JR西日本221系京都

K2

会社名 JR西日本
形式 221系
使用線区 JR嵯峨野線、山陰本線、琵琶湖線、湖西線、草津線、
製造メーカー 川崎重工・近畿車輌・日立製作所
制御方式 界磁添加励磁制御1C8M、1C4M
主電動機 定格120kW
ブレーキ 回生併用電気指令式空気ブレーキ
台車 軽量ボルスタレス台車ヨーダンパ付(後付け)
最高速度 120km/h
加速度 2.5km/h/s
減速度(通常) 3.5km/h/s
減速度(非常) 4.2km/h/s
製造初年 1989年
電気方式 直流1500V
軌間 1067mm
保安装置 ATS-SW,ATS-P
座席定員 転換及び固定クロスシート
補助シート無(リニューアル車はあり)
52人(133人)クモハ221・クモハ220
54人(144人)モハ221・モハ220・サハ221・サハ220
48人(130人)クハ221・クハ220
所属 吹田総合車両所京都支所
編成 4両
既存両数 96両(2019年3月現在)

221系は1989年に登場したJR西日本初のオリジナル近郊型車両である。前年の瀬戸大橋開通時に快速マリンライナー用の213系を新製しているが、国鉄末期に設計され、分割民営化直前に投入された車両のため、JR西日本発足後に新形式として立ち上げられたのは221系が初めてとなった。
221系は瀬戸大橋線快速マリンライナー用の213系クロ212のデザインや近鉄5200系3扉転換クロスシート車などをベースに設計された。近郊型としては初の3扉転換クロスシート車となり、JR東海の311系、JR九州の811系とともに1990年代の近郊型車両のトレンドとなった。
221系は1990年鉄道友の会のローレル賞を受賞した。221系はアメニティライナーの愛称が付けられたが、153系のブルーライナー、117系のシティーライナーのように浸透することはなかった。221系はJR西日本の屋台骨を築き上げた功績の多い車両だが、愛称名は数少ない失敗に終わった事例の一つとなっている。

【外観】
フロントマスクはクロ212のデザインを継承し、大型曲面ガラスを採用し、前面展望の良い車両となった。それまでの国鉄車両は運転席後部からの展望については配慮されない車両が多く、客室からの前面展望はよくない車両が多かった。221系はそれを払拭するような構造となった。クロ212とは異なり、地下区間の走行を考慮して中央に非常用の貫通扉が設置された。種別表示は貫通扉上部に設置され、前面向かって左側に運用番号表示、右側にJRマークが付けられ、行き先表示は設置されていなかった。行き先表示は、後のリニューアル改造で、LED表示器が設置された。

側窓は、従来車両と比べて天地方向が拡大され、高さ1000㎜になった。1座席に1つ窓が配置される形になり、側窓は幅狭の連続窓となった。戸袋部にも窓が設けられた。客用扉間の4連窓の内寄り2枚は非常時の換気などを考慮して下降式窓となっており、400mm下降する。

車体は鋼板製で、塗装はアイボリーをベースに、急電以来伝統のブラウンとブルーのラインを車体下部に配した。
側面の表示器は、列車種別を回転式字幕で、行先と号車番号LED表示となった。LEDは寿命保持のため、走行中は消灯する。

【機器編成】
編成や車種構成の都合からMM’ユニット方式と1M方式の2種の主回路構成を採る形式が混在する。MM’ユニット方式は、205系1000番台、1M方式は213系をベースに設計されている。221系では、寒冷地の走行も考慮して、耐雪ブレーキなどの耐寒・耐雪装備を備える。基本的なシステムは国鉄時代に新製された211系・213系に準じているが、編成内のMT比1:1が維持され、加速度は高くなった。編成両数は偶数両を基本とし、登場当初は2・4・6両編成、後に8両編成が登場し、それぞれの組み合わせにより、2・4・6・8・10・12両編成で運転されている。現在は2両編成が消滅したため、4両以上での運転となっている。

【制御器】
主制御器は、MM’ユニット方式が205系で開発されたCS57をベースにしたWCS57B、1M方式が213系で開発されCS59をベースにしたWCS59Cを搭載している。制御方式は、界磁添加励磁制御で、回生ブレーキを常用する設計となっている。勾配線での抑速ブレーキも使用可能となっている。

【補機用電源】
補機用の電源として、213系で実績があったブースタ方式DC-DCコンバータと3相インバータで構成された静止形インバータWSC23がクモハ220形・モハ221形・モハ220形に搭載されている。

【運転関係】
マスコンは、ブレーキとマスコンが別々の横軸ツインレバー型をJRグループでは初めて採用した。警笛は、タイフォンとホイッスルが先頭車両床下に搭載されている。ミュージックホーンは装備されていない。

【主電動機】
定格出力120kWの直流直巻電動機が使用されている。駆動システムは中空軸平行カルダンで、歯車比は211系と同じ5.19となった。

【空気圧縮機】
電動空気圧縮機は、SIV出力の三相交流440V 60Hzを電源とし、低騒音および保守簡易構造である水平対向式4気筒タイプを採用した。

【集電装置】
集電装置は、JR西日本初の下枠交差式パンタグラフであるWPS27を搭載した。

【台車】
台車には円錐積層ゴムによる軸箱支持機構を備えるボルスタレス台車を採用した。高速走行時の安定性向上のため、ヨーダンパ設置準備工事が行われた。ヨーダンパは、1998年以降、順次追加取り付けが実施された。電動車は各台車の左右に、制御車と付随車は各台車の片側面にそれぞれ取り付けられた。

【制動装置】
電力回生併用電気指令式空気ブレーキ方式を採用した。常用ブレーキ、非常ブレーキ、抑速ブレーキ、耐雪ブレーキおよび直通予備ブレーキの5種類を備えるが、非常ブレーキに関しては、最高速度が110km/hから120km/hへ引き上げられたため、増圧機構を有している。抑速ブレーキは回生ブレーキを使用するが、制動力が不足する場合は空気ブレーキによる補足が入る。回生ブレーキは20km/h前後で失効する。

【冷房装置】
冷房装置はそれまで国鉄が採用していた集中式AU75 1基搭載とは異なり、集約分散式の WAU701を2基搭載する。

【車内設備】
117系は片側2扉であったが、新快速の乗客増加と快速運用を考慮し、221系では3扉となった。3扉転換クロスシートは近鉄5200系に次ぐもので、JRでは初採用となった。座席には117系と同様の転換クロスシートが採用された。座席配置は、扉間に2人掛け6脚×2列、車端部に4人掛けボックス席×2セットの構成で、ボックス席のシートピッチも転換クロス部分を向かいあわせにした場合に近い寸法(約1,750mm)が確保されている。座席定員は中間車は117系と同数の1両に64席、先頭車については運転台の直後に客用扉を配するレイアウトとしてトイレ設置車が6名、トイレ非設置車が4名、117系より少なくなった。

座席モケットは、当初は淡い茶色であったが、2011年6月には225系0番台に準じたモケットに変更された車両が登場した。座席カバーは一般席が白、優先座席が緑となっている。つり革は車内の見通しの良さを優先し、客用扉付近以外は引き通し棒のみの準備設置に留められていた。想定より混雑が激しくなったため、中期以降は車内全体に通して設置する形に変更され、後に初期の車両にも追設された。

車内の車端部にはLED式の車内案内表示装置が設置された。車内案内表示装置はクロスシートに座った乗客から見やすい構造になった。この上部には号車番号表示とデジタル式時計も合わせて設置された。トイレは和式(後に車椅子対応の洋式に改装)で、編成中に1ヶ所(クハ221形・クハ220形の後部側)設置されている。

【編成】
当初から新快速以外の運用も視野に入れていたことから、電動車Mと付随車Tの比率が1:1になるように設定した。電動車2両でユニットを組む221形グループと電動車1両と付随車1両の2両でペアを組む220形グループが並行して製造された。JR京都線、JR神戸線、琵琶湖線系統には4・6・8両編成を投入し、これらの組み合わせにより、最大12両編成で運転された。大和路線系統では、2・4・6両編成が投入され、これらを組み合わせて最大8両編成で運転された。

 

  ←近江今津・京都   園部→
76両 クモハ221 モハ221 サハ221 クハ221
K編成 Mcp Tc
K1 11 11 11 11
K2 32 32 32 32
K3 38 38 38 38
K4 39 39 39 39
K5 40 40 40 40
K6 52 52 52 52
K7 56 56 56 56
K8 58 58 58 58
K9 64 64 64 64
K10 70 70 70 70
K11 72 72 72 72
K17 78 78 78 78
K18 79 79 79 79
K19 81 81 81 81
K20 42 42 42 42
K21 60 60 60 60
K22 66 66 66 66
K23 68 68 68 68
K24 54 54 54 54
  ←近江今津・京都   園部→
20両 クモハ221 モハ221 サハ221 クハ221
K編成 Mcp Tc
K12 73 73 73 73
K13 74 74 74 74
K14 75 75 75 75
K15 76 76 76 76
K16 77 77 77 77

  

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