1.概要
JR因美線は鳥取と津山を結ぶ路線で、鳥取~智頭間は智頭急行の開業により陰陽連絡の短絡ルートとして活用され、京阪神と鳥取、倉吉を結ぶスーパーはくとや岡山からのスーパーいなばなどの特急が走る幹線となっている。智頭~津山間は以前は陰陽連絡の役割を果たす岡山から津山線経由で運転されていた急行砂丘が走っていたが、智頭急行開業でその任を解かれ、現在は地域輸送のみを行うローカル線となっている。東津山~津山間はJR因美線列車がJR姫新線に乗り入れる形になっており、JR因美線の線路戸籍上の終点は東津山となっている。
会社名 | 西日本旅客鉄道 |
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路線名 | JR因美線 |
区間 | 鳥取~智頭 |
営業キロ | 31.9km |
駅数 | 10駅 |
平均駅間距離 | 3.55km |
所要時分 | 25分 |
表定速度 | 76.6km/h |
軌間 | 1067mm |
電気方式 | 非電化 |
線路 | 単線 |
保安方式 | ATS-SW |
最高速度 | 100km/h |
最大編成両数 | 6両 |
会社名 | 西日本旅客鉄道 |
路線名 | JR因美線 |
区間 | 智頭~津山 |
営業キロ | 41.5km |
駅数 | 11駅 |
平均駅間距離 | 4.15km |
所要時分 | 65分 |
表定速度 | 38.4km/h |
軌間 | 1067mm |
電気方式 | 非電化 |
線路 | 単線 |
保安方式 | ATS-SW |
2.因美線鳥取〜智頭間路線ガイド
鳥取を出るとしばらく高架線を山陰線と並行して進み、右にカーブして山陰線と分かれる。山陰線と分かれた後も鳥取市内を高架線で進む。鳥取三洋電機の工場などを見ながら進み、高架線を下りて、右にカーブすると1面2線の津ノ井となる。津ノ井駅構内はカーブしており、特急列車は速度制限を受けるが、1線スルー化工事が終了してポイントによる制限はなくなった。津ノ井付近は工場があり、鳥取工業高校も近くにあるので、利用は少なくない。津ノ井を出ると右に左にカーブしながら国道29号線と並行して南下していく。左手に若葉台つのいニュータウンを見ながら進み、それが途切れて郡家町に入ると1面1線の東郡家となる。東郡家を出て左にカーブして郡家町の中心部に入り、住宅地の中をしばらく走って2面3線の郡家となる。郡家はスーパーはくとも停車する特急停車駅だが、2面3線のうち1線は若桜鉄道の発着に使用するので、実質的には行き違い可能な2面2線の小さな駅である。ホーム有効長は5両編成まで停車可能で、6両に増結されて運転されるスーパーはくとは1両はみ出して停車している。
- 鳥取
- 鳥取
- 鳥取
- 津ノ井
- 津ノ井
- 東郡家
- 郡家
- 郡家
- 河原
- 国英
- 鷹狩
- 用瀬
- 因幡社
- 智頭
- 智頭
郡家を出ると若桜鉄道としばらく並行して進み、八頭高校が見えてくると若桜鉄道は左に分かれていく。遠くに若桜鉄道の鉄橋を見ながら八東川を渡って、左に大きくカーブして八東川沿いに進み1面1線の河原となる。河原を出ると左にカーブして河原町に入り、八東川と分かれて南下する。国道53号線と千代川が近づいてくると1面1線の国英となる。千代川と少しはなれて用瀬町に入り、国道53号線と並行して進み同じく1面1線の鷹狩となる。鷹狩を出ると再び千代川が近づいてきて、国道53号線とともに並行する。そして行き違い可能駅の用瀬となる。用瀬を出ると国道53号線とともに千代川を渡る。1面1線の因幡社を過ぎると国道53号線は千代川を渡り対岸を並行するようになる。千代川を2回渡って、右に左にカーブして進み、山間から視界が開けてくると智頭となる。智頭は2面3線の標準的な配線に加えて、智頭急行ローカル列車専用の1面2線のホームが上郡方にある。
3.因美線智頭〜津山間路線ガイド
智頭を出ると智頭急行線との間に渡り線が設けられており、特急スーパーはくとや特急スーパーいなばは智頭急行に転線していく。しばらく智頭急行線と並走して走り、同線が盛り土高架に上がり、左にカーブして分かれていく。因美線は国道53号線とともに南下していく。土師は1面1線で、次の那岐までが鳥取県智頭町で、那岐を出ると岡山県に入る。このため那岐では同駅折り返しの列車が設定されており、鳥取県内のシャトル輸送を少数ながら行っている。那岐は2面2線で行き違いと折り返しが行われるが、運転本数が少ないので行き違いを行うことは少ない。物見トンネルを抜けると県境を越えて岡山県津山市に入る。美作河井は1面1線で、急行砂丘廃止時に棒線化されている。駅構内のはずれには手動式の転車台があり、07年に埋まっていたものを掘り起こされ、同駅の名物になっている。次の知和も1面1線で、美作河井も知和も利用者数が10人前後の小駅で、山間の風情のある駅ではあるが、因美線の厳しい状況を反映したような駅だ。美作加茂は2面2線の交換駅で、因美南線の中では一番の利用者数を誇る駅だ。かつては急行砂丘も停車した旧加茂町の中心駅だ。それでも1日100人前後の利用となっており、そのほとんどは高校生だから昼間の利用は非常に少ない。三浦は1面1線で、普通のみの停車で快速は通過する。美作滝尾も1面1線で南側に綾部工業団地があるが、因美線の利用には結ぶついていない。高野も1面1線で、急行砂丘廃止までは2面2線の交換駅だった。駅構内にはその名残がある。同駅には一部を除き快速も停車する。中国道の津山ICを左手に見て、その下をくぐって左手から姫新線が近づいてきてそれと合流して2面3線の東津山となる。因美線は同駅が線路戸籍上の終点となっており、ここから津山までは姫新線に乗り入れる形で直通している。2面3線のうち旅客列車に使用されているのは2面2線のみで残りの1線は保線用となっている。吉井川を渡って、北側の川向うに津山の市街地が見えてきて終点の津山となる。津山は2面4線で、西側には車両基地が広がっている。JR津山線、姫新線と連絡している。急行砂丘廃止により津山線との直通列車は消滅している。
- 智頭
- 智頭
- 土師
- 那岐
- 美作河井
- 美作河井
- 知和
- 美作加茂
- 三浦
- 美作滝尾
- 高野
- 東津山
- 東津山
- 津山
- 津山
駅名 | 駅間距離 | 営業距離 | 所在地 |
鳥取 | – | 0km | 鳥取県鳥取市 |
津ノ井 | 4.3km | 4.3km | 鳥取県鳥取市 |
東郡家 | 3.9km | 8.2km | 鳥取県八頭郡八頭町 |
郡家 | 2.1km | 10.3km | 鳥取県八頭郡八頭町 |
河原 | 3.8km | 14.1km | 鳥取県八頭郡八頭町 |
国英 | 3.3km | 17.4km | 鳥取県鳥取市 |
鷹狩 | 2.4km | 19.8km | 鳥取県鳥取市 |
用瀬 | 1.3km | 21.1km | 鳥取県鳥取市 |
因幡社 | 3.8km | 24.9km | 鳥取県鳥取市 |
智頭 | 7km | 31.9km | 鳥取県八頭郡智頭町 |
土師 | 3.7km | 35.6km | 鳥取県八頭郡智頭町 |
那岐 | 2.9km | 38.5km | 鳥取県八頭郡智頭町 |
美作河井 | 10km | 48.5km | 岡山県津山市 |
知和 | 3.5km | 52km | 岡山県津山市 |
美作加茂 | 3.8km | 55.8km | 岡山県津山市 |
三浦 | 3.5km | 59.3km | 岡山県津山市 |
美作滝尾 | 2.2km | 61.5km | 岡山県津山市 |
高野 | 5.2km | 66.7km | 岡山県津山市 |
東津山 | 4.1km | 70.8km | 岡山県津山市 |
津山 | 2.6km | 73.4km | 岡山県津山市 |
4.歴史
因美線は1919年(大正8年)12月20日に因美軽便線として鳥取〜用瀬間が開業した。この時、津ノ井駅・郡家駅・河原駅・国英駅・用瀬駅が開業した。
1922年(大正11年)9月2日に因美線に改称された。
1923年(大正12年)6月5日に用瀬〜智頭間が延伸開業。因幡社駅・智頭駅が開業。
1928年(昭和3年)3月15日に因美南線津山〜美作加茂間が開業。東津山駅・高野駅・美作滝尾駅・美作加茂駅が開業。因美線は因美北線に改称された。
1931年(昭和6年)9月12日に因美南線 美作加茂〜美作河井間が延伸開業。知和駅・美作河井駅が開業。
1932年(昭和7年)7月1日に智頭〜美作河井間 が開業し全通。因美北線が新規開業区間と因美南線を編入し因美線に改称。土師駅・那岐駅が開業。
1936年(昭和11年)10月10日に東津山〜津山間を姫新線に編入。
1956年(昭和31年)11月1日に東郡家駅が開業。
1961年(昭和36年)8月1日に鷹狩駅が開業。
1963年(昭和38年)4月1日に三浦駅が開業。
1982年(昭和57年)7月1日に若桜線乗り入れの客車列車廃止により全面気動車化。
1987年(昭和62年)4月1日国鉄分割民営化によりJR西日本に路線を承継。貨物営業が廃止された。
1991年(平成3年)4月1日から一部列車でワンマン運転開始。鉄道部制度の発足に伴い、鳥取〜美作河井間が鳥取鉄道部の管轄になる。同時に美作河井〜東津山間が米子支社から岡山支社に移管され、津山鉄道部の管轄となった。
1994年(平成6年)3月1日に鳥取〜智頭間に列車集中制御装置 (CTC) が導入された。同年12月3日ダイヤ改正で、智頭急行開業により当線を経由する特急スーパーはくとを新大阪〜倉吉間に運転開始。
1997年(平成9年)11月29日ダイヤ改正で、急行砂丘の廃止により、智頭〜東津山間から優等列車がなくなる(津山線の急行つやまの延長の快速列車1往復が代替として残る)。
1999年(平成11年)10月2日に智頭~美作河井間が、米子支社鳥取鉄道部から岡山支社津山鉄道部に移管された。
2003年(平成15年)10月1日に鳥取~智頭間の高速化が完成。
2008年(平成20年)6月1日に津山鉄道部が廃止され、智頭~東津山間が岡山支社の直轄になった。
2007年(平成19年)4月28日から智頭~津山間で「みまさかスローライフ列車」が運転開始。
2011年(平成23年)9月4日から9月12日までの間、台風12号の大雨の影響で土砂崩れが発生したため、那岐~美作河井間が不通になった。
2018年(平成30年)7月5日に平成30年7月豪雨の影響により、全線不通となった。9日に鳥取~用瀬間、18日に用瀬~智頭間、8月27日に美作加茂~東津山間、8月31日に智頭~美作加茂間が復旧し、全線で運転再開。
2022年(令和4年) 3月12日ダイヤ改正から鳥取~智頭間の3・4両編成の普通列車でもワンマン運転を開始。