1.概要
HOT7000系は1994年に登場した第三セクター智頭急行の特急スーパーはくと用の気動車特急車両である。急こう配、旧曲線が存在する因美線と高速走行が可能な智頭急行線、JR東海道山陽線内を走行するため、制御付自然振り子機構を採用し、最高速度130km/h運転に対応した車両となっている。
形式称号のHOTとは、智頭線沿線の3県・兵庫県(Hyogo)、岡山県(Okayama)、鳥取県(Tottori)のローマ字表記の頭文字を英語の”Hot”番号の7000は1両あたりの機関出力が約700PSであることに由来する。
2.車体・主要機器
当形式では制御振り子方式を初めて採用したJR四国2000系の振り子機構、エンジン、台車、車体構造の多くを踏襲している。車体は軽量ステンレス製で、2000系同様連続窓とプラグドアを採用しているが、客用扉は片側1箇所となった。先頭車の運転台部分は普通鋼製となっている。
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エンジンはコマツ製SA6D125H-1A形(355 PS/2,000rpm)を各車に2基搭載している。2000系と同型だが出力が若干向上している。液体変速機は変速1段・直結2段式で、営業最高速度は130km/hとなっている。
3.車内
デビュー当時から先頭車両前部にテレビカメラを設置し、客室の前後端にあるビデオモニターに前面展望映像を映し出している。このほか、全列車・全車両の車内LED表示器で文字放送(ニュース・天気予報)サービスを2008年11月から開始した。表示区間は通常の案内表示をしない区間で、8 – 13箇所(列車による)で表示する。4号車に文字放送受信機を設置している。
4.リニューアル
2009年までに全編成になごみの空間をテーマにした、シートや内装、トイレなどのリニューアル工事を施工。リニューアルにより全車両禁煙となり1・5号車に喫煙ルーム(2009年6月に廃止)が設置された。HOT7010形とHOT7020形車両の携帯電話コーナーは撤去され飲料の自動販売機が設置された。このリニューアルにより2008年度グッドデザイン賞身体の移動 領域部門を受賞した。
5.再リニューアル
2016年春に再びリニューアル工事を施工。デッキ部に大型荷物置き場の設置(1・5号車)、多目的室の設置(5号車)、窓側座席にモバイルコンセントの設置、温水洗浄便座の設置・小便器の取り替え(2-4号車)が行われた。車体および車内のLED案内装置も3色LEDからフルカラーLEDに更新された。
6.運用
当初から現在に至るまで京都~鳥取、倉吉間の特急スーパーはくとで運用されており、他の列車への運用は行われていない。JRの車両ではなく、智頭急行の車両のため、智頭急行線を走る特急への運用となるのは当然であるが、同じく同線を走る岡山発着の特急スーパーいなばはJR西日本のキハ187系が運用されており、スーパーはくととスーパーいなばでは運用が完全に分離されている。閑散期は5両編成、繁忙期には6両編成で運転され、運用の都合で貫通型の先頭車が先頭に立つ姿も見られる。