28.3km | 伊勢市 | 1931年3月17日 |
駅名 | 特 急 | 快速急行 | 急 行 | 普 通 |
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伊勢中川 | ▲ | ○ | ○ | ◎ |
伊勢中原 | ○ | |||
松ヶ崎 | ○ | |||
松阪 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
東松阪 | ○ | |||
櫛田 | ○ | |||
漕代 | ○ | |||
斎宮 | ○ | |||
明星 | ◎ | |||
明野 | ○ | |||
小俣 | ○ | |||
宮町 | ◎ | |||
伊勢市 | ○ | ○ | ○ | ○ |
宇治山田 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
2.歴史
近鉄山田線は1930年(昭和5年)3月27日に参宮急行電鉄として松阪~外宮前(現在の宮町)が開業した。同年5月18日に参急中川(現在の伊勢中川)~松阪間が開業した。同年9月21日に外宮前~山田(現在の伊勢市)間が開業した。12月20日に現在の大阪線全通により上本町(現在の大阪上本町)~山田間直通運転開始。
1931年(昭和6年)3月17日に山田~宇治山田間が開業し全通した。同年7月4日に小俣駅が開業。1933年(昭和8年)3月20日に外宮前駅を宮町駅に改称した。1937年(昭和12年)11月3日に参急松江駅を廃止し、名古屋伊勢本線との乗り換え駅として松ヶ崎駅が開業した。
1941年(昭和16年)3月15日に大阪電気軌道が参宮急行電鉄を合併、関西急行鉄道となった。伊勢中川~宇治山田間は山田線となった。参急中川駅を伊勢中川駅に、参急中原駅を伊勢中原駅に改称した。1943年(昭和18年)10月23日に漕代駅が開業した。
1944年(昭和19年)6月1日に関西急行鉄道が南海鉄道と合併し、近畿日本鉄道が設立された。1945年(昭和20年)6月1日に東松阪駅が休止。1946年(昭和21年)3月15日に東松阪駅が営業再開。1959年(昭和34年)7月15日に山田駅を伊勢市駅に改称した。同年12月12日に近畿日本名古屋(現在の近鉄名古屋)~宇治山田間直通運転開始。
1968年(昭和43年)3月1日から自動列車停止装置 (ATS) 使用開始。1988年(昭和63年)3月18日から特急の120km/h運転開始。この年から3扉転換クロスシート車両5200系の営業運転を開始した。1992年(平成4年)3月に櫛田駅・明野駅に通過線が設置された。
1994年(平成6年)3月15日から23000系(伊勢志摩ライナー)の営業運転開始。特急の130km/h運転開始。1996年(平成8年)2月から2610系2621Fを改造したL/Cカー試作編成の試験運用開始。同年3月15日から阪伊特急・名伊特の運行体制見直し(一部列車の臨時列車格下げなど)が始まった。
1997年(平成9年)8月から新造L/Cカー(5800系:大阪・名古屋線用は5810番台)の営業運転開始。(※1997年から1998年にかけて、2610系2626F・2627Fおよび2800系2811F・2813F・2815Fの各編成もL/Cカーに改造。)2001年(平成13年)3月22日ダイヤ変更で、昼間時の伊勢中川~宇治山田間普通の本数を毎時3本から毎時2本に削減した。同年5月30日に宮町~宇治山田間でワンマン運転開始。
2002年(平成14年)からシリーズ21(5820系:大阪線用は5850番台)の営業運転開始。2003年(平成15年)3月6日ダイヤ変更で、京伊特急の一部が大和八木~賢島間で阪伊乙特急と併結運転。京伊特急の全列車が伊勢中川にも停車となった。2004年(平成16年)3月18日ダイヤ変更で全区間でワンマン運転開始。
2007年(平成19年)4月1日から各駅でPiTaPa・ICOCAの取り扱い開始。2010年(平成22年)4月1日から伊勢中川~宇治山田間の全線で名古屋列車運行管理システム「KRONOS」(クロノス)の運用開始。2013年(平成25年)3月21日から観光特急50000系(しまかぜ)の営業運転開始。
3.路線ガイド
伊勢中川は近鉄大阪線、名古屋線、山田線が集まる乗り換え駅で、ホーム5面6線を有している。2・3・4番線は両側をホームに挟まれており、電車は両側の扉を開けるので、スムーズに乗り換えられる。1番線からは主に山田線普通が発着し、2番線・3番線は山田線下りと名古屋線・大阪線電車が発着、4番線・5番線は名古屋線、大阪線上り電車が発着、6番線は大阪線普通が発着している。伊勢中川は近鉄の主要3線が集まる結節点だが、乗り換えが多く、そのためか駅周辺はあまり発展していない。西側約1kmほどのところをJR名松線が走っているが、近くに駅はない。伊勢中川を出ると真っすぐ南東方向を向いて走る。伊勢中原は2面2線の無人駅で、自動改札、自動券売機がないため、同駅で下車する時は車内精算となる。また、乗車時には駅備えつけの乗車証明券発行機から乗車証明書を取って、下車駅にて精算するようになっている。この方式は山田線、鳥羽線、志摩線の無人駅でよく見られる。伊勢中原は普通しか停まらない。JR紀勢本線がオーバークロスして、それと少し離れて走り2面2線の松ヶ崎となる。普通しか停まらない駅で、以前は有人駅だったが、2013年に無人化された。かつてはここから近鉄伊勢線が出ていた。
松ヶ崎を出て、右手にJR紀勢本線がしばらく並行して走り松阪となる。松阪は全列車が停車する主要駅で、当駅を始終着とする特急列車の運転もある。ホーム2面3線で、JR紀勢本線から連番になっており、近鉄は6~8番線が割り当てられている。JR紀勢本線の改善により、JRとの競合が激しくなりつつあるが、まだまだ近鉄の方が運転本数などでは1ランクも2ランクも上を行っており、JRよりもどっぷり浸かったクルマ社会の方が脅威だろう。
松阪を出るとしばらくJR紀勢本線と並行して走る。あちらは単線、こちらは複線なので勝負は見えているが、快速みえなどは結構速く走るので、並走シーンに出くわすとデッドヒートを繰り広げるので面白い。東松阪は2面2線で普通しか停まらない駅だ。有人駅だったが、2013年に無人化された。東松阪を出るとJR紀勢本線とは離れて走り、真っすぐ南東方向を向いて走る。櫛田川を渡る手前に櫛田がある。同駅は中央に通過線がある2面4線の構造で、待避線のみにホームがある。普通より本数が多い優等列車が普通を追い抜く光景が多く見られる。櫛田川を渡って、伊勢中原同様自動券売機などもない無人駅でホーム2面2線の漕代を過ぎると松阪市から明和町に入る。次の斎宮も2面2線で有人駅だったが、2013年に無人化された。この辺りは全て普通のみの停車で特急、急行は普通に邪魔されない限りトップスピードで駆け抜ける。
次の明星は2面4線の待避駅で、宇治山田方には明星車庫があり、当駅を始終着とした普通電車も設定されている。車庫はあるものの優等列車は停車しない。伊勢市に入って中央に通過線がある2面4線の明野となる。櫛田と同じような駅の構造で、ホーム有効長は短いが、待避線の有効長は10両分ぐらいあり、10両編成の回送電車の待避が行わるようになっている。かつて甲子園に出場したこともある明野高校への最寄駅となっている。2面2線で無人駅の小俣を過ぎると宮川を渡り伊勢の市街地に入って行く。
宮町は2面2線の有人駅で、かつては2面3線となっており、賢島方面からの普通が当駅で折り返していたが、当駅折り返しがなくなり、同時に2面2線化された。宮町には朝夕の一部の急行が停車する。
宮町を出ると右手にJR参宮線が並行して走り、伊勢の市街地の中をしばらく走り伊勢市となる。近鉄は2面2線で、2面3線のJRから連番で4番線、5番線が割り当てられている。伊勢市には特急以下全列車が停車する。伊勢神宮外宮への最寄駅となっており観光客の利用が多い。
伊勢市を出ると右にカーブして回り込むように高架に上がり、JR参宮線を乗り越してすぐに宇治山田となる。ホーム3面4線で、4線のうち2線は行き止まり式ホームに発着している。伊勢神宮外宮へは伊勢市からも近いが、宇治山田は要人の利用に対応して貴賓室などが設けられており、伊勢神宮への表玄関として整備されている。駅舎などは老朽化してきているが、レトロで重厚な駅舎は重要文化財に登録されている。