1.概要
JR宝塚線は尼崎と福知山を結ぶJR福知山線の愛称で、尼崎~篠山口間で使用されている。実際の運行系統は大阪駅からの丹波路快速、JR京都線からの普通電車の直通があるため、大阪~尼崎間もJR宝塚線の一部と考えられている。また、JR東西線との直通もあり、特急列車の運転なども合わせると案外バラエティに富んだ運行系統になっている。ここでは大阪~尼崎間のJR神戸線もJR宝塚線の一部と捉えて記述していく。
2.路線データ
会社名 | 西日本旅客鉄道 |
---|---|
路線名 | 福知山線 |
愛称名 | 宝塚線 |
区間 | 大阪~篠山口 |
営業キロ | 66.1km |
駅数 | 23駅 |
平均駅間距離 | 3.01km |
所要時分 | 51分 |
表定速度 | 77.8km/h |
軌間 | 1067mm |
電気方式 | 1500V直流電化 |
線路 | 複線 |
保安方式 | ATS-P(尼崎~新三田) |
ATS-SW(新三田~篠山口) | |
最高速度 | 120km/h |
最大編成両数 | 8両 |
※大阪~尼崎間はJR東海道本線に乗り入れ。福知山線は尼崎~福知山間の路線。 |
会社名 | 西日本旅客鉄道 |
---|---|
路線名 | 福知山線 |
愛称名 | 宝塚線 |
区間 | 大阪~篠山口 |
営業キロ | 66.1km |
駅数 | 23駅 |
平均駅間距離 | 3.01km |
所要時分 | 51分 |
表定速度 | 77.8km/h |
軌間 | 1067mm |
電気方式 | 1500V直流電化 |
線路 | 複線 |
保安方式 | ATS-P(尼崎~新三田) |
ATS-SW(新三田~篠山口) | |
最高速度 | 120km/h |
最大編成両数 | 8両 |
※大阪~尼崎間はJR東海道本線に乗り入れ。福知山線は尼崎~福知山間の路線。 |
線路
JR各線と同様1067㎜狭軌を採用。JR神戸線に乗り入れる大阪~尼崎間は複々線、尼崎~篠山口間は複線になっている。全区間1500V直流電化となっている。
最高速度
JR宝塚線の最高速度は大阪~尼崎間が120㎞/h、尼崎~宝塚間が95㎞/h、宝塚~新三田間が120㎞/h、新三田~篠山口間が105㎞/hとなっている。
使用車両
丹波路快速は223系6000番台、225系6000番台の4両編成、6両編成、8両編成が使用されている。快速は大阪発着の列車は223系6000番台、225系6000番台の4両編成、6両編成、8両編成と207系、321系7両編成が使用されている。普通は207系、321系7両編成が使用されている。大阪発着の普通は223系6000番台、225系6000番台の4両編成、6両編成も使用されている。
保安方式
全区間で拠点型のATS-PとATS-SWを併用。
運転指令所
尼崎~新三田間は、大阪総合指令所が管轄し、運行管理システムはJR宝塚・JR東西・学研都市線運行管理システムが運用されている。新三田~篠山口間は福知山運輸指令所が管轄している。
ICカード
尼崎~篠山口間でICOCAなどICカード乗車券の利用が可能になっている。
直通路線
JR東西線、JR学研都市線、JR神戸線、JR京都線、JR琵琶湖線と直通運転を行っている。
競合路線
大阪~宝塚間で阪急宝塚本線と競合している。大阪~塚口間では阪急神戸本線、大阪~伊丹間では阪急神戸本線、阪急伊丹線と競合している。
2020年度混雑率
2020年度の最混雑区間は快速が伊丹~尼崎間で、最混雑時間帯7:10~8:10までで、この時間帯の輸送力は9,488人/Hで、輸送人員は10,080人/H、混雑率は106%となっている。普通は塚口~尼崎間が最混雑区間で、最混雑時間帯7:15~8:15までで、この時間帯の輸送力は8,712人/Hで、輸送人員は6,805人/H、混雑率は78%となっている。
3.列車種別
駅№ | 駅名 | 駅間距離 | 営業距離 | 特急 | 丹波路快速 | 快速 | 区間快速 | 普通 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
JR-G47 | 大阪 | – | 7.7km | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
JR-G48 | 塚本 | 3.4km | 4.3km | ▲ | ||||
JR-G49 | 尼崎 | 4.3km | 0km | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
JR-G50 | 塚口 | 2.5km | 2.5km | ◎ | ◎ | |||
JR-G51 | 猪名寺 | 1.4km | 3.9km | ○ | ||||
JR-G52 | 伊丹 | 1.9km | 5.8km | ○ | ○ | ○ | ○ | |
JR-G53 | 北伊丹 | 2.1km | 7.9km | ○ | ||||
JR-G54 | 川西池田 | 3.1km | 11km | ○ | ○ | ○ | ○ | |
JR-G55 | 中山寺 | 3.5km | 14.5km | ○ | ○ | ○ | ○ | |
JR-G56 | 宝塚 | 3.3km | 17.8km | ○ | ○ | ◎ | ○ | ◎ |
JR-G57 | 生瀬 | 1.9km | 19.7km | ○ | ○ | |||
JR-G58 | 西宮名塩 | 2.2km | 21.9km | ○ | ○ | ○ | ○ | |
JR-G59 | 武田尾 | 3.2km | 25.1km | ○ | ○ | |||
JR-G60 | 道場 | 5km | 30.1km | ○ | ○ | |||
JR-G61 | 三田 | 3.6km | 33.7km | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
JR-G62 | 新三田 | 3.2km | 36.9km | ▲ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ |
JR-G63 | 広野 | 2.8km | 39.7km | ○ | ○ | ○ | ||
JR-G64 | 相野 | 4.3km | 44km | ▲ | ○ | ○ | ○ | |
JR-G65 | 藍本 | 4.2km | 48.2km | ○ | ○ | ○ | ||
JR-G66 | 草野 | 2.3km | 50.5km | ○ | ○ | ○ | ||
JR-G67 | 古市 | 3km | 53.5km | ○ | ○ | ○ | ||
JR-G68 | 南矢代 | 2.6km | 56.1km | ○ | ○ | ○ | ||
JR-G69 | 篠山口 | 2.3km | 58.4km | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | |
※1 ◎始発、終着列車あり。○停車。▲一部停車。 | ||||||||
※2 東西快速は東西線直通快速の意味。 | ||||||||
※3 東西快速は塚口始発終着列車があるが、それ以外は塚口には停車しない。 |
4.歴史
1891年(明治24年)7月24日に川辺馬車鉄道 大物〜長洲間が仮開通。馬車鉄道。大物駅・長洲駅が開業。
7月中に川辺馬車鉄道 尼ヶ崎〜長洲間が本格開業。尼ヶ崎駅(後の尼崎港駅)が開業。
9月6日に川辺馬車鉄道 長洲〜伊丹間が開業。塚口駅・伊丹南口駅・伊丹駅が開業。
1892年(明治25年)6月に川辺馬車鉄道が摂津鉄道への改称を出願。
1893年(明治26年)12月12日に尼ヶ崎〜伊丹間が改軌、伊丹〜池田間が延伸され、尼ヶ崎〜池田間が軌間762 mmの軽便鉄道として開業。尼ヶ崎駅・長洲駅・伊丹駅が再開業。池田駅(現在の川西池田駅)が開業。馬車鉄道時代は東海道線と平面交差していたが、改築後は貨車のみ横断が許され、旅客は長洲駅で乗り継ぐことになった。
1894年(明治27年)3月6日に大物駅・塚口駅・伊丹南口駅が再開業。
1897年(明治30年)2月16日に摂津鉄道が全線を阪鶴鉄道に譲渡。
同年12月27日に池田〜宝塚間が軌間1067 mmで延伸開業。中山駅(現在の中山寺駅)・宝塚駅が開業。池田駅が新線分岐点付近に移転。
12月28日に長洲〜池田間の軌間が1067 mmに改軌された。伊丹南口駅が廃止された。
1898年(明治31年)6月8日に宝塚〜有馬口間、神崎〜塚口間が延伸開業。有馬口駅(後の生瀬駅)が開業。官設鉄道神崎駅(現在の尼崎駅)に乗り入れ。長洲〜塚口間が廃止され、尼ヶ崎〜長洲間は孤立区間になった。
1899年(明治32年)1月25日に有馬口〜三田間が延伸開業。武田尾駅・道場駅・三田駅が開業。
同年3月25日に三田〜篠山間が延伸開業。有馬口駅が生瀬駅に改称。広野駅・相野駅・藍本駅・古市駅・篠山駅(現在の篠山口駅)が開業。
5月25日に篠山〜柏原駅間が延伸開業。大山駅(後の丹波大山駅)・下滝駅・谷川駅・柏原駅が開業。
7月15日に柏原〜福知山南口間が延伸開業。石生駅・黒井駅・市島駅・竹田駅(後の丹波竹田駅)・福知山南口駅(のちの福知駅)が開業。
1900年(明治33年)度に尼ヶ崎〜長洲間が休止になった。
1901年(明治34年)4月1日に池田駅が中山寄りに移転。
1903年(明治36年)4月30日に池田〜中山間に花畑仮停車場が開業。
8月1日に花畑仮停車場が廃止。
11月1日に福知山南口駅が福知駅に改称。
1904年(明治37年)11月3日に福知〜福知山間が延伸開業し、官設鉄道福知山駅に乗り入れ。同日開業した官設鉄道 福知山〜綾部〜新舞鶴(現在の東舞鶴駅)間を阪鶴鉄道が借り入れ。
1905年(明治38年)7月13日に貨物支線 塚口〜長洲間が再開業し、長洲〜尼ヶ崎間が軌間1067 mmに改軌の上、東海道線と立体交差化され営業再開。尼ヶ崎駅が営業再開。大物駅・長洲駅が廃止。
1907年(明治40年)8月1日に阪鶴鉄道が国有化。
1909年(明治42年)10月1日に福知駅が廃止。
同年10月12日に国有鉄道線路名称制定により、神崎〜福知山〜新舞鶴(現在の東舞鶴駅)間、塚口〜尼ヶ崎間などを阪鶴線と命名。
1911年(明治44年)9月6日に塚口〜尼ヶ崎間の旅客営業再開。神崎乗降場が開業。
同年11月1日に竹田駅が丹波竹田駅に改称。
1912年(明治45年)3月1日に神崎〜福知山間、塚口〜尼ヶ崎間が阪鶴線から分離され、路線名を福知山線と改称された。
同年4月16日に支線に金楽寺駅が開業。
1913年(大正2年)9月1日に惣川駅が開業。
1915年(大正4年)9月11日に中山駅が中山寺駅に改称。
1917年(大正6年)5月1日に大山駅が丹波大山駅に改称。
1918年(大正7年)5月15日に伊丹〜池田間に猪名川仮信号所が開設。
同年9月13日に猪名川仮信号所が廃止。
1926年(大正15年)3月15日に惣川駅の旅客営業廃止。
1934年(昭和9年)5月15日に神崎〜塚口間が複線化。
1944年(昭和19年)3月1日に篠山駅が篠山口駅に改称。
同年4月1日に北伊丹駅が開業。
1949年(昭和24年)1月1日に神崎駅が尼崎駅に、尼ヶ崎駅が尼崎港駅に、神崎乗降場が尼崎乗降場に改称。
1951年(昭和26年)8月1日に池田駅が川西池田駅に改称。
1955年(昭和30年)10月24日に南矢代駅が開業。
1956年(昭和31年)11月19日に尼崎〜塚口間が電化。
1958年(昭和33年)3月27日に草野駅が開業。
1961年(昭和36年)10月1日に特急まつかぜが運転開始。
1965年(昭和40年)9月14日に台風24号接近に伴う集中豪雨により広野〜相野間で土砂崩れ。
1969年(昭和44年)4月30日に尼崎乗降場が書類上尼崎駅に併合され、尼崎臨時乗降場に変更。
1979年(昭和54年)6月29日に塚口〜尼崎港間が自動信号化。
同年7月1日に惣川駅が廃止。
9月27日に塚口〜北伊丹間が複線化。
1980年(昭和55年)9月3日に川西池田駅が北伊丹寄りに0.2 km移転。
12月5日に北伊丹〜中山寺間が複線化。
12月11日に中山寺〜宝塚間が複線化。
1981年(昭和56年)3月31日に塚口〜宝塚(正確には惣川貨物駅跡まで)間が電化。同年4月1日に猪名寺駅が開業。塚口〜尼崎港間の旅客営業廃止。金楽寺駅・尼崎臨時乗降場が廃止。
12月10日に篠山口〜福知山間が自動信号化。
1982年(昭和57年)2月27日に篠山口〜福知山間に列車集中制御装置 (CTC) 導入。
1984年(昭和59年)2月1日に貨物支線(尼崎港線)塚口〜尼崎港間が廃止。尼崎港駅が廃止。
3月10日に広野〜篠山口間にCTC導入。
1986年(昭和61年)8月1日に宝塚〜三田間が新線に切り替え、複線化。生瀬〜道場間が1.8 km短縮された。
10月15日に三田〜新三田間が複線化。尼崎〜広野間に CTC 導入。
11月1日ダイヤ改正で、宝塚〜福知山間が電化され、全線電化完了。西宮名塩駅・新三田駅が開業。快速と特急まつかぜが廃止。エル特急北近畿が運転開始。全線の貨物営業廃止。
1987年(昭和62年)4月1日に国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道が路線承継。
1988年(昭和63年)3月13日ダイヤ改正で、大阪〜篠山口間の愛称としてJR宝塚線を使用開始。大阪〜篠山口間にほくせつライナーが運転開始。
1989年(平成元年)3月11日ダイヤ改正で、快速が再び運転開始(停車駅:大阪・尼崎・伊丹・川西池田・宝塚・三田以北各駅)。
1992年(平成4年)4月1日に新三田〜福知山間が福知山支社から篠山口鉄道部へと移管。
1993年(平成5年)3月18日から207系電車投入。
1995年(平成7年)12月25日に藍本駅構内で篠山口発大阪行き快速電車が、雪によるブレーキ不具合で停止位置を行き過ぎて安全側線に進入する事故が発生。この事故がきっかけで福知山線内で運用される電車にも、耐雪ブレーキの装備を決定した。
1996年(平成8年)3月16日ダイヤ改正で、西宮名塩が快速の停車駅になった。
同年12月1日に広野〜古市間が複線化された。
1997年(平成9年)3月8日ダイヤ改正で、新三田〜広野間、古市〜篠山口間が複線化。JR東西線が開業し、学研都市線と直通運転開始。
同年9月1日ダイヤ改正により篠山口・新三田〜大阪間の普通がJR京都線と終日直通運転を開始し、早朝・深夜の大阪発着列車を除き、塚本にも停車。福知山線経由の全ての特急・急行列車が尼崎にも停車。201系電車・205系電車の運用が開始。
2000年(平成12年)3月11日ダイヤ改正で、丹波路快速が運転開始。同年12月2日から篠山口〜福知山間の一部列車でワンマン運転開始。
2002年(平成14年)10月5日ダイヤ改正で、ほくせつライナーが特急北近畿に格上げされ廃止。
2003年(平成15年)
8月に103系電車の運用が終了。
10月1日から各駅のコンコースの喫煙コーナーを廃止。
11月1日から大阪〜篠山口間でICカードICOCAが利用可能となった。
12月1日ダイヤ改正で、中山寺が快速の停車駅になった。
2004年(平成16年)10月16日ダイヤ改正で、急行だいせんが廃止。これにより、福知山線の夜行列車が消滅。
2005年(平成17年)4月25日に尼崎〜塚口間で列車脱線事故が発生し、尼崎〜宝塚間が不通になった。
6月19日に尼崎〜新三田間にATS-Pが設置され、尼崎〜宝塚間の運転が再開された。ATS-P車上装置を装備していない117系電車と北近畿タンゴ鉄道のKTR001形気動車が運用から外された。
11月26日に福知山駅付近が高架化された。
12月1日から321系電車が営業運転を開始。
2006年(平成18年)2月に205系の運用が終了。
2007年(平成19年)3月に201系の運用が終了。KTR001形気動車がATS-P車上装置を設置して運行再開。
2008年(平成20年)6月28日から宮原総合運転所の223系6000番台が運用開始。
7月22日から223系5500番台が運用開始。
2009年(平成21年)2月11日から新三田〜篠山口間で ATS-Pの使用を開始。
7月1日に尼崎〜新三田間の各駅でホーム上の喫煙コーナーを廃止し、全面禁煙実施。
2010年(平成22年)12月1日に組織改正により、大阪支社が管轄していた尼崎〜新三田間を近畿統括本部の管轄に変更された。
2011年(平成23年)3月8日から尼崎〜新三田間にJR宝塚・JR東西・学研都市線運行管理システムを導入。
3月12日ダイヤ改正で、特急北近畿がこうのとりに改称、文殊、タンゴエクスプローラーが廃止された。287系電車が運行開始。
2012年(平成24年)3月17日に113系・221系の運用が終了。225系6000番台が運用開始。
2013年(平成25年)3月16日に183系の運用が終了。
2014年(平成26年)
8月16日に京都府北部での集中豪雨による線路冠水や、道床流出の被害を受けて、篠山口〜福知山間が不通。8月19日に篠山口〜石生間が運転再開。8月27日に石生〜福知山間が運転再開し全線運転再開。
2015年(平成27年)3月14日から路線記号が本格的に導入開始され、篠山口〜福知山間にもラインカラーが設定された。
2016年(平成28年)に広野〜篠山口間に小規模自動進路制御装置 (SRC) を導入。
2018年(平成30年)3月17日から尼崎〜篠山口間の各駅に駅ナンバーが導入された。
2020年(令和2年)3月14日ダイヤ改正で、大阪〜篠山口間に区間快速を新設。
2021年(令和3年)3月13日から篠山口〜福知山間でICカードICOCAが利用可能となった。
5.路線ガイド

