1.概要
キハ189系は特急はまかぜで使用されていたキハ181系の置き換え用として2010年(平成22年)11月7日から営業運転を開始した気動車特急用車両である。3両編成7本21両が製造されてキハ181系を全て置き換えた。
全車普通席で、グリーン車の連結はない。製造メーカは新潟トランシス。
2012年3月17日に山陰本線、播但線の地上設備改良によりスピードアップが行われた。
会社名 | 西日本旅客鉄道 |
形式 | キハ189系 |
使用線区 | JR東海道本線・山陽本線・播但線・山陰本線 |
製造メーカー | 新潟トランシス |
所属 | 吹田総合車両所京都支所 |
編成 | 3両 |
既存両数 | 21両 |
車体 | ステンレス製 |
扉枚数・座席形状 | 20m級1扉回転式リクライニングシート |
動力伝達方式 | 液体式 |
機関 | コマツ製SA6D140HE-SA6D140HE-2 331kW (450 PS) × 2基 |
変速機 | 液体変速機 DW21 |
変速段 | 変速1段・直結4段 |
ブレーキ | 機関ブレーキ・排気ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ |
台車 | 軸梁式ボルスタレス台車(ヨーダンパ・アンチローリング装置付) |
最高速度 | 130km/h |
加速度 | 2km/h/s |
減速度(通常) | 4.6km/h/s |
減速度(非常) | 5.2km/h/s |
製造初年 | 2010年 |
軌間 | 1067mm |
保安装置 | ATS-Sw, ATS-P EB装置・TE装置 |
座席定員 | キハ189 0番台 40名 キハ189 1000番台 60名 キハ188 56名 |
2.車体
車体はステンレス製で、先頭部は鋼製となっている。
先頭部のデザインはキハ181系を彷彿させる形状になっており、貫通扉が設置され、運転台窓はパノラミックウインドウになっている。
前面運転台下や側窓部には茜色のラインが入れられている。
乗降扉は各車両1ヶ所で、半自動ボタンも搭載している。
車両連結面には転落防止幌が設置されている。
先頭車両への転落防止幌の設置はない。
3.車内
座席は683系電車4000番台に準じたリクライニングシートが横2+2列で配置されている。
モケットの色は赤系が採用されている。
シートピッチはキハ181系の910 mmから970 mmに拡大した。
車端部座席にモバイル機器用コンセントが設置されている。
キハ189形0番台にはバリアフリー設備として多目的室や車椅子での使用に対応した洋式トイレが設置されている。
客室内には LED 式の車内案内表示装置が設置されている。
4.主要機器
各車両にディーゼルエンジン2基、電源装置1台、空気圧縮機2台、燃料タンク2台、蓄電池が搭載されている。
エンジンはコモンレール燃料噴射装置を採用し、排出ガス中の窒素酸化物やすすなどの排出量を低減させたコマツ製のSA6D140HE-2を各車両に2基ずつ搭載している。
エンジン1基の定格出力は331kW (450 PS)、定格回転数は2,100rpmで、過給機および吸気冷却装置を備えている。
大阪~姫路間では130㎞/h運転を行っている。
キハ181系やキハ40・47形と同等の車両性能に変更できるよう、性能選択スイッチが搭載されている。
空気圧縮機はベルト駆動式を採用し、毎分600lの容量を備えている。
空調装置などのサービス用電源装置として、エンジンの駆動力を利用した発電機が搭載されている。電源装置は用途に応じて、三相交流440 V・50 kVA、交流100 V・10 kVA、直流100 V・5 kW、直流24 V・2 kWの4種を供給する。
台車は1軸駆動式で、223系と同じ軸梁式のWDT66ボルスタレス台車を採用。アンチローリング装置を設置し、急カーブの通過を考慮して先頭車両台車の先頭軸にはフランジ塗油装置を備えている。
ブレーキには、台車ごとの制御となる機関ブレーキ・排気ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを採用している。基礎ブレーキ装置は踏面ユニットブレーキ(動軸)/ディスクブレーキと踏面ユニットブレーキの併用(従軸)となっている。
空調装置は、集約分散式のWAU707A が1両あたり2基屋根上に搭載される。冷房能力は1基あたり20,000kcal/hで、1両あたり40,000 kcal/hとなっている。
2022年吹田総合車両所京都支所キハ189系編成表 | |||||
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はまかぜ・びわこエクスプレス2号 | |||||
←鳥取・大阪・草津 | 姫路→ | ||||
3両編成 | 1号車 | 2号車 | 3号車 | 製造年 | 製造 メーカ |
21両 | キハ189-1000 | キハ188 | キハ189-0 | ||
H1 | 1001 | 1 | 1 | 2010年 | 新潟トランシス |
H2 | 1002 | 2 | 2 | 2010年 | 新潟トランシス |
H3 | 1003 | 3 | 3 | 2010年 | 新潟トランシス |
H4 | 1004 | 4 | 4 | 2010年 | 新潟トランシス |
H5 | 1005 | 5 | 5 | 2010年 | 新潟トランシス |
H6 | 1006 | 6 | 6 | 2010年 | 新潟トランシス |
H7 | 1007 | 7 | 7 | 2010年 | 新潟トランシス |
5.運用
大阪~香住、浜坂、鳥取間に運転されている特急はまかぜに使用されている。大阪~香住間に運転される臨時特急カニカニはまかぜにも運用されている。間合い運用としてJR京都線、琵琶湖線の通勤特急びわこエクスプレス2号にも運用されており、琵琶湖線草津まで乗り入れている。
特急はまかぜと通勤特急びわこエクスプレス2号は基本3両編成で運転されている。多客期には3両編成を2本繋げた6両編成で運転される。
2022年8月現在、3両編成7本が吹田総合車両所京都支所に所属している。