1.概要
叡山電鉄900系は1997年に登場した観光用車両で、きららの愛称が付けられている。2編成が製造され、1編成ずつ異なる外観を持つ。901-902号車の編成は上半分メイプルレッド、903-904号車の編成は上半分メイプルオレンジ、両者下部はベージュで塗り分け部分にゴールドの帯が入れられている。
- 901F
- 903F
2.車体
車体は普通鋼製溶接構造で、客室内からの眺望を重視するとともに、ガラス張りの電車であることをアピールするため正面には運転台上部までガラスが貼られた。正面窓内に電動式の行先方向幕が備えられ、窓下に一体のケースに入った前照灯とフォグランプが設置された。
3.車内
室内床面は濃いワインレッド、壁と天井は明るいグレーとされたが、ぎらついて眺望を損なわない様つやが抑えられた。着席しても立っていても眺望が楽しめるよう、運転台後部仕切り壁の窓は極力拡大された。座席も外観同様独自性が追求され、 自動車用の知見を盛り込んだ上で数回の試作を経て、ゆるいS字型の背もたれをもち、背もたれ上部も半円形に仕上げられた形状が採用された。座席表布は木の枝をモチーフとした紫系のジャガード織が採用された。通勤通学輸送への考慮と、車内のアクセントとなることを目的に赤色の大型の手すりが背もたれに取り付けられた。座席のレイアウトは進行方向向かって左側が1列、右側が2列を基本構成とし、1列のものはすべて運転台向き、2列のものは2組のボックスシート、8席の窓向きの座席、2席の運転台向きの座席が配置された。
4.性能
奇数番号車に2両分8個の主電動機を制御する発電抑速ブレーキ付電動カム軸式主制御器を搭載。各車に定格出力53kW主電動機が搭載された。制動装置は電気指令式ブレーキ(HRD-1)が採用された。台車は緩衝ゴム式軸支持の近畿車輛製KD-232を採用した。パンタグラフは叡山電鉄初のシングルアーム式となり、奇数番号車に2個装備されている。空気圧縮機は800系と同じ容量1590リットル/分のHB-1500Bが偶数車床下に搭載された。冷房装置は700系、800系と同一で、容量15.1 kW(13,000 kcal/h)の東芝製RPU3044 2基が車体中央の屋根上に設置された。補助電源装置は容量44kVAの静止形インバータを偶数番号車の床下に搭載した。
叡山電鉄900系編成表 | 2両編成 | |
---|---|---|
←出町柳 | 鞍馬→ | 4両 |
900 | 900 | |
Mcp | Mc | 製造年 |
901 | 902 | 1997年 |
903 | 904 | 1997年 |