関西私鉄列車種別研究~快速急行~

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関西私鉄では快速特急の採用は少ないが、快速急行は大手5社とも採用している。もっともメジャーなものは近鉄奈良線の大阪難波~近鉄奈良間の快速急行だろう。終日に渡って運転されており、2009年3月の阪神なんば線開業からは三宮~近鉄奈良間の運転に拡大され、近鉄奈良線沿線のみならず、奈良、大阪、兵庫の3県を結ぶ新たな動脈として活躍している。近鉄奈良線快速急行の停車駅は大阪難波から近鉄日本橋、大阪上本町、鶴橋、生駒、学園前、大和西大寺、新大宮、近鉄奈良となっている。

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近鉄ではこの他、大阪線で快速急行を使用しており、朝夕ラッシュ時に運転されている。かつては区間快速急行も運転されており、そちらとの区分けもあって夕方以降の運転は少なかったが、2012年3月のダイヤ改正で快速急行と区間快速急行が統合されて、快速急行の運転本数は増えた。停車駅は大阪上本町から鶴橋、五位堂、大和高田、大和八木、桜井、榛原、室生口大野、赤目口、名張、桔梗が丘、美旗、伊賀神戸、青山町、榊原温泉口、伊勢中川となっている。快速急行は最大五十鈴川まで足を延ばしている。

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近鉄ではこの他、京都線で快速急行を運転していた時期があった。京都から奈良までの運転でJR奈良線のみやこ路快速に対抗するため停車駅を絞って運転されていたが、急行に統合されて消滅した。

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阪神も快速急行を主力種別として採用している。阪神なんば線開業以降は同線への直通電車として快速急行を終日運転しているが、それ以前も快速急行の設定があった。1987年のダイヤ改正でデータイムに運転を開始し、特急とともに12分毎に運転されていた。当時の停車駅は梅田から野田、尼崎、甲子園、西宮、三宮で西宮から三宮までノンストップで運転されるのが特徴だった。特急が停まらない大阪方の主要駅に停車し、特急が停車する西宮以西の主要駅を通過する千鳥停車と言われるダイヤだった。停車駅の増加はあれど震災前までこのダイヤは継続されていた。震災以降もしばらく快速急行の運転は継続されていたが、直通特急の運転を開始した1997年2月のダイヤ改正でデータイムからは姿を消し、快速急行は夕方ラッシュ時のみの運転となった。以降夕方ラッシュ時に細々と運転されていたが、2009年3月の阪神なんば線開業に伴うダイヤ改正で近鉄奈良までの直通列車が快速急行となり、今では阪神本線、阪神なんば線の主力列車となっている。

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京阪では快速急行の運転は2008年10月の中之島線開業以前はなかった。同線開業時に中之島と出町柳を結ぶ列車に快速急行の種別を割り当て、専用の3000系が投入されてデータイムに30分毎の運転を行った。停車駅は中之島から京橋までの各駅と守口市、寝屋川市、香里園、枚方市、樟葉、中書島、丹波橋、七条、祇園四条、三条、出町柳で、停車駅は今も変わっていない。夕方ラッシュ時や夜間にも運転されて、朝ラッシュ時には守口市を通過する通勤快速急行も新設された。しかし、中之島線不振により、淀駅高架化完成に伴うダイヤ見直しが数回に分けて行われ、快速急行の運転が徐々に減少していき、2010年のダイヤ変更でデータイムの快速急行は特急に置き換えられ、夕方以降のみの運転となった。快速急行専用のイメージがあった3000系も特急に転用されて、本来の運用と言える快速急行や中之島線の運用にはほとんど入らなくなった。

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阪急では快速急行を京都本線、神戸本線で使用している。幕色は黄色地に黒文字を採用している。かつては宝塚本線でも採用した時期があったが、現在は2路線のみでの使用となっている。阪急京都本線の快速急行はかつての急行と同じ停車駅で運転されており、朝夕ラッシュ時と夜間に運転されており、ラッシュ時の主力種別として活躍している。朝ラッシュ時には京都本線で唯一の10連運転も実施している。なお、快速急行と通勤特急の停車駅の違いは淡路に停まるか停まらないかだけとなっている。

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神戸本線の快速急行は早朝と夜間のみの運転で、主力種別とは言えず、特急と急行の間の種別として狭間を埋める形で運転されている。停車駅は梅田から十三、塚口、西宮北口、夙川、岡本、六甲、三宮以遠の各駅となっている。三宮以西への乗り入れもあり、新開地まで足を延ばしている。

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阪急宝塚本線ではデータイムに運転されていた特急を快速急行に置き換えて蛍池に停車させるという処置を取った時期があった。この時には梅田~宝塚間に快速急行と普通をそれぞれ10分毎に運転されるダイヤとなっていたが、供給過多ということもあり、2006年10月のダイヤ改正で従来の急行と普通の2本体制に戻っている。これに伴い宝塚本線からは快速急行は消滅している。

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南海は高野線で快速急行の種別を使用している。幕色はオレンジを採用。データイムと夕方ラッシュ時に河内長野以南でも通過運転を行う列車に快速急行の種別を割り当てている。停車駅は難波から新今宮、天下茶屋、堺東、北野田、金剛、河内長野、三日市町、美加の台、林間田園都市以遠の各駅となっている。データイムの高野山極楽橋行きの他、夕方ラッシュ時に2本橋本行きが運転されている。南海では本線には快速急行は設定されていない。

  

鉄道コム

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