わかやま電鉄貴志川線ガイド【終点貴志にはたま駅長の後継ネコがいる】

たま電車

1.概要

会社名 わかやま電鐵
路線名 貴志川線
区間 和歌山~貴志
営業キロ 14.3km
駅数 14駅
平均駅間距離 1.1km
所要時分 31分
表定速度 27.7km/h
軌間 1067mm
電気方式 1500V直流電化
線路 単線
保安方式 ATS-SW
最高速度 60km/h
最大編成両数 2両
※2006年4月1日に南海貴志川線から転換して会社発足。経営母体は岡山電気軌道

和歌山電鐵貴志川線は和歌山と貴志を結ぶ全長14.3キロの路線である。2006年4月1日に南海貴志川線から転換した路線で、親会社は岡山電気軌道と同じ両備グループの子会社となっている。

貴志川駅にネコのたま駅長を採用するなどユニークな施策が当たり、現在貴志川駅ではたま効果で駅舎が改築されるまでに至っている。この他、南海から引き継いだ2200系電車を改造していちご電車、おもちゃ電車、たま電車など改造車ながらも工夫を凝らした車両を走らせ、貴志川へのたま詣でと相まって鉄道ファンのみならず、家族連れなどの行楽客を楽しませてくれている。

和歌山電鐵貴志川線は和歌山でJR阪和線、紀勢線と連絡している以外は他線との連絡接続はない。たま詣では電車で行く人が多いのは確かなところだが、クルマやバイクで来る人も多い。このあたりをどう取り込んでいくのかと、ポストたまが和歌山電鐵の今後の課題と言える。

駅番号 駅名 駅間距離 営業距離 所在地 開業年月日
1 和歌山 0km 和歌山市 1931/4/28
2 田中口 0.6km 0.6km 和歌山市 1924/6/15
3 日前宮 0.8km 1.4km 和歌山市 1916/2/15
4 神前 1.5km 2.9km 和歌山市 1916/2/15
5 竈山 0.8km 3.7km 和歌山市 1916/2/15
6 交通センター前 1.1km 4.8km 和歌山市 1999/5/7
7 岡崎前 0.6km 5.4km 和歌山市 1916/2/15
8 吉礼 1km 6.4km 和歌山市 1916/2/15
9 伊太祈曽 1.6km 8km 和歌山市 1916/2/15
10 山東 1.1km 9.1km 和歌山市 1933/8/18
11 大池遊園 2.2km 11.3km 紀の川市 1933/8/18
12 西山口 0.8km 12.1km 紀の川市 1933/8/18
13 甘露寺前 1km 13.1km 紀の川市 1933/8/18
14 貴志 1.2km 14.3km 紀の川市 1933/8/18

2.歴史

和歌山電鐵貴志川線は1916年(大正5年)2月15日に山東軽便鉄道として大橋~山東(現在の伊太祈曽)間が開業した。1917年(大正6年)3月16日に中ノ島~大橋間が開業した。中ノ島駅は国鉄和歌山駅(現在の紀和駅)近くにあった。1924年(大正13年)2月28日に紀勢西線(現在の紀勢本線)東和歌山(現在の和歌山)開業に伴い、中ノ島~秋月(現在の日前宮)間を廃止し、東和歌山を起点に変更した。同年6月15日に田中口駅が開業した。

1931年(昭和6年)4月23日に和歌山鉄道に社名変更された。1933年(昭和8年)に秋月駅を日前宮駅に改称した。同年8月18日に伊太祁曽~貴志間が開業した。山東駅を伊太祁曽駅に改称した。1941年(昭和16年)12月に東和歌山~伊太祁曽間が電化された。1942年(昭和17年)12月に伊太祁曽~大池間が電化された。1943年(昭和18年)12月に大池~貴志間が電化された。これにより全線の電化が完成した。

1945年(昭和20年)に伊太祁曽~山東永山駅間の東山東駅を廃止した。山東永山駅を山東駅に改称した。1957年(昭和32年)11月1日に和歌山電気軌道が和歌山鉄道を合併、同社の鉄道線となった。1961年(昭和36年)11月1日に南海電気鉄道が和歌山電気軌道を合併した。鉄道線は貴志川線となった。

1968年(昭和43年)3月1日に東和歌山駅を和歌山駅に改称した。1993年(平成5年)4月1日にCTC化された。1995年(平成7年)2月6日から2270系電車が運転を開始した。同年4月1日からワンマン運転を開始した。運行間隔が日中は40分から30分に、夕方は30分から15分間隔に増発され、全列車が冷房化された。

1999年(平成11年)5月7日に交通センター前駅が開業した。2003年(平成15年)11月に南海電気鉄道が貴志川線の廃止を検討していることを表明した。2004年(平成16年)8月10日に南海電気鉄道が2005年9月末を以って同線から撤退することを発表した。同年9月30日に南海電気鉄道が国土交通省近畿運輸局に鉄道事業廃止届出書を提出した。2005年(平成17年)2月4日に和歌山県、和歌山市と旧貴志川町が貴志川線存続で合意、事業の引き継ぎ先を公募した。同年4月28日に岡山電気軌道が事業引き継ぎを発表した。同年6月27日に貴志川線の運営会社として和歌山電鐵が設立された。

2006年(平成18年)1月20日に国土交通大臣に鉄道事業譲渡譲受認可申請書が提出された。同年4月1日に和歌山電鐵による貴志川線が運行を開始した。伊太祁曽駅を伊太祈曽駅に改称した。8月6日から水戸岡鋭治氏がデザインした「いちご電車」の運行を開始した。同年10月21日にダイヤ改正を実施(平日10本・土日祝12本の増便)。和歌山~伊太祈曽間に平日53往復・土休日43往復、伊太祈曽~貴志間平日34往復・土休日34往復が運転された。

2007年(平成19年)1月5日に三毛猫の「たま」が貴志駅の駅長に就任した。同時に、同居する猫「ミーコ」(たまの母親)と「ちび」が同駅助役に就任した。同年7月29日に「おもちゃ電車」運行を開始した。同年11月23日に一部列車を減便した(ダイヤ上は運休扱い)。和歌山~伊太祈曽間平日49往復・土休日42往復、伊太祈曽~貴志間平日33往復・土休日34往復の運転となった。

2008年(平成20年)4月6日に一部列車を増便する(前回ダイヤ改正で運休扱いとしたものの一部復活)。和歌山~伊太祈曽間平日49往復・土休日43往復、伊太祈曽~貴志間平日34往復・土休日34往復の運転となった。2009年(平成21年)3月21日から「たま電車」の運行を開始した。2009年(平成21年)7月20日 貴志駅助役「ミーコ」(たまの母親)が亡くなった。貴志駅永久助役に任命した。

2010年(平成22年)8月4日に貴志駅新駅舎「たまミュージアム貴志駅」が竣工した。2012年(平成24年)1月5日に貴志駅のスーパー駅長「たま」の就任5周年記念式典が行われ、三毛猫の「ニタマ」に伊太祈曽駅駅長兼貴志駅駅長代行の辞令が交付された。同年2月1日に架線電圧を直流600Vから直流1500Vへ昇圧した。

2015年(平成27年)6月22日に貴志駅のウルトラ駅長となっていた「たま」が亡くなった。名誉永久駅長に任命された。8月10日に「たま」の50日祭が行われ、たま神社建立と「ニタマ」のたまII世駅長の襲名が発表された。

3.ガイド

 

貴志

貴志

和歌山はJR和歌山に隣接しており、JRからの続番の9番線となっている。構内はホーム1面1線で留置線が1線ある。中間改札を経てJR和歌山駅とは連絡通路で結ばれている。自動改札は設置されていないが、JR阪和線からの乗換えに備えてICOCAの読み取り機が設置されている。和歌山を出ると少しJR紀勢線と並行して、左にカーブしてすぐに田中口となる。田中口を出ると右にカーブして日前宮となる。同駅は日前宮と2010年の選抜高校野球に21世紀枠で出場した向陽高校への最寄駅となっている。

日前宮を出るとしばらく南下していき神前となる。次の竈山の手前で左にカーブして東に進路を取り、和田川と並行して進んで交通センター前となる。同駅は和歌山県の免許センターへの最寄駅で、駅の目の前にそれがある。交通公園や和歌山東高校もあり、貴志川線の拠点駅の一つと言える。和歌山の人のほとんどが免許の更新や交付時には貴志川線を利用しているものと思われる。

交通センター前を出るとすぐに岡崎前で、さらに東へ進んで阪和道の下をくぐって吉礼となる。吉礼を出ると左に右にカーブして進み、車庫が併設されている伊太祁曽となる。同駅は運転上の拠点で、同駅折り返しの区間電車の設定もある。

次の山東を過ぎると右手に大池遊園が見えて和歌山市から貴志川町に入り、大池遊園となる。次の西山口周辺には長山団地があり、その次の甘露寺前は貴志川高校や町民体育館への最寄駅となっている。甘露寺前の駅の南側には平池という池がある。同駅を出てしばらく進んで右に大きくカーブして終点の貴志となる。駅舎は改築され、ねこの姿を模した駅舎となった。2015年6月22日に駅長として親しまれていたたまが死去し、現在はにたまと呼ばれていたたま2世が駅長に就任している。

  

鉄道コム

タイトルとURLをコピーしました