【関西各駅探訪第5回】阪急京都本線茨木市駅

茨木市

【高槻市と並ぶ京都線中間駅の雄】

1.茨木市駅概要

阪急京都本線茨木市駅は1928年1月16日に新京阪鉄道の茨木町駅として開業した。1948年1月1日に茨木市駅に改称された。1992年には高架化が完成。2001年3月24日からは特急停車駅となった。

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2.茨木市駅周辺

茨木市の中心駅で、市役所まで500m程度、JR京都線茨木駅とは1kmほど離れている。駅周辺は西側市役所周辺が旧市街地で、商店街などがあり、歴史ある茨木神社などがある。中川清秀の居城であった茨木城跡(現在は小学校になっている)もあり、意外に歴史深い街である。東側は万博以降に開けた街で、こちらも商店街があるが、店舗の構成は西側の商店街と異なり、新しいイメージがある。イオン新茨木店などもあり、阪急茨木市周辺では今は東側の方が賑わっている。

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 3.駅構内

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茨木市駅は2面4線の高架駅で、1992年に高架化された。かつては特急が普通を追い抜く駅だったが、特急停車駅となってからは緩急接続を行う駅となった。河原町方には折り返し線があり、朝夕ラッシュ時には当駅始発の普通も運転されている。改札は北と南に2箇所あり、北側がメインの改札となっている。

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北改札は有人改札で、南改札は無人で、かつては駅長がいたが、管区の改廃により、駅長は不在となった。エスカレーター、エレベーターは改札からホーム、地上から改札へいずれも完備されている。西側バスターミナルへは地上からのアクセスとなり、改札から各乗り場へ直接行くことはできない。駅ナカの店舗としてはラッチ内に旧サービスセンター跡に和菓子屋千寿庵がある。また、改札内に店舗があるが、ラッチ外からしか入店できないパン屋フレッズカフェもある。この他、改札外には阪急そばや高架下にロサヴィアの店舗があり、駅周辺の店舗は賑やかである。

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4.バス路線

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駅の西側、東側ともにバスターミナルがあり、西側からは阪急バス、近鉄バス、京阪バスの3社の路線が発着している。阪急バスはサニータウンなど茨木市内への路線を中心としており、近鉄バスは茨木市内周辺の路線と万博方面、摂津方面への路線があり、夜には夜行バスの立ち寄りもある。京阪バスは枚方市方面への路線が乗り入れており、南口のバス停からは寝屋川市方面への路線も発着している。この他、追手門大学、梅花女子大、関西大倉高校、早稲田摂稜高校などのスクールバスも西側のバスターミナルから発着している。

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5.乗降者数

2015年度大阪府統計データでは、乗車人員が1日あたり31,828人で、定期利用者は17,622人となっている。阪急京都本線中間駅の雄高槻市駅を凌ぐ乗降者数となっている。10年前の2005年度と比べると全体で6.4%減、定期利用者は5.3%減で、定期外利用者が7.8%も減少している。定期比率は55.4%で、近年の傾向からすると高い方と言える。高槻市駅よりも乗車人員が多い茨木市駅だが、競合するJR茨木駅の方が乗車人員が多く、両駅間が離れているとはいえ、ここでもJRとの競合は厳しいものがある。

6.ダイヤ

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データイムは10分毎の運転で、特急、準急、普通が停車する。特急は上り河原町方面が普通、下り梅田方面は準急と緩急接続する。梅田までの所要時間は特急で16〜17分。河原町へは特急で26分。並行するJR京都線は大阪まで快速で13分、普通で16分なので、所要時間では部が悪い。さらに運賃面でもJRは50円安いので、大阪梅田まではJRの方が便利である。京都になるとJRは運賃が高くなり、さらにはダイヤ面でも快速〜新快速への乗り継ぎになり、直通の普通も昼間の運転はなくなったため、特急が10分毎に走り、安くて中心部に入る阪急が便利だ。

5308F茨木市始発普通天下茶屋行き

5308F茨木市始発普通天下茶屋行き

朝夕ラッシュ時には通勤特急が停まるようになった。2010年3月ダイヤ改正からで、それ以前は快速急行以下しか停まらず、所要時間、運転本数ともに決して便利とは言えなかった。朝ラッシュ時は通勤特急、快速急行が16〜18分毎の運転で、これに加えて堺筋準急が運転されている。通勤特急と堺筋準急は茨木市駅で緩急接続する。この他、前述したように当駅始発の普通が運転されている。6時台に梅田行き2本、7時台に天下茶屋行き2本、梅田行き1本、8時台に梅田行き2本が運転。かつては河原町方面へも当駅始発の快速急行があったが、2010年3月改正で姿を消した。

茨木市で準急と接続する通勤特急

茨木市で準急と接続する通勤特急

夕方ラッシュ時は通勤特急、快速急行、快速、堺筋準急が停車する。それぞれ20分毎の運転で、梅田発で言えば、データイムの優等列車より本数が少ない。2010年3月改正までは通勤特急が停まらなかったので、茨木市駅の利便性は上がっているが、全般的にフリークェンシーサービスが優れているとは言えない。夜間は上記のうち快速と堺筋準急がなく、梅田準急が20分毎に運転される。深夜時間帯は快速急行と普通の2本立てとなる。快速急行の最終は梅田発23時45分、最終の優等列車は準急桂行きで梅田発0時00分、茨木市着0時20分となる。最終の普通は梅田発0時10分で、茨木市着0時34分となる。河原町方面からの最終は河原町発23時50分の普通正雀行きで茨木市着0時29分。茨木市から梅田への最終は茨木市発0時07分の普通梅田行き。

7.こぼれ話

①折り返し線の謎

8332F茨木市始発普通梅田

8332F茨木市始発普通梅田

茨木市駅には河原町方に折り返し線があり、朝夕ラッシュ時には当駅始発電車が設定されており、古くは当駅始発の準急専用の折り返し線という感じがしていた。しかし、阪急京都本線の折り返し電車は大半が高槻市発着となっており、茨木市にわざわざ当駅始発電車のためにあんなに立派な折り返し線を造る必要性はなかった。元々地上線時代には折り返し線はなかったが、高架後に立派な折り返し線が設けられた。一説によると高架化事業当時には運輸省答申により、淡路~茨木市間の複々線化の計画があり、茨木市高架化時に複々線化を想定した折り返し線が設けられたらしい。

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②阪急沿線なのになんで近鉄バスが・・・
茨木市駅には近鉄バスが発着している。明らかにエリア外と言える近鉄バスが走っているのは、1965年に茨木バスの路線を引き継いだことが起源である。以降、結構な勢力となっており、茨木市を中心に摂津市へ路線が延びている。新幹線の基地がある摂津市鳥飼には営業所が置かれている。

③乗降者数は高槻市よりも上
茨木市の人口は274,822人、高槻市の人口は353,690人と人口の上では高槻市の方が断然多いが、阪急京都本線の乗降人員に関しては、かなり昔から茨木市の方が多くなっている。これはJR発足以前から高槻市では断然JR(国鉄)の方が便利で、大阪までの所要時分が短く、駅周辺もJR(国鉄)の方が賑やかなため、国鉄時代から高槻駅の利用が多かった。また、高槻はJRと阪急の駅が500mほどしか離れておらず、運賃もJRが大都市特定区間の運賃設定を行うため、料金による差もなく、現在ではJRの方が安くなっている。このため、国鉄時代から利用が多く、さらにはJR発足後は新快速の停車によりさらに利用者を増やした。一方茨木市は、JRと阪急が離れており、JR茨木駅の利用は阪急茨木市よりも多いが、JRの利用者に負けず劣らず阪急の利用者も多く、高槻市程の落ち込みは見られない。このため、人口ではかなりの差がある茨木市と高槻市だが、こと阪急の利用者数に関して言えば、茨木市の方が上回っているのである。

  

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