京阪本線ダイヤ変遷【2003年9月6日改正~2007年1月27日改正】

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2003年9月6日のダイヤ改正では、特急が枚方市、樟葉に追加停車となった。2000年7月1日改正では運転パターンを変えずに特急停車駅を2駅増加させる処置を取っていたが、本改正では運転パターンも大幅に変更された。データイムダイヤの15分サイクルを10分サイクルに変更した。これにより従来15分毎だった特急が10分毎へと増発され、所要時分は停車駅増により延伸したが、待ち時間の短縮が図られ、トータルでの所要時間が短縮された。所要時分は淀屋橋~出町柳間が上り53分、下り54分、京橋~七条間が上り39分、下り40分となった。京橋~七条間ノンストップ時代から比べると5分遅くなった。利用者にとっては4駅停車駅が増加して5分遅くなるのだから不平不満は出る。

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同じように2001年3月24日にダイヤ改正を実施した阪急京都線でも特急の停車駅が3駅増えて1駅減ったものの、所要時分が延びて京阪間直通利用者から阪急の特急はよく停まって遅いという有り難くない評価を頂いていた。実際には、阪急でも特急の10分毎化が行われ、フリーククェンシー強化により、待ち時間も含めたトータルの所要時分では大幅な時間短縮が行われていた。阪急の場合は、20分毎から10分毎への増発なので特急が倍増しており、この点はもっと評価されてもよかったのではないかと思われる。京阪でも15分毎から10分毎への増発により、待ち時間は最大14分から9分に短縮された。この待ち時間をそっくりそのまま所要時分の延伸に持っていかれる所は頂けないものの、それでも待たずに乗れるという評価はされてもよさそうなものだ。実質急行になり下がった感のある阪急とは違い、京阪の場合は急行よりも遙かに停車駅が少ないのだから、特急を中間駅に停めた後ろめたさは忘れて、もっと10分毎に特急が運転されていることをアピールした方がよいだろう。ただし、利用者は比較対象として阪急ではなく、JRの新快速を対象として見てくるので、どうしても絶対的なスピードと所要時分で比較されてしまうので、フリークェンシー強化のアピールをしても高い評価は得られないかもしれない。それでも本改正での特急の評価は、長年干され続けてきたといっても過言ではない中間駅の雄である枚方市と樟葉への停車だけで終わるのは勿体ないところだ。格式高い京阪特急の質が若干落ちたとしても10分毎へのフリークェンシー強化については大いに評価されてもよいと思う。なお特急の10分ヘッド化により8000系・3000系などの特急車が不足するため、9000系がデータイムでも特急運用につくことが多くなった。

本改正では特急の10分サイクル化に伴い、当然ながら他の列車も10分サイクル化されている。注目すべき点は長年運転されてきた本線通しの急行と普通がなくなったことだ。急行については枚方市以西では準急がその役割を果たし、枚方市以東ではその役割を特急が果たしことになり、データイムダイヤでは列車自体の設定がなくなってしまった。普通については本改正から準急の停車駅が萱島以遠各駅に変更されたことに伴い、本線通し運転が普通から準急に変更されたため、普通は全て萱島止まりの運転に改められた。また、中書島~三条間の普通は同区間で各駅に停まる準急が10分毎の運転となったため、供給過剰となることもあり廃止された。

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本改正で急行、普通から主役の座を奪う形となった準急は10分サイクルに2本もの列車が運転されるようになった。1本は本線通しで出町柳までの運転、もう1本は枚方市までの運転となっており、大阪府内では特急の恩恵を受けない守口市、寝屋川市、香里園などの主要駅をフォローし、萱島以東では普通の役割を果たすようになった。淀屋橋~萱島間では1時間あたり24本もの列車が運転されるようになり、データイムダイヤでは類を見ない運転本数となった。複々線区間の萱島~京橋間ではもちろん、A線の延長となる京橋~淀屋橋間の複線区間でも24本もの本数を昼間からさばいていたというのは圧巻という言葉以外見当たらない。準急は出町柳行きが上下とも淀屋橋~枚方市間で特急より先着するダイヤとなっており、曲りなりに淀屋橋~枚方市間には10分サイクルに2本の優等列車が利用できるダイヤとなっていた。枚方市止まりの準急は途中萱島で特急に追い抜かれるダイヤとなっていたが、枚方市以西から大阪方面への利用を目的とした列車のため、特急待避も止む無しといったところだった。全線通しの準急はホーム有効長の関係から7両編成に運用が限定され、8両編成の一般車の運用は枚方市止まりの準急か萱島止まりの普通に限られるようになった。

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10分サイクルダイヤでは、平日データイムのダイヤは特に不備なく推移していたが、土休日とりわけ行楽シーズン及び競馬開催時には15分サイクルとは違った運行体系となったため各所に不便なところが出てきた。15分サイクル時には行楽シーズンのピーク時間帯には定期特急の続行で臨時特急を運転したりして、旺盛な京都方面への行楽輸送を捌いていた。また、競馬開催時には急行の淀への臨時停車や臨時急行の運転、イベント列車臨時快速ターフィー号などを運転して数万人規模の利用者をうまく捌いていた。これが10分サイクルになり、臨時列車の運転を行う余地が少なくなる一方で、枚方市以東で列車本数が減少し、優等列車が特急に1本化されてしまったことへの弊害が生じた。臨時列車の運転は以前より
も小規模ながらも長いスパンを持って運転されたりして混雑する特急を補完していた。競馬輸送に関しては枚方市止まりの準急を淀まで延長運転し、一部列車は枚方市~淀間で急行運転を行う臨時列車ギャロップ号として運転した。競馬人気は下降しており以前よりも観客動員は減っているが、それでもG1レースなどでは5万人以上の来客がある。苦肉の策で延長運転したギャロップ号では対応しきれない場面も現れ、ディープインパクトが無敗で3冠を達成した2005年の菊花賞当日には13万人余りの観客が京都競馬場を訪れ、レース終了後には淀駅ホームが混乱しているということから特急が数本臨時停車するという異常事態が発生した。それ以後10万人以上の規模の観客が京都競馬場に訪れていないこともあり、このような混乱はディープフィーバーに沸いた1日だけとなっているが、それでも競馬開催時と行楽シーズンが重なる秋のシーズンには京都方面、大阪方面とも特急が混雑する傾向にあり、何らかの対策が必要な状況となっていた。このため2006年4月16日に実施されたダイヤ改正では土休日ダイヤで朝夕の時間帯の運転サイクルが変更され、10分サイクルから15分サイクルへと変更された。

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2006年4月16日に実施されたダイヤ改正では、再びデータイムダイヤの変更が行われた。特急の運転には変化はなく、準急及び普通の運転が大幅に変更された。2003年9月6日改正で10分サイクルに2本の運転となっていた準急は、急行と区間急行へと変更され、急行は枚方市行き、区間急行は萱島行きとして運転されるようになった。普通は改正前は萱島行きだったが、準急の廃止により本線通し運転が復活して全て淀屋橋~出町柳間の運転となった。急行は途中香里園で特急の待避を行うため、枚方市まで先着する電車は特急のみとなった。区間急行が萱島止まりとなったため、急行停車駅の寝屋川市、香里園では10分サイクルに準急2本から急行1本へと利用本数は減少した。それ以上に萱島では準急の廃止により、区間急行と急行と普通の乗り継ぎ利用となり、前ダイヤよりもかなり不便になった。逆に区間急行の設定により守口市~萱島間の各駅は前ダイヤよりも利便性が向上しており、モノレールと連絡する門真市にデータイムにも優等列車が停まるようになった。この辺りはダイヤ改正により改正になった部分改悪になった部分があり、駅によって明暗を分けている感があった。全般的な傾向としては寝屋川市内での人口減の影響からか寝屋川市、香里園、萱島の主要3駅の利用者が年々減少を続けているため、現行データイムダイヤもそれ相応の対応となっているのかもしれない。以前であれば寝屋川市は枚方市をも凌ぐ乗降者数を誇っていたが、いまや枚方市とはかなり水を開けられる状態になっていた。

  

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