1.概要
神戸新交通2000型電車は2006年(平成18年)ポートライナーの神戸空港延伸とともに営業運転を開始した車両である。先代の8000型と同様に AGT(自動案内軌条式旅客輸送システム)車両で、川崎重工業車両カンパニーが開発していたKCV (Kawasaki Computer Control Vehicle) をベースにした浮沈式転轍器に対応した案内輪を車両の両サイドに設置した電車になっている。
会社名 | 神戸新交通 |
形式 | 2000型 |
使用線区 | 神戸新交通ポートアイランド線(ポートライナー) |
制御方式 | 3レベルPWM制御IGBT-VVVFインバータ制御 1C2M |
主電動機 | かご形三相誘導電動機110kW |
ブレーキ | 回生ブレーキ併用電気指令式多段中継弁方式(14段)・空油変換式ディスクブレーキ・保安ブレーキ・駐車ブレーキ |
台車 | 前後進切替装置なし一軸ボギー台車 |
設計最高速度 | 80km/h |
運転最高速度 | 60km/h |
加速度 | 3.5km/h/s |
減速度(通常) | 3.5km/h/s |
減速度(非常) | 4.5km/h/s |
製造初年 | 2006年 |
電気方式 | 交流600V/60Hz |
保安装置 | ATO、ATC |
座席定員 | 48人 先頭車 |
51人 中間車 | |
扉枚数/座席形状 | 8m級1扉クロスシート |
所属 | 中埠頭車両基地 |
編成 | 6両 |
既存両数 | 114両 |
製造メーカー | 川崎重工業 |
2.車体
ステンレス製車体を採用。フロントマスクはブラックフェイスとなり、3次曲線を用いた丸みを帯びた形状となった。車体はステンレス無塗装で、側面にはコーポレートカラーのグリーンとブルーのラインが入れられている。グリーンのラインは前面まで回り込んでいる。側窓周りはグレーのラインが入る。
8000形と同じく折り畳みはしご付きの非常用貫通扉を前面中央に配置している。
客室用扉は1,400mmの両開き乗降扉を1つずつ配置している。
側窓は、運転席横の窓ガラスを除いて1枚の緑色の大型窓ガラスとなり、窓の開閉はできない固定窓となった。運転席横の窓ガラスのみ横2枚構造で、先頭側が横に開くようになっている(通常は施錠され開かない)。前面の窓ガラスは緑色の大型曲面ガラスを使用し、車体に合わせて流線形となっている。
3.主要機器
8000形では中間車のみが電動車の 4M2Tだったが、2000型では全ての車両が電動車となる6Mとなった。
車両制御装置は神戸新交通として初めてVVVFインバータ制御(三菱電機製・IGBT素子3レベル電圧形PWM・1C2M制御)が採用された。
0km/hまで回生制動可能な回生ブレーキを搭載している。
主電動機は1時間定格出力が 110kW のかご形三相誘導電動機が各車両に1基ずつ搭載されている。力行指令は電流指令になり、乗り心地が改善された。
台車は、前後両側案内操舵式(4案内輪式)の一軸ボギー台車を採用。集電装置は、川崎重工製の3線バネ圧式が採用され、中間2車両を除いた4車両の付随台車にオレンジ色のアームを3つずつ搭載している。走行車輪は中子式チューブレス窒素ガス入りゴムタイヤを採用した。
ブレーキは、電気指令式の多段中継弁方式と、保安ブレーキ、駐車ブレーキ付きの空・油変換式ディスクブレーキを全車両に搭載している。空気圧縮機は往復型単動2段圧縮式を両先頭車に装備。蓄電池は焼結式アルカリ蓄電池40Ahが2基搭載。空調装置は各車両内に2台搭載しており、容量は7,500kcal/hとなっている。
全車両に列車情報管理装置 (KNT Train Information Management System) が搭載している。力行・ブレーキ・ドア指令等を一括管理し、制御指令を行うほか、0.2秒ごとに運転状況を記録する機能を備えている。通常は自動列車運転装置 (ATO) とパターン付き自動列車制御装置 (ATC) により自動運転が行われている。ATOには定位置停止装置 (TASC) も搭載している。全ての装置は多重系でフェールセーフ構造としている。
4.車内
機器類の小型化によって8000形より車内空間が広がり、車内幅を 135mm 拡大した 2,280mm へ、車内高を 125mm 拡大した 2,115mm となった。プラットホーム床面と車両乗降口の段差も最大でも 50mm から 20mm まで縮小されている。アイボリーの内壁、グレーのパターンの柄がある床が採用。荷物棚とフリーストップ型のブラインドや、スーツケース等を持っている人のために扉付近にフリースペースも設置されている。8000形と同じく乗降ドアの天井につり革代わりのパイプが設置されているが、形状が異なる。
座席は、シートピッチ 850mm のクロスシートが2+1列で配置されている。モケットの配色は背もたれには神戸市の花である「あじさい」、座面には神戸市の木である「さざんか」の色をイメージした紫色系表地となっている。すべての手摺りにクッション材が巻かれているなど、安全対策も施されている。座席の取っ手や肘掛けはすべてヤマニシ製である。交通バリアフリー法に基づいて製造されているため、落成当初から車椅子スペースを全車両ドア横に設置されており、インターホン型に変更された通話装置と非常停止ボタンを車椅子スペースに設置。8000形まであった床の扉を無くし、床全面がフラットになっている。
案内装置としては、全乗降扉上には3色LED式のフリーパターン車内案内表示装置が設置され、日本語・英語・中国語・韓国語の4か国語に対応、片側ずつ別の案内を表示させることも可能。扉開予告表示灯がその両隣にある。扉が開閉する直前にドアブザーが鳴動するようになっている。自動放送は現在、日本語と英語の放送が行われている。
先頭車両には運転席があり、普段は無人運転を行う路線で走行する車両なので乗務員室等は無く、誰でも運転席に座ることができる。ただし運転台は施錠されており開けることはできない。運転台は車両情報管理装置 (TIS) が2つ、右側にワンハンドルマスコン、左側に操作ボタン類、その他の場所に連絡用無線機や車内放送用のマイク等が配置されている。また、EB装置が導入されており、手動運転時に50秒以上の操作が行われない場合に自動的にブレーキがかかる仕組みとなっている。
神戸新交通2000型 | 6両編成 | 114両 | |||||
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←三宮 | 北埠頭・神戸空港→ | ||||||
2100Mc | 2200M | 2300M | 2400M | 2500M | 2600Mc | 製造年月 | 製造メーカ |
2101 | 2201 | 2301 | 2401 | 2501 | 2601 | 2008年7月 | 川重 |
2102 | 2202 | 2302 | 2402 | 2502 | 2602 | 2008年8月 | 川重 |
2103 | 2203 | 2303 | 2403 | 2503 | 2603 | 2009年3月 | 川重 |
2104 | 2204 | 2304 | 2404 | 2504 | 2604 | 2009年3月 | 川重 |
2105 | 2205 | 2305 | 2405 | 2505 | 2605 | 2009年3月 | 川重 |
2106 | 2206 | 2306 | 2406 | 2506 | 2606 | 2009年7月 | 川重 |
2107 | 2207 | 2307 | 2407 | 2507 | 2607 | 2009年5月 | 川重 |
2108 | 2208 | 2308 | 2408 | 2508 | 2608 | 2008年9月 | 川重 |
2109 | 2209 | 2309 | 2409 | 2509 | 2609 | 2009年6月 | 川重 |
2110 | 2210 | 2310 | 2410 | 2510 | 2610 | 2008年5月 | 川重 |
2111 | 2211 | 2311 | 2411 | 2511 | 2611 | 2008年5月 | 川重 |
2112 | 2212 | 2312 | 2412 | 2512 | 2612 | 2008年6月 | 川重 |
2113 | 2213 | 2313 | 2413 | 2513 | 2613 | 2006年2月 | 川重 |
2114 | 2214 | 2314 | 2414 | 2514 | 2614 | 2006年2月 | 川重 |
2115 | 2215 | 2315 | 2415 | 2515 | 2615 | 2006年2月 | 川重 |
2116 | 2216 | 2316 | 2416 | 2516 | 2616 | 2008年3月 | 川重 |
2117 | 2217 | 2317 | 2417 | 2517 | 2617 | 2009年10月 | 川重 |
2120 | 2220 | 2320 | 2420 | 2520 | 2620 | 2016年3月 | 川重 |
2121 | 2221 | 2321 | 2421 | 2521 | 2621 | 2016年3月 | 川重 |
- 2101F
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