【伝統と格式高い駅舎が歴史を物語る】
近鉄宇山田線、鳥羽線の宇治山田駅は、三重県伊勢市にある。近鉄伊勢市駅からはわずか0.6kmの距離にあり、伊勢市から大きく右にカーブしてJR参宮線を跨いですぐに駅がある。伊勢神宮への最寄駅として開業し、伊勢神宮を参拝する貴賓客を出迎えるための貴賓室も設けられている。駅舎は伝統と格式を感じさせる造りで、国の有形文化財に登録されている。伊勢神宮外宮は徒歩10分ほどの距離にある。
宇治山田駅は1931年(昭和6年)3月17日に参宮急行電鉄の山田(現在の伊勢市)〜当駅間開通により開業した。1941年(昭和16年)3月15日に大阪電気軌道が参宮急行電鉄を合併、関西急行鉄道が発足。線路名称の改定により山田線所属の駅となった。1944年(昭和19年)6月1日に関急が南海鉄道と合併、近畿日本鉄道の駅となった。1948年(昭和23年)7月18日に特急列車の乗り入れを開始した。1953年(昭和28年)9月30日に2線を増設し、ホーム3面4線となった。1960年(昭和35年)1月20日から名古屋〜宇治山田間直通の特急を運転開始した。1966年(昭和41年)12月20日から京都〜宇治山田間直通の特急を運転開始した。1969年(昭和44年)12月15日に鳥羽線宇治山田〜五十鈴川間開業により中間駅となった。1992年(平成4年)から大規模な改修工事を開始した。1993年(平成5年)9月に28億円をかけた駅舎の改修工事が完了。自動改札機の導入、バリアフリー化が実施された。2001年(平成13年)12月15日に国の登録有形文化財に登録された。2007年(平成19年)4月1日からPiTaPaなどICカードの利用が可能になった。2012年(平成24年)11月22日に駅構内にショッピングモールTime’s Place うじやまだがオープンした。駅前広場整備工事が完了し、歩道橋の撤去と横断歩道の新設、バス・タクシーと自家用自動車のロータリーの完全分離が行われた。
改札は1ヶ所のみで、通常の改札とは別に団体専用の改札もある。団体専用の改札は通常閉鎖されている。改札は地上2階にあり、3階にホームがあり、1階がコンコースとなっている。
ICカード対応の自動改札が設置されており、有人改札となっている。
格調高い様式の宇治山田駅1階コンコース。柱にはベンチが設けられている。かなり広く伊勢神宮参拝客の団体利用にも十分対応できるものとなっている。
ホーム3面4線の高架駅で、1、2番線は山田線の折り返し専用となっている。3、4番線はスルー構造となっており、鳥羽線方面へ直通する電車と鳥羽止まりでも五十鈴川駅で折り返す電車は3、4番線から発着する。
1番線隣にはバス用のスロープがあり、終端部に転車台が設けられている。現在は使用されていないが、かつては鳥羽、賢島方面へのバスや観光バスが発着していた。
出口は1ヶ所で西側にロータリーがあり、路線バスやタクシー、観光バスが発着している。
宇治山田はプロ野球の優秀な成績を収めた投手に贈られる沢村賞に今でもその名が残る戦前の大投手沢村栄治の故郷である。
宇治山田駅の2014年度の1日あたりの乗車人員は、6,159人で、10年前の2004年度の5,509人よりも、11%強増加している。定期利用者は、2014年度が2,605人で、2004年度よりも26%弱減少しており、定期外利用者の伸びが際立っている。少子高齢化により定期利用者が減少していることやICカードの利用が増えたことにより、定期外利用者が増えているものと思われる。また、近年の伊勢神宮参拝者の増加が当駅利用者増に寄与しているものと思われる。
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