阪神本線ダイヤ変遷【2000年~2009年】

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1.2001年3月10日改正

2001年3月10日ダイヤ改正。西宮市内の高架化完成に伴いダイヤ改正が行われた。直通特急は1998年の運転開始以来データイム毎時2本の運転だったが、本改正で増発されて毎時4本の運転となった。三宮、神戸高速鉄道内で時間調整を行い、山陽線内で15分毎となるようにした。このため直通特急は2種類が運転されるようになり、従来通りの停車駅の列車と、西元町・大開にも停車する列車が設定された。今回増発された西元町、大開停車の直通特急は黄色地に青文字の専用幕が用意されて、従来の直通特急と見た目で違いを表した。阪神線内では従来通り10分毎の運転が確保されており、直通特急が4本、須磨浦公園行き特急が2本の運転となった。直通特急は本改正から尼崎、魚崎に停車するようになった。特急も同様に尼崎に停車となった。これにより梅田~三宮間の所要時分は29分に延伸しており、並行するJRの新快速はもとより快速や阪急特急と比べても見劣りするような所要時分となった。所要時分の延伸もさることながら停車駅が2駅増加したことによる体感的な所要時分延もこの改正では特筆された。JRの新快速も尼崎、芦屋に追加停車しているが、阪神間ではこの2駅のみの停車にとどまっている。阪急も岡本への追加停車が震災復旧後に行われたが、これを含めても阪神間では3駅停車となっており、阪神の5駅停車は多過ぎる印象は否めないところだ。ちなみにこの時点でのJRの快速は阪神間4駅停車となっていた。このように他線と比べると阪神特急の停車駅の多さが際立つ結果となっている。この傾向は今でも大 きく変わっていない。

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直通特急の運転拡大に伴い、阪神では37年ぶりのクロスシート車となる9300系が新製された。直通特急運転開始に伴い乗り入れてきた山陽5000系のクロスシートが阪神線内でも好評だったことを受けて、阪神でもセミクロス車を新造することになった。山陽の車両とは異なり、先頭車両は阪神線内での混雑を考慮してロングシートとなった。中間車4両はセミクロスシートとなっている。山陽でも直通特急増発に伴い5030系の中間車を増備して5000系の6両編成化を推進している。

急行は改正前と同様に梅田~西宮間の運転となっていたが、土休日昼間の甲子園折り返しも西宮折り返しに改められた。西宮駅高架化により引き上げ線が復活し、急行は青木まで引き上げることなく西宮で折り返せるようになった。また、下り梅田駅の発車順序が改められ、再び野田にて普通と緩急接続を行うダイヤが復活している。

朝ラッシュ時ダイヤは13.5分サイクルから14分サイクルに変更され、区間急行が廃止された。14分サイクルに直通特急、区間特急、急行、準急、普通が運転され、これに加えて区間急行の代替として尼崎始発の普通が運転されるようになった。直通特急の魚崎停車実施により区間特急の魚崎停車が取り止めとなった。区間特急は代わりに青木への停車が実施された。急行はラッシュ時間帯も含めて全列車が福島、武庫川に停車するようになり、西宮以西では青木、岩屋も全列車停車となった。

夕方ラッシュ時では直通特急の魚崎停車に伴い、快速急行の停車駅変更が行われた。魚崎を通過し、代わりに青木、岩屋に停車に変更した。12分サイクルはそのまま維持され、直通特急、快速急行、準急、普通で形成された。19時台は快速急行に代わり急行が運転され、快速急行と急行の続行運転は姿を消した。

2002年3月4日ダイヤ改正。香枦園上りホーム延伸工事完成に伴い、朝ラッシュ時の上り準急5本を同駅停車とした。

2.2006年10月28日改正

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2006年10月28日ダイヤ改正。詳細は他に譲るが、紆余曲折あった阪急、阪神の経営統合後、初のダイヤ改正となった。2007年春に予定されているJRさくら夙川駅開業を見据えたダイヤ改正で、阪急神戸線、山陽電鉄本線と合わせた3社同時のダイヤ改正となっている。阪急でも同様にさくら夙川対策が行われており、特急の夙川停車が行われている。阪神では阪急ほどの影響はないものの、並行する香枦園へのテコ入れが行われ、朝ラッシュ時に運転されている区間特急の停車を行った。ダイヤ改正は朝ラッシュ時を中心に行われ、甲子園始発の区間急行が本改正で復活している。普通は尼崎始発の列車が整理され、本線直通の普通が14分毎の運転となった。準急と普通の待避駅などが見直され、直通特急、区間特急のスピードアップが行われた。

3.2009年3月20日改正

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2009年3月20日ダイヤ改正。阪神なんば線開業に伴うダイヤ改正が実施された。阪神にとっては悲願の西大阪線の難波延伸が完成し、既存線も含めて線名を阪神なんば線とした。阪神なんば線は尼崎で本線と直通し、終点の大阪難波からは近鉄難波線に直通した。西大阪線時代は尼崎~西九条間の線内運転のみの普通だったが、本線、近鉄との直通運転開始に伴い快速急行が設定された。阪神なんば線は西大阪線時代の10分毎の運転を踏襲し、データイム10分毎、朝夕ラッシュ時13~14分毎の運転となった。快速急行は近鉄奈良~三宮間の運転を基本に一部は尼崎や甲子園発着の列車も設定された。データイム以降20分毎の運転、朝ラッシュ時14分毎の運転となった。停車駅はデータイムとラッシュ時及び土休日ダイヤで異 なり、データイムは阪神なんば線内各駅に停車し、ラッシュ時及び土休日ダイヤでは尼崎~西九条間はノンストップで運転された。普通は近鉄奈良線普通と直通運転を行い、平日データイムは尼崎~東花園間に20分毎が運転された。土休日には区間準急が追加で尼崎まで直通し、快速急行が通過する各駅を補完した。快速急行以外の列車は全て線内各駅に停車し、尼崎から先本線に乗り入れる列車の設定はない。近鉄乗り入れに対応する為、西九条~尼崎間の各駅と本線の快速急行停車駅はホーム延伸が行われた。尼崎、西九条に関しては近鉄車の10両編成に対応する長さになった。ラッシュ時などに10両編成で運転される快速急行は尼崎で増解結を行い、尼崎以西では6両編成で運転された。阪神はそれまで駅構内で増 解結作業を行うことはなかったが、なんば線開業により尼崎で頻繁に増解結作業を行うこととなった。当初は作業に慣れていないこともあり、開業後しばらくは増解結作業の遅れなどでダイヤが乱れることがあった。遅れの為、快速急行の運転打ち切りなども各所で行われた。現在は極端なダイヤの乱れがない限りはこのような事態にはなっていない。

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2009年3月改正では本線のダイヤ変更も大きかった。列車種別上では快速急行がなんば線直通種別となり、停車駅が変更された。従来は梅田から野田、尼崎、甲子園、西宮、青木、岩屋、三宮だったが、梅田乗り入れはなくなり、尼崎からなんば線に乗り入れ、本線では尼崎、武庫川(データイムのみ)、甲子園、今津(土休日のみ)、西宮、芦屋、魚崎、三宮となっている。本改正で快速急行は終日運転となったが、データイムに関しては尼崎~西宮間で急行のスジを立て替えており、急行と同じ停車駅としている。西宮以西では基本的には特急と同じ停車駅となっているが、御影に関しては21m級の近鉄車の停車がネックとなり、停車駅からは外される形になっている。このため、西宮以西では特急よりも停車駅が少なくな っている。急行の停車駅も見直され、今津が終日停車に変更された一方で、福島が停車駅から外された。本改正後の急行停車駅は以下の通りである。梅田から野田、尼崎、武庫川、甲子園、今津、西宮。なお、快速急行の終日運転に伴い、急行は西宮以西の運転がなくなった。準急は本線種別としては消滅し、近鉄の準急、区間準急が阪神なんば線内各駅停車として乗り入れてくるのみとなった。区間特急は運転区間が三宮~梅田間から青木~梅田間に変更され、停車駅も大幅に変更された。青木から深江、芦屋、打出、香枦園、今津、甲子園の停車となった。深江、打出、今津が新規で停車となり、青木~香枦園間は各駅に停車となっている。区間急行の停車駅も変更され、梅田から福島、野田、千船、尼崎、武庫 川、鳴尾、甲子園となった。福島、千船が新たに停車駅に加えられた。区間急行は従来上りのみの運転だったが、本改正より下りの運転も設定された。また、この他直通特急の甲子園停車の拡大も行われており、下りは全列車停車となった。直通特急で甲子園を通過する列車は朝ラッシュ時の上りのみとなった。

  

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