1.概要
JR境線は米子と境港を結ぶ17.9kmの路線である。路線記号はCとなっている。全線単線で、基本的には非電化で気動車が運用されているが、米子~後藤間は1500V直流電化されており、後藤総合車両所に出入りする電車の運転に対応している。列車はキハ40系列によるワンマン運転が主体で、ラッシュ時にはツーマン運転されるほか、鳥取直通列車などにはキハ121系も運用されている。現在は普通列車のみが運転されている。
会社名 | 西日本旅客鉄道 |
路線名 | 境線 |
区間 | 米子~境港 |
営業キロ | 17.9km |
駅数 | 16駅 |
平均駅間距離 | 1.2km |
所要時分 | 25分 |
表定速度 | 43km/h |
軌間 | 1067mm |
電気方式 | 非電化 |
線路 | 単線 |
保安方式 | ATS-SW |
最高速度 | 85km/h |
最大編成両数 | 4両 |
駅名 | 愛称(妖怪名) | 駅間営業キロ | 累計営業キロ | 所在地 |
米子 | ねずみ男駅 | – | 0㎞ | 米子市 |
博労町 | コロポックル駅 | 1㎞ | 1㎞ | 米子市 |
富士見町 | ざしきわらし駅 | 0.5㎞ | 1.5㎞ | 米子市 |
後藤 | どろたぼう駅 | 0.7㎞ | 2.2㎞ | 米子市 |
三本松口 | そでひき小僧駅 | 1.1㎞ | 3.3㎞ | 米子市 |
河崎口 | 傘化け駅 | 2㎞ | 5.3㎞ | 米子市 |
弓ケ浜 | あずきあらい駅 | 1.9㎞ | 7.2㎞ | 米子市 |
和田浜 | つちころび駅 | 2.5㎞ | 9.7㎞ | 米子市 |
大篠津町 | 砂かけばばあ駅 | 1.4㎞ | 11.1㎞ | 米子市 |
米子空港 | べとべとさん駅 | 1.6㎞ | 12.7㎞ | 境港市 |
中浜 | 牛鬼駅 | 0.5㎞ | 13.2㎞ | 境港市 |
高松町 | すねこすり駅 | 1.1㎞ | 14.3㎞ | 境港市 |
余子 | こなきじじい駅 | 0.7㎞ | 15㎞ | 境港市 |
上道 | 一反木綿駅 | 1.3㎞ | 16.3㎞ | 境港市 |
馬場崎町 | キジムナー駅 | 0.9㎞ | 17.2㎞ | 境港市 |
境港 | 鬼太郎駅 | 0.7㎞ | 17.9㎞ | 境港市 |
2.路線ガイド
米子駅は1番線隣の境線専用0番線行き止まり式ホームから発着している。この0番線には架線は張られておらず、米子駅を出たところで架線を張った線路と合流して後藤駅の手前まで電化された状態になっている。米子を出ると山陰線と少し並行して走り、国道181号線の下をくぐって、左カーブして山陰線と分かれる。カーブを曲がり終えたところに1面1線の博労町がある。このあたりは米子の市街地の中を行く。次の富士見町も1面1線で行き違いはできない。このあたりは架線も張られており、境線をLRT化しようという声が上がる理由にもなっていそうである。
- 米子
- 米子
- 米子
- 米子
- 米子
- 米子
- 米子
- 米子
- 博労町
- 富士見町
富士見町を出ると国道9号線がオーバークロスして、右手に巨大な工場が見えてくる。これが後藤車両工場で、山陰地区の各種車両が点検や改造などを行われている。巨大な後藤車両工場が終るとすぐに1面2線の後藤となる。電化線は後藤駅の手前で車両工場への側線となって境線本線とは分かれる。このため後藤駅構内は非電化となっている。駅周辺にはショッピングセンターなどがあり、利用者は結構多い。この辺りまでは米子市内の市内交通としてもっと便数を増やしてもよいのではなかろうか。
- 博労町~後藤間
- 後藤
- 後藤
- 後藤
- 後藤
- 後藤
- 三本松口
- 河崎口
- 弓ヶ浜
- 弓ヶ浜
- 弓ヶ浜
- 弓ヶ浜
後藤を出ると境線本来の姿である単線非電化となる。線路はほぼ真っ直ぐ延びており、三本松口、河崎口と1面1線の小駅を過ぎると2面2線の弓ヶ浜となる。駅名となっている弓ヶ浜は駅から東へ2~3kmのところにある。このあたりもまだ米子市内で、次の和田浜、大篠津町も米子市内の駅となっている。大篠津町は2008年6月15日に御崎口から改称して誕生した駅名である。大篠津町を出ると左手に広大な敷地が見える。これは米子空港で、かつては大篠津駅が米子空港滑走路の隣にあった。大篠津は2面2線の行き違い駅となっていたが、米子空港拡張により境線の線路が移設され、大篠津駅は800mほど境港方に移設された。これに伴い、駅は1面1線に変更され、米子空港へのアクセス駅となり、米子空港駅に改称されている。
- 和田浜
- 大篠津町
- 米子空港
- 米子空港
- 米子空港
- 米子空港
- 米子空港
- 米子空港
- 中浜
- 中浜
- 高松町
- 余子
米子空港を出ると境港市に入る。空港からの道路と交差して1面1線の中浜となる。米子空港旅客ターミナルへは大篠津よりも中浜の方が近かったため、かつては空港連絡駅の役割を担っていたが、米子空港駅開業によりその役割は解消されている。次の高松町は1面1線で、夢みなと公園やみなとタワーへの最寄り駅になるが、それらとはかなり離れている。余子、上道、馬場崎町と1面1線の駅が続くが、このあたりは線路が真っ直ぐ延びており、線路規格は低いものの線形は非常によい。もう少しスピードアップに力を入れれば、境港から米子への利用も増えるだろう。余子は”あまりこ”、上道は”あがりみち”と読む難読駅名と言える。馬場崎町の先で国道47号線と立体交差すると、前方にみなとさかい交流館の巨大な建物が見えてくると終点の境港となる。同駅は1面2線の行き止り式ホームで、みなとさかい交流館と連なった立派な駅である。駅前には広いバスターミナルを備え、その先には水木しげるロードが広がり、町のあちこちにゲゲゲの鬼太郎のキャラクターのオブジェが見られる。水木しげるロードのさらに向こうに境港の漁港がある。
- 上道
- 馬場崎町
- 境港
- 境港
- 境港
- 境港
- 境港
- 境港
3.歴史
境線は1902年(明治35年)11月1日に官設鉄道として境~米子~御来屋間が開業。この時、境駅(現・境港駅)・大篠津駅(現・米子空港駅)・後藤駅・米子駅が開業した。1908年(明治41年)4月5日に米子~安来間開業に伴い、米子~境間は支線となった。
1909年(明治42年)10月12日に国有鉄道線路名称制定が行われ、境線となった。1914年(大正3年)12月15日に境駅が移転した。1915年(大正4年)6月1日から蒸気動車が運転を開始した。1917年(大正6年)7月1日に弓ケ浜駅が開業。
1919年(大正8年)7月1日に境駅を境港駅に改称した。1932年(昭和7年)12月22日に余子駅が開業した。1933年(昭和8年)6月17日から気動車が運転を開始した。1951年(昭和26年)11月1日に和田浜駅が開業。
1952年(昭和27年)7月1日に博労町駅・河崎口駅・中浜駅・上道駅が開業。
1982年(昭和57年)6月21日に後藤車両所(現・後藤総合車両所)へ入出区列車のため米子~後藤間が電化された。
1984年(昭和59年)8月2日に境港駅構内に、船着場仮乗降場を開設し隠岐航路接続用に夏季に限り営業。隠岐汽船接続のヘッドマーク付きマリンスターリレー号を運行。
1986年(昭和61年)9月1日に船着場仮乗降場が廃止された。同年11月1日に全線の貨物営業が廃止された。
1987年(昭和62年)4月1日の国鉄分割民営化により、JR西日本が路線を継承した。同年11月1日に富士見町駅・三本松口駅・御崎口駅(現・大篠津町駅)・高松町駅・馬場崎町駅が開業した。
1993年(平成5年)9月から鬼太郎列車の運行が開始された。同年11月1日から一部列車を除きワンマン運転開始。
1997年(平成9年)10月7日の日本海新聞鳥取発特報に境線を廃止したらどうかという記事が掲載された。
2000年(平成12年)8月26日から二代目の鬼太郎列車が運行開始。
2002年(平成14年)3月23日に休日の本数削減および保守工事運休導入。
2003年(平成15年)10月1日ダイヤ改正で高速化が完成した。
2005年(平成17年)3月5日から臨時快速みなとライナーが運行を開始。同年3月17日からゲゲゲの鬼太郎に登場する妖怪を駅名の愛称に採用した。11月3日から三代目の鬼太郎列車運行開始。
2006年(平成18年)2月19日からねずみ男列車の運行開始。同年3月18日ダイヤ改正で、休日運休を含む夜間の列車時刻を、最大で約40分変更した。7月6日からねこ娘列車の運行開始。
2007年(平成19年)2月11日から目玉おやじ列車の運行開始。
2008年(平成20年)6月15日に御崎口駅が大篠津町駅に、大篠津駅が0.8km中浜寄りに移転し米子空港駅に改称された。また、美保飛行場(米子空港)の滑走路拡張に伴い大篠津町~中浜間の経路が変更された。
2009年(平成21年)3月14日から年4回昼間に行われていた保守工事運休が廃止された。同年10月10日から四代目の鬼太郎列車が運行開始。
2010年(平成22年)3月7日にこの日を最後に臨時快速みなとライナーの毎週の運行を中止し、多客期のみの運行となった。同年3月13日に二代目のねずみ男列車が運行開始。8月1日から二代目のねこ娘列車が運行開始。11月3日から二代目の目玉おやじ列車が運行開始。
2012年(平成24年)9月29日から鬼太郎ファミリー列車(こなきじじいver)が運行開始。同年11月3日から鬼太郎ファミリー列車(砂かけばばあver)が運行開始。
2015年(平成27年)10月4日から鉄道総合技術研究所が開発した新しい電子閉塞装置拠点無線式列車制御システムの使用を開始。
2018年(平成30年)1月20日から二代目の砂かけばばあ列車、二代目のこなきじじい列車が運行開始。同年3月3日から五代目の鬼太郎列車、三代目のねこ娘列車が運行開始。7月14日から三代目のねずみ男列車、三代目の目玉おやじ列車が運行開始。
2019年(平成31年)3月16日からJR西日本初の車載型IC改札機により、ICOCAなどICカードの利用が可能になった。
2022年(令和4年)3月12日ダイヤ改正で、3・4両編成列車のワンマン運転を開始。これにより、臨時列車以外ほぼ全ての列車がワンマン運転となった。